クレイジータンク通信 vol.194 『よく「看る」こと』
◆クレイジータンク通信 vol.194◆
各地で入学式や進級、進学があった今週のはじまりでしたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。
さて、今週の通信は、クレイジータンクメンバーが今年に入ってから住居のベランダで子どもたちと野菜の栽培をはじめているのですが、子どもたちの気まぐれな水やりを目の当たりにしフォローしながら(笑)、植物を「看(み)る力」の大切さについてチーム内で話題に挙がったことをテーマに、書いてみたいと思います。
ぜひ、ご一読ください。
【よく「看る」こと】
クレイジータンクでは、2年前より事業アドバイザーとして関わる「保けん野菜」事業をきっかけに、農業分野に関わるようになりました。
兼ねてより、こちらの通信でも日本の農業が直面する様々な課題や危機的状況について記していますが、関わり知れば知るほど、その課題感や現場の方々の苦悩がより深刻に伝わってきます。
保けん野菜加入者の皆様には、踏み込んだ農業の現状や、農業にまつわる法改正などを「ちゃんと伝えていく」ために、保けん野菜事業を運営するミチクサ合同会社の秋山代表が日々農業の場に身を置きながら、毎週ブログを執筆し、加入者の方へお送りしています。(その一部はnoteでも有料配信してますので、気になるテーマについてはぜひご一読ください)
クレイジータンクメンバーは首都圏に住居を構えているため、周りに農家を営む人が多い環境ではないのですが、各地の協力農家さんの苦労や苦悩をすこしでも自分たちごととして身体化するためにも、少しずつ自分たちのベランダで複数の野菜の栽培をはじめています。
大きな畑で営む農業と、首都圏の住居の小さなベランダのプランターでの栽培は、もちろん大きく違う部分が多々あるでしょう。
それでもこの栽培を子どもたちといっしょに、春夏秋冬、長く長く続けていくことが、日々農家さんから野菜を受け取らせていただく私たちの一つの責任でもあるのではないかと考えています。
さて、そうして少しずつ長い目でスタートした「かてい農園プロジェクト」ですが、子どもたちは自分たちで育てている野菜への水やりをよくよく忘れます(笑) 水やりや観察を「楽しく習慣化する」ための保けん野菜専用のアプリ開発を秋山代表が行い、その試運転もスタートしているのですが、植物を育てる上で子どもたちに伝えたい大切なことは何だろう、という話を先日ミーティングの中で行いました。
そこで出てきたのは、「よく看る」ということの大切さ、でした。
植物に水やりをすることはもちろん育てる上で大切なのですが、それだけではなく、植物を毎日観察して、その微妙な変化を感じ取れるようになったり、天気や湿度や時間などからどういう状態なのかを感覚的に捉えられたりするようになったり、「看る(みる)」力を養うことが大切なのではないかと話しました。
よく、病気で話がうまくできなくなった人に寄り添い看護・介護する人が、患者が何を欲しがっているか自ずとわかるようになるという話を聞いたことがあります。 これはまさに「よく看る力」を発揮しているのでしょう。
植物という、言葉を語らない、自然に身を委ねる存在を、毎日「よく看て」向き合っていく中で、子どもたち(だけでなくもちろん大人も)は、社会の変化や自分の目の前にいる人の機微に対してもしっかりと捉える目を養っていくことになるのではないかと考えています。
さらに、私たちは今後、生成AIによって、いかなるものも瞬時で創り出せる世の中を生きていきます。
誰もが「それらしいね」というものはAIにより創り出すことは可能です。 しかし、「しっかり、看たんだね」というものは、人間が本当によく「看て」いないと創り出せないというフィルターを作り、そのフィルターがAIとの差別化につながる可能性を持つのではないか、ということも考えています。
未来を生きる子どもたちとともに、私たち大人も、植物を育てることを通じて自分たちの「看る力」を育てていくことが、これからの時代を生きる希望にも繋がるのではないかと考えています。