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徹底解説❣ 木管五重奏《貴婦人の手芸》byエルサ・バルレーヌ

みんなごめん! 練習にかまけてセトリ紹介シリーズの更新が遅くなっちゃった!! ちょうど今日特訓してたエルサ・バルレーヌ(1910-1999)の木管五重奏《貴婦人の手芸》(原題:Ouvrage de Dame)を紹介するね〜🧶🧵💗

クセ強めの女が7人も出てくる

この曲はテーマと7つのバリエーションから成るんだけど、それぞれの楽章に架空の女性の名前がついてるよ📛

このあと貼る音源聴いたらわかるけど、一人ひとり性格が全然違って、しかも全員クセ強い😂譜面も難しすぎて、正直いうとウチらも最初は「誰とも友達になれんかもしれん……」って弱気になってた💦💦

でも一回合わせてみたら「あれ? 意外とみんないい子じゃね?🥹💗ってなったんだよね〜!(新しいクラスで最初牽制しあってたギャルどうしがあとで親友になるときのパターン)

じゃあ、ここから1人ずつキャラクターを紹介してくね🫶

(1)Angélique 👼✨🌈

アンジェリークっていう名前は「天使」に由来してるらしいけど、その名のとおりピュアで優しい! でもちょっと不穏な感じも漂ってて、そこも魅力的😌ここでオーボエが奏でるメロディーは曲全体のテーマにもなってて、このあとのバリエーションでどんどん展開されていくよ。

(2)Berthe 💪⚔️🎵

この子は、まじで賢くて強い。ホルンとファゴットの低音が常にゴリゴリ鳴ってて、その上でフルート・オーボエ・クラリネットが理詰めっぽい動き(?)をやってて終始「BATTLE」って感じだし、ラストに向けてのホルンの上昇音型も「勝利の角笛」的な感じで、ベルトの性格にめっちゃ合ってる😎

(3)Irène, sinueuse 🌊🐍🎼

ギリシア神話の平和の女神と同じイレーヌって名前、でも「sinueuse(曲がりくねった)」っていう副題付き。基本的に穏やかで知的なんだけど、不規則にうねって掴みどころがない。気づいたらイレーヌのペースに巻き込まれて、予想外の方向に連れて行かれてる😂なんか不思議な魅力があるんだよね〜。

(4)Barbe, fugato burlesque 🤹‍♀️🎭🎶

この子より面白い子はいないと思う。「fugato burlesque(滑稽なフガート)」って副題が付いてるし、そもそもバーブってフランス語で「髭(ひげ)」の意味だよ。各楽器がコミカルな動きで追いかけ合って、ラストの雰囲気も含めてなんかキュートなコントみたい😂

(5)Sarah 🧐⚡🎶

サラはね、まじめちゃんで、ちょっとせっかちかも。バーブがふざけすぎて「こら~!」って感じなのかも😇木管たちの神経質なざわつきの中でホルンの高音が登場。とにかく焦った感じでメロディーを歌ってる。でも最後はちょっと雲行きが変わって……主役は次のイザボーへ。

(6)Isabeau 👑👒🎐

イザボーは名家のお嬢様👑すべての所作が優雅で、性格もめっちゃ優しくて落ち着いてるんだけど、ときたま寂しそうな顔してるときがあるんだよね〜……今度アフヌンでも誘ってみるか🫖🍰オーボエが低音で哀愁じみたメロディーを歌う楽章だよ。

(7)Léocadie, vieille fille sentimentale du temps jadis 🧳📜💔

「vieille fille sentimentale du temps jadis(昔日の感傷的な老婦人)」。優しいレオカディおばあちゃんに昔の写真を見せてもらったよ! 映画の中?って感じのレトロな風景でまじかわいかった🥺甘くて切ない恋のお話も聞いた〜💗うちらもかわいいおばあちゃんになりたすぎる。

8.フィナーレ🎉🎶👑✨

ここまで出てきたみんなが最後に一堂に会してぺちゃくちゃおしゃべりする、大賑わいのパーティーだよ🩷💛💚🤍💙🧡💜 やっぱりみんなクセ強だけど、それぐらいが楽しくてちょうどいいよね!

タイトル「Ouvrage de Dame」について🧶

Ouvrage de Dameは、刺繍や編み物、裁縫など、伝統的に女性が行っていた手仕事や工芸を指す言葉だよ。友達のフランス出身ギャルいわく「有閑」のレディたちのハンドメイドというニュアンスがあるとのことで、今回は《貴婦人の手芸》って訳してみたよ。

この木管五重奏が書かれたのは1931年(今の形に編曲されたのが1939年)。その時期フランスでは、女性参政権運動が盛り上がってたみたい🔥

運動の一環として、元老院で議員に「女性に選挙権を与えても、靴下の穴は繕ってもらえます」と書かれた靴下🧦を手渡した人がいるらしいけど、こういう話を聞くと「Ouvrage de Dame」っていうタイトルにも、もしかしたらなんらかのメッセージが込められてるかも🤔

エルサ・バルレーヌの人生💛

1928年のエルサ

最後にエルサの生涯についても紹介するね。

ローマ賞受賞、ファシスト政権下のローマで

エルサは1910年生まれで、同じフランスの作曲家で言うとプーランクの11個下、メシアンの2個下の代だよ!

エルサのパパはオペラ座管弦楽団の首席チェリスト、ママは著名なオーケストラでピアノのレッスンをしたり合唱団で歌ったりしてた人。9歳からパリの音楽院に入って、《魔法使いの弟子》で有名なデュカス先生たちに作曲を学んだよ🧚成績めっちゃよかったらしい◎

デュカス先生とその生徒たち❣前列左から2人めがエルサだょ

1929年、弱冠19歳でローマ賞を受賞🏆(女性としては史上4人目)。おめでと〜! この賞をもらったらローマで数年間学ぶことができるから、翌年の1月にエルサはローマを訪れたよ。

そんなエルサを待ち受けていたのは、ムッソリーニによるファシスト政権下の社会。女性はキャリアを捨てて結婚・出産するよう奨励されるし、離婚・中絶・避妊は禁止されてるし、そうやって生まれた子どもたちは軍事演習に参加する💦

そんな現実を目の当たりにした時期に書かれたのが《貴婦人の手芸》だね。同じ時期に、反ファシズムの交響詩《Pogromes》も作曲されているよ。

WW2、ドイツ統治下、ナチスへの抵抗

フランスに帰ってからは、ラジオ演奏を専門とする新しい楽団、フランス国立管弦楽団に就職したよ。ピアニスト・歌唱部長、そして録音技師としても働いてたらしい🎛

でも、第二次世界大戦が始まっちゃって……楽団は解散しなきゃいけなくなった😭その後フランスがドイツの統治下に入ってから楽団は復活したけど、バルレーヌは再加入を禁止されたんだって……パパのほうの祖先がユダヤ人っていうのが一つの原因だったみたい……さらにお父さんもオペラ座管弦楽団から追い出されてしまったよ。かなしい時代だね。

でも、エルサは全く諦めず🔥「国民音楽戦線」の創設メンバーとなって、いろんな方法でナチスに抵抗したよ。占領下でもユダヤ人作曲家が作曲を続けられるよう、彼らの作品に自分たちの名前を付けて発表したり、ユダヤ人難民として国外に逃げなきゃいけなくなったミヨーの家賃をかわりに払ってあげたり、ドイツ兵の前でフランス国歌「ラ・マルセイエーズ」を自発的に演奏したり……当然ナチスに目をつけられてたから、偽名で活動してた時期もあったみたい。

1940年のエルサ

無事に生き抜いたエルサは戦後もいろんなことに挑戦しつづけました💪新聞にコラムを寄稿したり、レコードレーベルで録音ディレクターとして働いたりしたよ。1953年にはコンセルヴァトワールの教授になったよ👩‍🏫 もちろん個人としての作曲も続けていて、室内楽曲、オーケストラ曲、バレエ、声楽曲など本当に幅広い作品を残してるよ(もっと聴いてみたいよね、たくさん演奏されますように🥺💗)

ぜったい聴きに来てね!!

激動の時代を生き、その激動を音楽で表現したエルサ・バルレーヌ🔥どんどん抽象的になっていった作曲っていう芸術ジャンルに、ヒューマニズムを再び持ち込んだ人でもあったよ。

今回演奏する《貴婦人の音楽》は、そういった複雑な背景を知っていても、知らなくても楽しめる作品だと思うんだよね! みんなぜひぜひウチらの演奏を聴きに来て、感想をおしえてね〜😘🩷💛💚

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