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読書メモ『クマにあったらどうするか』

ちくま文庫の『クマにあったらどうするか』を読みました。

アイヌ出身のクマ撃ち猟師、姉崎等氏に、映像作家の片山龍峯氏が、クマについての経験や知識の聞き取りをした本です。

聴き手として片山氏が質問し、姉崎氏が答えるという対話形式になっています。

以下、私の感想になります。

この本はクマを知るための貴重な資料になりうるし、読み物としてもすごく面白かったです。

クマは人間をよく観察していること、むやみに人を襲ったりしないこと、強い大人のクマほど人に見つからないように工夫して遠慮して行動していること...それを証明する姉崎さんの実体験を中心にしたエピソードには、驚きの連続でした。

片山氏のアイヌやクマに対する関心と、姉崎さんへの畏敬の念が感じられるのも良かったです。

読みながら、私の中でクマが太古の豊かな知性を持った、何か霊的な存在として、立ち上がってくる気がしました。

クマを知ることによってクマの住む山が分かる。
姉崎さんは、本の中で、今の日本の山の多くは「生きていない」と言います。
人々が山に持ち込んだ食料やゴミ、そして国の営利目的の偏った植林によって、生態系が壊滅的な被害を受ける実態が語られます。

ちなみに私は山登りは好きじゃない、根っからの都会人です。それが良いわけではないですが、山に入らなければ山にごみを残すこともないわけで、都会に住む私は私で、自然や生態系に対してできることがあるのかもと思いました。

姉崎氏も片山氏も今は亡くなられてしまった方ですが、お二方の貴重な言葉に触れられたなとしみじみ思います。