映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』感想メモ
ノルウェーのドキュメンタリー映画『SONG OF EARTH/ソング・オブ・アース』を観てきた。
映画の舞台は、ノルウェーのオルデダーレンという山岳地帯。
そこで暮らしている老夫婦の暮らしを、その娘でありドキュメンタリー作家、マルグレート・オリン氏が一年かけて撮影した。
全体的に静かで、シンプルで、かつ入り込み甲斐のある映画だった。
これまで観た映画の中でも特に、眠気との戦いになった(笑)。でも、つまらなかったからではない(と思う)。北欧の美しく雄大な自然の風景と、そこから聞こえてくる多種多様な音…水、鳥や野生動物、風。絶えず流れてくる自然界の音が、心地よすぎたのだ。
映像の中のオルデダーレンの自然は、想像を越えていた。途方もなく高い岩山。その麓に広がる、広大で透明な湖。氷河から滝や川になってながれる大量の水。冬になると、全てが雪と氷に覆われる。一歩踏み外せば死に至る地形。土砂崩れや雪崩と、常に隣り合わせの土地。
お爺さんは、そんな土地の広大な山々を、春夏秋冬ずっと歩き続ける。その足音と、ハイキング用の杖の音は安定している。
ここの自然、そして、祖先から受け継がれた信仰と生きるための知恵を、心から敬愛してることが伝わってきた。この土地の自然は美しく、豊かで、同時に無慈悲だ。だからこそ、敬愛してるのだと思う。
お爺さんの奥様の表情からも、聡明さを感じた。 二人は、お互いが生きて目の前にいてくれるだけで幸せそうだ。大自然の暮らしの影響もあるのかもしれない。
お爺さんのお爺さんにあたる人が植えたという、ひときわ高いトウヒの木が、二人を見守る灯台みたいで神秘的。
北半球の山岳地帯の麓、インターネットが繋がってるかどうかも怪しい土地。
でも、私たちが生きていくのに、本当に大切なものって何だろう?と、立ち止まって考えたくなった。