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50歳のノート「ポジティブエナジーで主人公になる「クィア・アイ」」


Netflixの「クィア・アイ」の最新シーズン9が公開された。
「クィア・アイ」はアメリカ発のライフチェンジ・バラエティコンテンツ。
5人のトッププロが相談者のところに行って人生を変えてしまう。
ファッション、ヘアメイク、料理、インテリア、カルチャー。それぞれの専門家が相談者の魅力を引き出す。
面白いのは5人のプロは全員ゲイである。
とにかくテンションが爆裂高い。
相談者本人を家族や友達が推薦し、本人の前にサプライズ登場するのが定番。
本人は5人のハイテンションエナジーに目を丸くしている。
見始めのころ、ファッションやヘアメイクはわかるけど、料理とは? と思った。
料理のシーンはというと、料理担当のアントニ(王子様のようなイケメン)がずらりと食材を並べたゴージャスなレストランのキッチンに本人を招き「どんな料理が好き?」「誰と食べるの?」「思い出の料理は?」と相談者に聞きながら紐解いていく。

すると「家族に作ってあげたい」「亡き母が作ってくれた思い出の料理」など、本人の思いが出て来る。相手とうまくいかなくなり関係性が硬直してきている現在がある。
アントニに習いながら一生懸命料理に向き合う姿は食べてもらいたい相手との関係性を良くしようとひたむきになる姿を思わせる。

カルチャー担当はカラモ。彼がやっているのはカウンセリングだ。10年かかりそうなところをほんの数日で気づきをもたらす。
クィア・アイは滞在が5日が7日の企画である。
短い期間だとしても依頼者と向き合い、
「こう思ってるんだね、それは何で?」と
ポイントをついてくる。
「この人と向き合ったらいったい自分の何がひきだされてしまうのだろう?」と想像するほどだ。

今回のシーズン9で変化があった。
インテリア担当で控えめに依頼者の夢を現実にしていたボビーからジェレマイアという新メンバーに変わった。
ジェレマイアは俳優か少女漫画の王子様か?というくらいスイートなご容姿。
さらに依頼者の変化に一緒に涙したりと感受性が豊か。
前任のボビーの安定感も良かったが、ジェレマイアはドラマがある印象がある。
依頼者が「本当はベッドに天蓋をつけたかったんだけど、それをお願いするのがはばかられて。でもどうして言わなかったのに天蓋をつけてくれたの?」と感動するシーンも。
ジェレマイアが依頼者と向き合い、何かを感じ取ろうとする一生懸命さが伝わる。

ファッション、ヘアメイク、料理、インテリア、カルチャー、5つの専門分野の中で、変化したあと依頼者がわっと泣き出すのはなんとヘアメイクである。
ヘアメイク担当のジョナサンの手にかかると、もはや別人になってしまう。
髪型だけ流行りの(特に芸能人)をとってつけたような感じではなく、ちゃんとその人らしさの延長線上で洗練された輝きがある。
しかも依頼者の地元の美容室で地元の美容師さんと一緒にヘアカットしている。
彼らが去った後もちゃんと再現できるようにしてくれているのだ。
別人というほど変身した姿を見て依頼者は驚き涙する。髪でこんなに大きなインパクト出るんだ…と依頼者とともにしみじみと実感する。

ジョナサンの影響で髪のビフォーアフターが気になり、普段からインスタ、TikTok で美容室の変身動画を見ている。さすが! という変身がたくさん見られて楽しい。

ちなみに自分はショートなのだが、毎月担当の美容師さんに「前回と違う感じで」と気安くお願いしている。
この短かさでやれることが少ないにも関わらず、彼は毎回変えてくれる。
こういう自分もアリ?!と発見をもらえるのだ。
さすが…と思いリスペクトしている。

最後に今回しみじみと感じ入ったシーンがあった。
ファッション担当のタンのコーナーである。
ほぼ毎シーズン、彼は依頼者とこんな会話をする。
依頼者の部屋のクローゼットを見たタンは「何故こんな服を着ているの?」と尋ねる。
依頼者は「服に興味が無いから」とボソボソと答えるが、実は増量してしまった体を隠したくて、ずろーんとしたビッグTシャツとか作業着風のシャツばかり着ていた。

タンは依頼者を地元のショップに連れて行き、タンのおすすめの服を試着させながら好みを引き出して行く。(これまた再現性があるように地元のショップを選んでいるところがいい)。

今シーズンもショップでひともんちゃくあった。
試着させようとするタンを依頼者は拒む。
「昔と比べて20キロ太ったから着られる服が無い」。
しぶる依頼者に試着してもらうと、依頼者が気にするおなか問題はタンのコーディネートで目立たなくなっている。
けれど依頼者はお腹を覆い隠したくてゴネる。
タンは
「急におなかは引っ込まない。今の体型に合う服を着よう」
と言い、見せ方でいかに印象が変わるか依頼者に説明する。
依頼者本人もやってみて納得し始める。
すると不思議なことにすらっとした印象に変わり始めた。

確かに今すぐ20キロ痩せられるわけじゃない。けれど体はそのままで服選びと見せ方で何かが変わる。
一方で増量した体をヘイトしながら覆い隠しても何故かもっさり感が増してしまう。
そもそもでいうと減量すれば良いのだが、なかなかハードルが高いのは誰しも思うところ。
けれど、タンの手にかかると増量した体はそのままで洗練されていく。 
依頼者の体へのヘイトが薄まっていくのがわかる。

そんな自分もボリューミーな女性依頼者の回はじっくり見て参考にしている。
隠すだけじゃなくて、自分の体をヘイトすることを緩ませたいと思うのだ。
ダイエットについては別の回で語りたいけれども、自分の体をヘイトしてぶん殴っている気がしてならない。
それとは別物のタンの変身魔法を学びたい。

1時間足らずのひとコンテンツに依頼者の人生がある。そこに5人の魔法使いがやってきてわちゃわちゃと魔法をかけてくれる。
泣いたり笑ったり、大切な要素がぎゅっと詰まっているのでながら見はもったいない。

軽い実用性のあるコンテンツというには内容がみっちり、中には重い話もある。
けれどファブ5の5人が明るいエナジーで風通し良くしてくれる。
そんな風が吹き抜ける2025年にしたい。

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