大手企業からロボットを作りたくて転職。CRでやっと3度目の正直に
今回インタビューしたのは、技術開発部に所属するロボティクスエンジニアの一人、Yutaさんです。
子どもの頃からロボット好き、そして今、コネクテッドロボティクス(以下CR)でロボット製作に携わる彼に、歩んできた道、CRに入社してみて感じたこと、CRでの仕事に見出す面白さなどについて話を聞きました。
また、エンジニア目線から見たロボットの種類による業務の性質の違いなどについても語ってもらいました。
小さな頃からロボット好き。大学もロボット一色
—— 現在携わっているお仕事について教えてください
Futappy(惣菜や弁当の容器の蓋を閉めるロボット)のチームで、プログラムに近いところをやっています。スカラロボットについているアームが蓋を閉めるのですが、主にそのアームのモーションを担当しています。
—— もともとロボットに興味を持っていたのですか?
はい。出身は秋田県なのですが、かなり小さい頃からロボットアニメをよくみていて、それを知っている親や親戚が買ってきてくれるおもちゃもやっぱりロボットでした。それを分解したりして遊んでいました。
当時からロボットそのもの以上にその中身のほうに興味があったというか、ロボットを使って普通に遊ぶよりも内部の機構を見るほうが好きでしたね。
小学生の頃には2足歩行ロボットを作っていました。そして子どもの頃からの興味をそのまま持ち続け、上京して東京農工大学に進学し、機械システム工学科で機械系全般について学びました。
大学のサークルはロボット研究会に入っていましたし、趣味で小さなロボットを作ってもいましたから、専攻もサークル活動も趣味もものづくり一色、学生時代はロボット一色でしたね。
「ロボットを作りたい」という気持ちに導かれて
—— 東京農工大学……つまり、まさにここ(CR研究室所在地)で学んでいたということですか?
はい、その通りです。学生時代に慣れ親しんだ場所で働くことになったわけです。ランチタイムには学生の頃に通っていた店に行っています(笑)それに実はCRと共同研究を進めている研究室に所属していました。とはいっても、当時私自身は共同研究にあまり関わっていませんでした。ただ、CRと研究を進めている同期生をはたから見ていて「楽しそうだなぁ」とは思っていました。
—— 大学卒業後にCRに入社しようとはならなかったということですね?
そうですね。正直なところ、CRがどうこう以前に当時の私はベンチャー企業というものに対して不安を感じていました。実際、その頃のCRは本当にできたての会社だったのでなおさらでした。
それで大手電機メーカーに新卒入社したのですが、配属されたのは洗濯機の研究開発を行う部署で、やりたかったロボットとはかけ離れていました。
ロボットに携わりたいという気持ちが常にあったので、結局その電機メーカーを1年で去ることになりました。
次に入社したのが移動ロボットなどを製作する会社で、そこでは建設現場向けのロボットを提案するような部署に所属していました。それがCRに来る前の前職で、1年半ほど勤めました。
—— そこからCRに転職することにしたのはなぜですか?
はじめのうちはまだ良かったのですが、徐々にただただ提案するだけになっていったからです。提案書を書いて、お客様にプレゼンして、スケジュールを立てて……とプロジェクトを回すのが仕事になり、自ら設計したり製作したりということがなくなっていきました。
自分で手を動かして作りたいという思いが強くなっていった時に、転職の決意を固めたところにCRの担当者から声がかかったんです。学生の頃はベンチャー企業に対し不安を感じていましたが、1度目の転職先がベンチャー企業だったので、漠然とした不安というのはもう感じなくなっていました。また、2度目の転職を考え始めたちょうどその頃、CRのそばロボットがニュース番組で取り上げられたりしているのを目にするようになってもいました。「共同研究していたあの会社、随分成長してきているんだなぁ」という印象をCRに抱くようになっていたこともあってせっかく声をかけてもらったことだし、ちょっと話を聞いてみようかと。それが現在につながりました。
サポートもコミュニケーションも全てがちょうどいいCR
—— 実際にCRに入社してみて、いかがでしたか?
まず感じたのは、ベンチャー企業にしては新入社員に対するサポートが手厚いということでした。同じベンチャー企業でも前職ではそれこそ入社したら何の説明もなしにすぐ仕事が任され、それはそれですぐに業務に集中できる良さはあったかとは思いますが、物の買い方くらいは教えておいてほしかったなと感じていました。
その点、CRでは馴染めるようにするための期間がちゃんと設けられていて、ありがたかったですね。もちろん、大企業のように半年間とか1年間とかの研修があるわけではないですが、逆にそこまで長いとなかなかロボットを作らせてもらえないですし、CRくらいが長過ぎず短過ぎずで私にとっては程よかったです。
ある程度経ってから感じたのは、自分の業務への集中しやすさですね。小規模な会社ではエンジニアが何もかもやらなくてはいけないようなところが往々にしてありますが、CRではマネージャー職とエンジニア職がきちんと線引きされているように感じます。ですから、ベンチャー企業とはいっても、エンジニアが設計業務などに比較的集中しやすい環境になっているのではないかと思います。
—— CRの仕事仲間についてはどうですか?
エンジニアも含めという言い方はおかしいかもしれませんが、コミュニケーション能力が高い人が多いという印象を受けます。あくまで一般論ですが、基本的にものづくりに打ち込むエンジニアの場合コミュニケーション能力があまり重視されないのか、話し合うのが難しいような人も見受けられるものです。でも、CRのエンジニアにはコミュニケーションを取るのに苦労するようなタイプはおらず、普通にちゃんと会話ベースで進んでいきます。また、ロジカルな人ばかりなので、好き勝手に動いたり感情的だったりということもない。安心できますね。
チームメンバー同士のコミュニケーションも良好です。机を向かい合わせに配置していてそれぞれが近いので、「うーん、ここがわからないな……」などとつぶやくとそれが周りにも聞こえるんですよね。なので、「どこがわからないの?」「こうすればいいんじゃない?」と皆んなが反応して、自然とディスカッションがスタートする感じです。
そういうのが良いと感じる人もいれば良くないと感じる人もいるでしょうが、少なくともうちのチームではそういった形のコミュニケーションがいい感じに機能していて、すぐに相談できるような体制が整っています。
関係性もいいですよ。休みの日にはCRメンバーとサバイバルゲームをすることもあります。
少しくらい無茶でもトライしてみるカルチャーが面白い
—— 業務に携わる中で、一番面白さを感じるのはどういった部分ですか?
ちょっとくらい無茶でも取り組んでみるという姿勢に面白味を感じています。私が担当していたFutappyはさまざまな種類の蓋に対応可能なのですが、それってちょっと無茶なところのある話なんです。事実、世の中に蓋閉めロボットは多数ありますが、「四角い蓋でも丸い蓋でもなんでも閉められます」というのは見当たりません。それをあえてやってしまうところが私にとってはかなり面白いです。
—— では、達成感を感じるのはどういったときですか?
最近の話でいえば、蓋閉めロボットの成功率を99%近くまで持っていけたときです。蓋閉めって簡単そうに見えるかもしれませんが、完璧にパシッと閉まった状態にするのはなかなか大変で、成功率80%くらいで頭打ちになっていました。ですがモーションを工夫したことで成功率が約99%にまで上がり、あのときは大きな達成感を感じましたね。開発を進めている最中にも対応できない蓋がどんどん見つかるのはキツかったです。営業が「こういうのもあります」と言って違った形状の蓋を持ってきてくれるのですが、結構な確率でうまく閉められず……。
—— そういった場合、どうやって解決に導くのですか?
私の場合、一つひとつにフォーカスするのではなく、あえて客観的にその物を捉えるようにしています。蓋の場合だと「蓋とは何か?」みたいに、蓋というものの本質について考えてみるんです。
そもそも蓋って人が手で閉めるものなのだから、大前提として人間フレンドリーに作られているよね。そうすると縁の大きさはだいたいこれくらいの範囲に収まっているはずだよね……といったように一歩引いた視点から観察し、考えてみる。困ったときにはそういう風なアプローチをよく試みますね。
手がけた蓋閉めロボットの導入インタビューはこちら
マニアックな人とともにチャレンジしていきたい
—— 今後チャレンジしてみたいことについて教えてください
実はこの4月から大学院の博士課程に進学しました。修士の時に研究していたことをさらに発展させた、ロボティクスがテーマです。
働きながら博士課程を進むのは結構大変ではあるのですが、仕事の面でもとても良い影響があるなと思っています。研究者と話をしていると、前提やコストも含めた社会実装という枠に囚われすぎずに思考や発想をすることができると思うんですよね。
研究者と開発者って近いようで隔たりがあります。
開発者は世の中で誰も実現できていないものを作って実装するという観点で考えます。それには現場の課題やコスト面も含めて実現しなきゃいけない。でも、研究者は実用性を考えないで新しいテクノロジーの可能性をひたすらマニアックに追求していくんですよね。
例えば、海外でようやくヒューマノイドロボットがでてきています。日本ではだいぶ昔から着手していたと思うのですが、今はほとんどの会社が辞めていてるし、イーロンマスクの取り組みをみても「また使い物にならないまま終わるんじゃない?」って、企業の開発者はどこか冷めているところがあると思うんです。
ロボットって夢でしょって思われているところも多いし、おもちゃを作っているんじゃないかと思われがちです。たしかに実用性がなかったらおもちゃだけれど、それをいかに商品・製品化するかという観点でものを考えればいい。自分は今回こそはラストチャンスなんじゃないかと思っていたりします。
だから自分が基礎研究をする研究者と、開発者の間を繋ぐような存在になれたら良いんじゃないかなと。そういうのに関わりたいなと思っています。
—— 最後の質問となりますが、こういう人と一緒に働きたい、こんな人がCRに向いていると思うというのがあればお聞かせください
私たちが知らない知識を豊富に持っているような方がいらしてくださったら、すごくありがたいなと思います。たとえば、ニッチな分野で長く設計に携わってきた方ですとか。CRに向いている人という意味では、マニア度とコミュニケーション能力とか、その辺りのバランスの取れた方が良さそうかなと思いますね。
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