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イベント紹介レポート

2022年8月20、21日及び27、28日、武蔵野美術大学通信教育課程の科目「コミュニケーション研究Ⅱ」/「社会形成デザインⅢB」の授業が行われました。近年ダイバーシティという言葉を耳にするようになりました。様々な立場や境遇の方々を尊重し、共生していく社会が求められています。社会課題を解決していくためにも、そうした多様な人々を繋ぎ、それぞれの強みを活かしていくことが必要ではないでしょうか。今回の授業では、12名の学生がそれら情勢を感じつつ、それぞれの強みを発揮しながらオンラインのトークイベントを企画・運営しました。

本イベントは、『アートの力 泣くよかひっ跳べ〜鹿児島に跳んだ女性たち!覗いてみっきゃん〜』と題し、鹿児島県で活躍する武蔵美の卒業生にスポットライトを当て、アートやデザインをどのように地域社会へ還元し、活躍されているのか、ご自身の経験を踏まえながらお話を伺いました。鹿児島にいらっしゃるゲストの皆様と武蔵美吉祥寺校とをオンラインで接続し、Zoomウェビナーを用いて、8月28日(日)10時より約90分にわたり配信をしました。イベントには、およそ36名の視聴者を迎え、大盛況のうちに終了しました。


ゲスト紹介

薩摩切子作家 中根櫻龜(なかね おうき)さん

短期大学卒業後に進学した東京ガラス工芸研究所で、所長から薩摩切子の復興をやらないかと声をかけられたことをきっかけに鹿児島へ渡りました。
江戸時代末期から20年程で途絶えてしまった伝統工芸品を復興するにあたって、一人で職人の男社会に飛び込んだ中根さん。昔の文献等から薩摩切子の研究や施策など試行錯誤しながら復興に尽力されたそうです。伝統を「守る」のではなく「作る」という発想で、素材の開発やデザインを模索しながら新しい作品作りに挑戦し続けています。

復元切子 集合


鹿児島県立美術館設立を考える会 会長
宮永祥子(みやなが しょうこ)さん

宮永さんは、ムサビOB街歩き会で知り合った方々からさまざまな刺激を受け、自分にも地元にできることがあるのではないか?と考えるようになったそうです。
そして、「鹿児島県美術館設立を考える会」設立当時に、副知事を務めていた女性の中村かおり氏とお話した際に、「鹿児島県は女性のジェンダー問題が周回遅れだ」と聞いた後、初代会長から「美術界から女性を送りだそう、頑張りなさい」という風に言われ、不安をかかえつつも、「鹿児島県美術館設立を考える会」の会長となることを決意したそうです。

鹿児島県立美術館設立を考える会と仲間たちの集い 記念写真


ガラスクリエイター
齊藤ちひろ(さいとう ちひろ)さん

大学卒業後、写真館でデザイン職についていた齊藤さん。ガラスに触れないフラストレーションを感じていた中、教授経由で中根さんから薩摩切子作りの声がかかりました。
齊藤さんは当時、関東の実家で暮らしていたため、ご両親や友人からは「わざわざ鹿児島に行かなくても」と言われたそうです。それでも、夢だったガラスの仕事をするために鹿児島へ行くことを決意しました。
残念ながら、当日は体調不良によりご欠席となりましたが、事前に伺ったお話をまとめた記事があるので、ぜひご覧ください。

齊藤さん 工房にて

質問コーナー (一部抜粋)

イベントでは、20分間の質問コーナーがあり、当日ご視聴いただいた方々から、多くの質問を頂きました。実際にどんな背景や環境のなかで活動をされてきたのか、直前のトークの中で実体験を踏まえたお話を伺うことができたこともあり、質問でも下記のようなものをいただきました。

  • 武蔵美の卒業生が鹿児島に移住したとしたら、活躍できる場はありますか?

  • 今まで困難だと感じたことは何かありますか。またそれを乗り終えるためにどうされましたか。

  • 宮永さんは今後、鹿児島県立美術館がどうなっていくといいでしょうか?

  • 今後、薩摩切子がどうなっていくといいとお考えですか? 等

ご回答いただいた中では、ご自身の活動に関しての想いや今後の展望、地方でデザイン・アートという力が求められていて、まだまだ活躍の場がたくさんあること、また、人との繋がり、縁から得る刺激がご自身の活動に活きているといった実体験に基づく貴重なお話をいただきました。
詳細はアーカイブ動画をぜひご覧ください。


おわりに

イベント中には、

  • ひとりひとりが認められる、大事にされる社会づくりをアートがそれを引っ張っていく!可能性を感じました。

  • 私も地元に美術館が無いことを残念に思っている1人ですが、ゼロから立ち上げようと奮闘されてる姿や、美術館に求められる役割の変化など共感するお言葉が沢山ありました。とても勉強になりました。

  • 自然体な感じで、でも信念をもつことの強さを感じました。

  • じっくり考える、発酵させる時間。大事にしたい。

といったコメントが視聴者から寄せられ、お二人のお話から日々の活動へのヒントや学びを得ることができた視聴者も多くいらしたようです。また、イベント時に実施したアンケートには多くの視聴者から回答を頂きました。いただいた中には、

  • 母校のつながりが先々たくさんの出会いを与えてくれることを感じました。

  • 自分の想いを形にすべく奮闘されている方のお話は本当に勇気づけられます。

  • 地域の中でデザインにできることはたくさんあると思うので頑張ります。

  • 一度きりの人生、自分の想いを大切に、後悔しないように生きたいとお二人を見てさらに強く思いました。

といった内容もあり、視聴者ご自身が勇気づけられる内容だったのではないかと思います。
みなさんにとってこのイベントが、何か気づきや、背中を押すきっかけとなったのであれば幸いです。


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