【2023年度】現在のSDGsの達成度は?日本のランキングや世界の現状について
「SDGs」という言葉を耳にしたことがある方は多いかと思います。
一方で、「SDGsって環境を良くすることでしょ?」「日本独自でやってるんじゃないの?」というイメージに留まっています。。
でも、SDGsは環境を良くするためだけのものでも、日本だけでやっているものでもなく、世界が一丸となって向き合うべき、17個の目標なのです。
そこで今回は、SDGsの17個の項目と、それに対する世界の達成度について詳しく解説します!
SDGsについて
「SDGs」とは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」のことを指します。
まずは、以下で具体的な特徴や目標について解説します。
SDGsの特徴とは
SDGsは、以下の17の目標を達成するために、169のターゲットと232の指標を設定していることが特徴です。
【SDGsの17の目標】
貧困をなくそう
飢餓をゼロに
すべての人に健康と福祉を
質の高い教育をみんなに
ジェンダ―平等を実現しよう
安全な水とトイレを世界中に
エネルギーをみんなにそしてクリーンに
働きがいも経済成長も
産業と技術革新の基盤をつくろう
人や国の不平等をなくそう
住み続けられるまちづくりを
つくる責任つかう責任
気候変動に具体的な対策を
海の豊かさを守ろう
陸の豊かさも守ろう
平和と公正を全ての人に
パートナーシップで目標を達成しよう
SDGsの達成とは
SDGsは、2015年から2030年までの15年間で社会・環境・経済の3つの側面から持続可能な開発を追求する世界共通の目標です。経済発展だけではなく、環境や社会の持続可能性にも取り組むことで、誰一人取り残さない社会の実現を目指しています。
2030年のゴールに向けた達成度は、国連持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)が毎年報告書を発表しています。
日本のSDGs達成度
日本のSDGsの取り組みは、高く評価される項目がある一方で、課題点もあります。以下では、指標別の達成度と達成度ランキングについて解説します。
SDGs指標別の達成度
参照:Sustainable Development Report(Japan)
上記の図は、日本のSDGs指標別の達成度を表したものです。SDGsの17目標ごとの達成状況は、目標タイルの色で評価されます。
日本は、以下の5つの目標において、昨年に続いて最低評価です。
ジェンダー平等(目標5)
つくる責任、つかう責任(目標12)
気候変動対策(目標13)
海の環境保全(目標14)
陸の環境保全(目標15)
また、「働きがいと経済成長」(目標8)は、強制労働と関係する輸入品が多いことなどが響き、下から2番目に評価が下がりました。
さらに、昨年までは最高評価の「達成している」だった「平和と公正」(目標16)は、報道の自由に課題があるとして、ひとつ下の評価になりました。
一方で、「パートナーシップ推進」(目標17)は、政府の途上国援助(ODA)の増額が効いて最低評価を脱し、成果が出ている項目もあります。
【2023年】日本のSDGs達成度順位は21位
2023年の日本のSDGs達成度ランキングは、前年の19位から2位下落し、166カ国中21位となりました。
参照:Sustainable Development Report(Japan)
日本のSDGs達成度の順位は、以下のように推移しています。
世界のSDGsランキング
各国のSDGsランキングをみると上位国と下位国で特徴があります。以下で、詳しく解説します。
SDGsランキングが高い国の特徴
SDGsランキングの1位から3位が北欧です。フィンランドをはじめとする北欧は、福祉制度が充実していることで知られ、高額な税金による財政基盤の安定が背景にあると考えられます。
また、SDGs指数の上位10ヵ国はすべてヨーロッパです。うち9ヵ国は、EUに加盟しています。上位国でも課題が残っていますが、ヨーロッパは持続可能な開発を達成するための取り組みがなされていると言えるでしょう。
SDGsランキングが低い国の特徴
SDGsランキングが低い国は、低所得国の傾向にあります。特に貧困や飢餓などの社会課題が深刻な状況です。
また、紛争や貧困などの課題もあり、紛争の終結をはじめ貧困対策や教育の普及などの取り組みが今後も必要になるでしょう。
世界のSDGsの現状
では、世界全体として、SDGsはどのくらい達成されているのでしょうか。以下で、現状について解説します。
各国で投資や政策は進んでいる
2015年から2019年にかけて、SDGsの進捗は一部の国で見られたものの、2020年のパンデミック以降、SDGsの進捗は世界的に停滞しています。
SDGs達成には、今後も投資全体の量を増やす必要があるでしょう。低所得国が直面しているSDGs資金の慢性的な不足に対処が必要と言われています。
2030年までの目標達成度は2023年時点で18%
2015年以降のSDGsの進捗状況に基づくと、いずれの目標も2030年までに達成される見込みがほとんどないと報告されています。
参照:Sustainable Development Report
特に以下の項目は、達成に向けて大きく遅れをとっていました。
飢餓
持続可能な食生活
健康成果に関連する目標
陸上および海洋の生物多様性
生活インフラ
平和と公正
主要なインフラへのアクセスを強化する点で進展を遂げています。しかし、国により異なり、特に発展途上国ではさらに努力が必要とされている現状です。
2030年までに目標達成できなかったら
SDGsが2030年までに達成できなくても、罰則はありません。しかし、世界が抱えるあらゆる問題はさらに深刻化していくでしょう。
日本は紛争もなく、世界的にみても恵まれている国です。そのため、当事者意識が低い方もいるかもしれません。しかし、SDGsの目標が達成されなければ、日本も例外なく住みづらい国になってしまうでしょう。
SDGs推進本部の取り組み
2016年5月に、日本政府は「SDGs推進本部」を設置しました。毎年2回のペースで会合を開催し、SDGsの達成に向けた政府の取り組みを検討・決定しています。以下で、取り組み内容について解説します。
SDGs達成に向けた各省の取り組み
日本の各省庁で行っている取り組み内容は以下の表のとおりです。
省庁の取り組み一例
上記であげたとおり、各省でさまざまな取り組みが行われています。具体的にはどのようなことを行っているのでしょうか。以下では、防衛省と環境省の取り組みを例にご紹介します。
防衛省では「防衛省における女性職員活躍とワークライフバランス推進のための取組計画」にて設定した目標のもと、採用・登用を拡大しています。自衛官採用者に占める女性割合は、10.9%(平成27年)から18.4%(令和3年)に増加しました。
また、環境省は海洋プラスチックごみ問題の解決に向けて、すべての人がプラスチックとの賢い付き合い方を実践できるように、全国的に「プラスチック・スマート」を推進しています。
参考:プラスチックスマート Plastics Smart | 環境省公式サイト
国連ハイレベル政治フォーラム(High Level Political Forum : HLPF)への発信
国連ハイレベル政治フォーラム(HLPF)は、2030アジェンダの実施状況を評価し、改善に向けた取り組みを促進するために、国連が主催する国際会議です。
HLPFの会合は、国連総会のもとで行われる首脳級(SDGサミット)と経済社会理事会のもとで行われる閣僚級の2種類があります。
2019年9月に国連本部で行われたSDGサミットでは、安部内閣総理大臣から日本のSDGs達成に向けた取り組みについて発信されました。
また、2023年に行われたSDGサミットでは、岸田内閣総理大臣がSDGsの原点である「誰一人取り残さない」ことに立ち返っています。日本が主張する「人間の安全保障」を基盤にSDGsを達成するために、日本が国際社会を牽引していくと表明されました。
日本政府による取り組み
国際社会でSDGsへの取り組みが活発化するなか、日本政府も国内でSDGs関連の取り組みを強化しています。以下で、具体的な取り組みについて解説します。
SDGs実施体制の取り組み
SDGs推進本部では、2016年12月にSDGs実施指針を策定しました。指針を加速させるために、具体的施策をまとめたSDGsアクションプランを定め、国内における実施と国際協力の両面でSDGsを推進しています。
また、SDGs推進本部のもとでは、行政やNPOなどのさまざまな組織関係者により構成されるSDGs推進円卓会議が設置され、政策に対する活発な意見交換がされています。
防災の取り組み
日本は、自然災害の経験が多い国です。だからこそ、日本政府は培った知識や技術を活用し、防災の主流化や事前防災投資の重要性などを積極的に推進しています。
各国の防災分野における取り組みを支援するとともに、「仙台防災枠組2015-2030」の実施や進捗状況のモニタリング及び報告活動も活発です。
保健の取り組み
2015年9月に策定された「平和と健康のための基本方針」において、公衆衛生危機・災害等に対して下記を重点的に行うことを表明しました。
強靱な国際健康安全保障体制の構築
ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成に向けた取り組み
UHCは「すべての人が適切な予防・治療・リハビリ等の保健医療サービスを、支払い可能な費用で受けられる状態」を指します。
日本はUHC達成に向けて、2019年6月のG20大阪サミットで約100万人のエイズ・結核・マラリア患者の命を救い、約130万人の子供たちに予防接種を実施するなどの成果を出すことを宣言しました。
2019年9月には、日本政府が推し進めてきた、UHCに関する国連ハイレベル会合が初めて開催され、2030年までにUHCの達成が予測されています。
教育の取り組み
教育分野において、日本が重点的に取り組んでいる点は以下のとおりです。
包摂的かつ公正な質の高い学びの実現
産業・科学技術人材育成
国際的・地域的な教育協力ネットワークの構築・拡大
日本政府は、2019年6月のG20大阪首脳宣言の中で、人的資本に投資し、すべての人々への包摂的かつ公正な質の高い教育を推進すると約束をしました。
また、安倍総理は日本が途上国において2019年から2021年の3年間で、少なくとも約900万人の子ども・若者に、イノベーションのための教育とイノベーションによる教育を提供するという「教育×イノベーション」イニシアティブを発表しています。
ジェンダーへの取り組み
日本政府は、以下の支援を通じて、女性の活躍推進と質の高い成長を目指しています。
女性に配慮したインフラ整備や母子保健サービスの拡大
女子教育や理系分野で活躍する女性の拡大
防災分野をはじめとする女性の指導的役割への参画推進等の支援
また、ジェンダー平等と女性のエンパワーメントを国内外で実現するため、2014年から「国際女性会議WAW!」が開催されました。
世界中から幅広い分野で活躍するトップリーダーが集まり、日本や世界が直面するさまざまな課題について議論する会議です。
国内全体でジェンダー平等に向けた気運を高めるため、さまざまなサイドイベントも開催されています。
環境への取り組み
2019年6月のG20大阪サミットにおいて、日本は議長国として海洋プラスチックごみの問題を主要課題の一つとして取り上げました。
G20首脳間で海洋プラスチックごみによる新たな汚染を2050年までにゼロにすることを目指す「大阪ブルー・オーシャン・ビジョン」を共有し、G20以外の国にも共有するよう呼びかけています。
また、ビジョン実現のための「G20海洋プラスチックごみ対策実施枠組」に合意し、2023年7月に新たに第5版のG20海洋プラスチックごみ対策報告書が発行されています。
SDGsを達成するために自分たちができること
SDGsの達成には、政府や企業などの政策が重要であることは言うまでもありません。しかし、個人がSDGsに配慮した行動をとることでも達成度を高められるでしょう。
SDGsの達成に向けて自分たちができることには、以下のものがあります。
支援団体へ寄付する
地域ボランティアへの参加
エコバックやマイボトルを持ち歩く
節電・節水を心がけて無駄なエネルギーをなくす
情報発信を行う
ヴィーガン食を取り入れる
一人ひとりがSDGsに配慮した行動をとることで、より持続可能な社会の実現に貢献できるでしょう。
SDGsを達成するために協力が必要
SDGsを達成するためには、政府や企業、個人がそれぞれの立場で協力し、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでいくことが重要です。
CQプロジェクトは、カーボンニュートラル社会の実現のために、一人ひとりがライフスタイルについて考えて、行動に変えていくことを目指すプロジェクトです。
環境課題への価値観を変えるサステナブルツアーやインフルエンサーインタビューを行い、若い世代を中心に環境問題を身近に感じてもらう仕組みを作っています。
また、CQのX(旧Twitter)では情報発信だけではなく、サスティナブル商品やプレゼントキャンペーンも実施しています。
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