人に歴史あり・器に歴史あり・私にも浅い歴史あり 祖母の場合in我が家族
センスがよいけど…不器用だった祖母。
不器用だけど…努力の人だった祖母。
常にわたしの味方でいてくれた祖母。
母方の祖母は、母が幼い頃祖父と離婚して一人叔母と母を育てた。これからの時代、女も知識・学問が必要だ!と、教育熱心で元祖スパルタ教育をしたらしい(叔母と母曰く)。自らも常に仕事前に早起きして勉強をしていたそうで、スーパーお母さんだった祖母。話を聞く限り、叔母と母が巣立つまでたくさん苦労したんだと思う。
そんな祖母は、一段落したんだろう。自分の時間をやっと楽しむゆとりができ、職場の仲間たちと一緒に墨絵を習い始めた。私が子供の頃遊びに行くと、休日は良く自宅で練習をしていた。竹やぶと雀の絵で雀がうまくかけないと、雀だけを新聞紙にそれはそれは何枚も描いて練習をかさねていた。他の教室仲間は多分、どんどん合格をもらい次の絵に着手していたとおもうのだけど。祖母は不器用なので人の何倍も練習して時間をかけていたんだと思う。でも、とっても楽しそうだった。定年後も続いたが、墨絵の先生が高齢でリタイアと共に職場仲間と通った墨絵教室も終了となった。その後、私が通っていた油絵教室に一緒に通ったりして、趣味の時間を楽しんでいた。
祖母はセンスは凄く良い、ただ不器用だ!しかし、それをリカバリーするほどの努力家だった。そして、悲観的な努力と言うより楽しくってやっているという感じだった。読書も好きで経済本〜JJ cancan 25 ans まで幅広く網羅。お笑い番組も大好き、一緒になってダウンタウンの番組をお腹抱えて笑いあったりもした。庭いじりに目覚め、庭に咲いたお花をワイングラスやティーカップに飾っていた。そして、生涯最後の趣味は陶芸に落ち着いた。
わたしがパリに行く前後で始めた陶芸。一時帰国の際は、「今度こんなの作ってよ!」と言って、祖母と次の作品について話していたが、お願いした作品を直接手で受け取ることができず。形見として、その後帰国するたびに何回かに分けてフランスに持ち帰っている。
瓢箪から駒の瓢箪をとったとのこと。
我が家のキッチンで私を見守る祖母。(しかし、料理はそんなに上手じゃなかったw)
目立つことが嫌いだったので、今頃空の上から『キャー!恥ずかしい!』と言って騒いでるかもしれないけれど。祖母の手仕事歴史としてバンバン載せちゃいます。
気がつけば、わたしの人生に多大なる影響をおよぼした祖母。会社勤めからいきなりの花仕事への転職も、祖母が花いじり始めた頃。花の色合わせって面白い!と、突き動かされた。パリ行きも母と祖母に背中を押されバックアップしてもらった。祖母がなくなってから、私は思わぬ形でパリで陶芸教室に通うようになった。そして今、墨絵をしてみたくウズウズしている。
ただ、努力 根性 我慢を体現していた祖母のその部分だけ影響を受けなかった私。。。
祖母の器のすきなところ
ただただ、愛情がこもっているところ。
ただただ、祖母の手の温もりを感じられるところ。
ただただ、不器用をカバーするほどの思いを感じられるところ。
食卓を温かい気持ちにさせてくれるところ。
祖母の懸命に生きた歴史と、優しい思いはちゃんと私の手元に残っているよ!