マーケティングニュースまとめ Vol.38:「Twitterで嫌われているブランド」など
都合のいいCGインフルエンサー
カーディフ大学のデジタルメディア研究の講師Francesca Sobandeの執筆記事。彼女は現在市場を賑わせているCGインフルエンサーのについて警告・批判を発している。
彼女が特に指摘しているのが「真正性」(AUTHENTICITY)。CGインフルエンサーはお手軽に性格や人種的特徴を作れるため、過度な市場原理主義的な人を形成してしまえば、植民地主義、文化的流用、搾取などの問題が浮かびあがり、かつ背後にあるクリエイティブ・チームは、(矢面に出る必要が全くないため)ほとんどこのような批判を受けないような仕組みとなってしまいっていることを、不健全な状態だと真っ向から批判している。かつ、ブランドがアクティビズム(消費と活動を同一視した上で経済圏を作る方法。)と連携する中で、より思想を強めた「アクティビスト」とされるCGIインフルエンサーとの連携は、彼らの印象をお手軽にイメージを良くする可能性があり、さらには実際の活動家の活動を矮小化し、歪めてしまう可能性があるとも指摘している。日本でもすでにCGインフルエンサーを活用した事例が出ているが、確かに漏れなくソーシャルグッドな広告に起用されている。彼女から言わせてみれば、それは企業にとって都合のいい人格を作ったまでであり、逆にアクティビズムを矮小化させる可能性があるのかもしれない。
一方で、記事の最後ではこのような締めになっている。
「多くの黒人CGIインフルエンサーとその元ネタは、黒人の生活、文化、体現についての歪んだ考えに応じた黒人の物まねを求める市場の需要が蔓延していることを表しているように思えます。しかし、私は業界を変えようとする黒人の活動を評価しており、クリエイターであり「ミューズ」でもある黒人によって、黒人のCGIインフルエンサーの未来がどのように形成されるかに興味を持っている。」
CGインフルエンサーはお手軽で都合のいいインフルエンサーとなるのか?自分たちのアイデンティティーをより強埋める存在となるのか?どうなっていくのだろうか。
k.t
Twitterで、嫌われているブランドは・・・?
ソーシャルメディア分析ツールを使って、100の大手ブランドを取り巻く感情を調査した製品レビューサイト「Rave Reviews」によると、嫌われているブランドは、Uber、Lego、Sonyらしい。Uberはなんとなくわかるけれど、Lego、Sonyはちょっと疑問に思う。
ネガティブなツイートの多くは、カスタマーサービスでのネガティブな経験に関連しており、レゴについては、ピースが欠けていたり、おもちゃが高すぎると思ったりしたときに特にひどいツイートをしてしまうらしい。つまり一時の感情をぶつけるためにつぶやいていただけとのこと。
Sonyもそのほとんどがプレステ。ちょっとした購入体験がよくなかったりとか、操作体験がよくなかったりとか、そんなのでネガティブなツイートをする。一方で、その二つのブランドは長年愛させれているブランドであるということは僕らは重々承知であって、どんなツイートをしようとおそらくそのブランド力はなかなか揺るがないものである。どこまでネガな話を聞くべきなのか=顧客第一主義であるべきなのか?その線引きはいつまでたっても難しい。
k.t
大停電の夜に
月曜日にFacebookのサービスが大規模に停止した(大停電)頃、Pornhubのトラフィックは10.5%も急増したという。なぜ、アクセス数が激増したのか、「不明」らしい。
なかなか笑い話にできない背景もある。一部では、Facebook or Instagramを、ティーンエイジャーの女の子に悪影響を与えていること指摘している専門家がいる。つまり、男たちは彼女たちを「探す」ために利用していると。その代替としてPornhubユーザーの10.5%だったら・・・?なかなか闇が深い。
k.t
シンプソンズとバレンシアガのコラボ
シンプソンズといえばアメリカの典型的な中流階級を描いた皮肉たっぷりなアニメシリーズです。一方のバレンシアガは日本でも大人気のラグジュアリーブランドですが、この両者がコラボした特別アニメが制作されました。話の流れとしてはひょんなことからバレンシアガのファッションショーにシンプソンズの登場人物が参加するといった内容です。
作中でもバレンシアガの露出度は当然高いのですが、皮肉で笑いを取るアニメの作風と相まってちょうどいい塩梅でブランドのアピールになっていました。広告でブランド情報の押し付けになってしまう所に一歩引いた目線で自虐をいれてくれる存在として機能しているのではないでしょうか。
s.a
Facebookの内部告発者問題
数年前に、アメリカ政府の監視システムを告発したスノーデンが世界中を騒がせていましたが、今回はFacebookのプロダクトマネージャーが告発をしました。といっても、Facebookがユーザーの監視を行っているといった話ではなく、青少年に対する悪影響についての話題でした。告発者によると、Facebookが自社のプラットフォームがヘイトクライムやフェイクニュースの温床になっている事実を認識しておきながら、それを隠蔽しようとしていたそうです。ソーシャルメディアが社会をよりオープンにするという役割を果たしていることを考えると、今回の騒動は皮肉ですね。
s.a
システムダウンしたFacebookを皮肉る郵便局の広告
上記の告発者問題とは別に、Facebookが6時間に渡って停止したことを皮肉る広告が生まれました。広告代理店のオグルヴィによって作成されたその広告では、「Social Post」の「Social」に取り消し線を引いたシンプルな内容ですが、Facebookを皮肉りつつ「post」つまり郵便をアピールする内容になっています。社会に無機質なモノがあふれるようになって初めて見えてくるものがあるということもある、と言うことでしょうか。
s.a