#039【絵本】おばあちゃんのにわ
今日もほっこり絵本の世界へ📚
絵本を読んだ記録として、感想を書いています。
はじめに
昨日の読書記録『ぼくは川のように話す』のジョーダン・スコットさんの、こちらは昨年発刊の新作。
今日の絵本
『おばあちゃんのにわ』
ジョーダン・スコット 文
シドニー・スミス 絵
原田勝 訳
発行所:偕成社
感じたこと
著者の幼児期の実体験、今回はおばあちゃんのお話です。
あたたかい空気感の中、ぐっと胸を打つ内容でした。
ポーランド人のババは、第二次世界大戦後カナダへ移住してきたので英語が上手に話せないこともあって、伝えたいことがある時は身振り手振りで、笑い合ったり触れ合ったりと、あまり言葉に頼らない人だったそうです。それはまた吃音に苦しむ著者にも心地よいコミュニケーションだったことだろうと思います。
戦争で大変苦労したババは、堅実で倹約家。
ババの家の裏にある庭ではたくさんの野菜が育っています。
孫である著者に朝ごはんを用意し食べるのを見終わってから、歩いて学校に送っていきます。雨の日は上機嫌でみぞの中や水たまりにいるミミズを探しながら。
ミミズをガラス瓶に入れて持ち帰り庭にまくおばあちゃんに、男の子は理由をたずねます。
これは何を意味するんだろう??
頭の固い私はそのわけが分からないままでした。
物語の終盤、外に出なくなったおばあちゃんの部屋に男の子はミニトマトの植木鉢を置いてあげます。雨の日、おばあちゃんは男の子の手をとって手のひらのすじをくすぐり、男の子はレインコートを着て外に飛び出していきます。
やわらか頭の方は、気づかれたでしょうか?
あまり話さなかったおばあちゃんが送ったサインを^^
今回も絵本のおわりに、著者による解説のページが設けられていました。
ぼくが初めて蒔いたミニトマトの種。
おばあちゃんのために、おばあちゃんに喜んでほしいから、ちゃんと育ってほしいと願う気持ち。
おばあちゃんは言葉を発しなくても、その想いを感じ伝えたのですね。
「ミミズを探してきてごらん。そうするとちゃんと育つのさ」と。
他にも、おばあちゃんにしてもらっていた行動を、同じように今度は男の子がおばあちゃんにする場面でも、言葉でちゃんと伝えなくても、いや言葉が伝わらないからこそ伝わる思いやりや愛情が確かにあることを気づかせてくれる絵本でした。
言葉の壁、障害の壁って本当は、思いやりのある世界ではないも同然なのでしょうね^^