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#105【絵本】『ひ』と他2冊を読んで井上奈奈さんの魅力を知る

『ひ』という絵本に出会えたきっかけは、ぺんぎんさんの絵本紹介さんの記事です。
最後が衝撃というのと、創世記的なお話なのかな?と興味を持ちました。

井上奈奈さんは、こちらの記事でも大絶賛されていた『PIHOTEK北極を風と歩く』(冒険家萩田泰さんとの共著)で、2022年に第28回日本絵本賞大賞を受賞されている作家さんです。

16歳で単身アメリカに留学して美術を学び、武蔵野美術大学卒業、2018年に絵本『くままでのおさらい』特装版でドイツライプツィヒにて開催された「世界で最も美しい本コンクール」にて銀賞を受賞されたそうです。

残念ながら受賞作品はどちらも借りられませんでしたが、念願の『ひ』と他の著書2冊でその世界観を感じました。

少しだけあらすじと感想も一緒に記録。

『ひ』
絵と文/井上奈奈
発行所/岩崎書店(2024年)

森の動物たちが循環し幸せに暮らしていた頃、くまが魚だと思って池から捕まえたものは見たこともない生き物だった。その生き物が放つまぶしい光に目を奪われた動物たちは動けなくなり…『ひ』が分かつものは?『ひ』を教えた、みたことないいきものとは?



『ちょうちょうなんなん』
絵と文/井上奈奈
発行所/あかね書房(2018年)

「このおはなしはちょうちょうのみちたりたいちにちといっしょうのおはなし」絵本の終わりにそう書かれている。1匹のちょうちょが羽ばたいたことが原因となってどんどんつながっていく。人生に例えたとしたら…「ちきゅうのまわるおと」は運命の出会い?!別れはすぐにやってくる。踊り疲れるまで一生懸命に生きること。



『せかいねこのひ』
絵と文/井上奈奈
発行所/新日本出版社(2019年)

2002年に国際動物福祉基金によって8月8日は「世界の猫の日」に制定されたそうで、「もしかしてこんなことがあった日なのかもしれない」とイメージされた、猫をお手本にして過ごす一日の様子。猫のように生きたい私としては、共感しかないしあわせな作品。




可愛らしくて斬新な絵

『ひ』は、見返しは真っ黒で、表紙は深い赤味の背景に3匹の蛇にぐるぐる巻きにされた生き物がちょっとおどろおどろしいのですが、何故かその生き物も中の絵の動物たちも可愛らしく思えます笑

『ひ』が日本チックなのに対して、他の2冊の色味は外国チック。見返しが黄色にピンク、黄色に紫。配色もシルバーやグレー、ミントブルーが使われていて斬新だなぁと感じました。

描かれる絵が可愛らしいのですが、どこか深い意味が込められているような。ストーリーが哲学的だったりするからでしょうか。

『せかいねこのひ』では、猫のように過ごした1日が満ち足りていたようすが、それだけ人間が何かに急ぎ何かにとらわれていることを示唆していると思えます。


深いストーリーと文章

可愛い絵に対して、お話が深い!
さらっと読んでしまえるのですが、んん?と立ち戻り、
この絵本たちは大人に向けて書かれた絵本なのだろうなぁと感じられます。

『ちょうちょうなんなん』は、蝶が女の子に擬人化して可愛らしく描かれていて、ページを渡ってピンクの糸ですべて繋がれています。
まるで一生をたどるように。

一つのある行動。ささいなことでもそれは世界の何かに影響を及ぼし繋がっていて、そうして世界は成り立っているようなことを深く考えさせられました。
そして絵本の最後に蝶の一生も終わりを迎えたことが暗示され、満ち足りた一日がその一生の速さも意味し、そのため自分の行動が自分の一生を満ち足りたものにするかそうでないものにするかと考えるきっかけになりました。



井上奈奈さん。可愛らしい斬新な絵で、深い意味を込めた作品を作る方だなぁと3冊を読んで感じました。

よく新刊絵本をご紹介下さるペンギンの絵本紹介さん。新しい作家さんと絵本に出会えることが出来ました。いつもありがとうございます^^





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