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たゆたえども沈まず[Amazonオーディブル感想文]

タイトル/たゆたえども沈まず
著者/原田マハ

19世紀末パリ、エッフェル塔が造られパリ市民から美観を損なうと不評をかってた時代。
フィンセント・ファン・ゴッホと弟テオ、日本からやってきた画商、林忠正と助手の加納重吉の物語り。
セーヌ川にたゆたえども沈まない舟になれ、とゴッホに言ったのは日本の画商林忠正だった。

小説では浮世絵がゴッホ、いや西洋絵画に影響を与えたこととか、ゴッホと弟テオとの関係、画商として日本の文化をフランスに伝えた林忠正の存在などが描かれていて興味深い。

絵を描く事だけがゴッホの生きる道。弟テオとの絆は深くゴッホが37才で亡くなった半年後にテオは後を追うように33才で亡くなっている。
ゴッホの生存中に売れた絵は1枚だけだった、というのは有名な話しだが、ゴッホが亡くなった時、ゴッホの絵が売れない事、テオが仕事の失敗で追い詰められていた事、ゴッホがパリに戻りたがっていた事など、経済的に追い詰められていた。テオは実家も、ゴッホも、結婚して子どもができた自分の家族も養っている。
当時ゴッホ、テオと親しくし、2人を応援していた林忠正はどうして絵を買わなかったのか?
絵を買うと史実との齟齬が生まれるから買えなかったのかと思っているのは私だけだろうか?
絵を買わない理由を私は読み取れなかったのか?
林忠正が絵を買っていたらテオはお金の心配をすることはなく画商として独立でき、家族とゴッホの為の広い家に引っ越すこともでき、ゴッホは37才で自殺することはなかったのではないかと思う。林忠正が本当に応援していたのならば絵を買っていたはず、買わなかったのはそれだけの間柄だったのでは?と思ってしまった。
聴いた後、そこだけが妙に納得できなかった。読みきれてないのか?
でも、もう一度聴き直しはないかな。


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