インスリンか、センベルゴか、投薬前に迷った時の話

こんばんは。再々検査から数日経ち、あれから猫も元気です。最近は元気が有り余ってるのか、糖尿病になってからあんまりやってなかったうんちハイと、なぜかおしっこハイで、夜中の大運動会が開かれており感動しています。4Kで撮影したろか。そう思う日々です。

今日は理由があって、センベルゴ投薬前に、センベルゴを選択するか、迷った出来事について書きます。
いつもの3倍以上の文字量でお送りします。申し訳ない。きつい人は流し読みで。でも、飼い主目線でも伝えねばならないことがたくさんあるのでご容赦ください。


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筆者の猫は今年の9月に突然糖尿病になった。

その時、尿検査だけしてくれていたかかりつけの先生に「インスリンで頑張りましょう!」と言われ、最初はインスリンでやるつもりだった。注射はうちの猫が世界一嫌がることだ。あと新薬のセンベルゴのことも小耳に挟んでいたが、ネットで調べた時の情報をみて副作用が怖く、なんせ新薬を使って猫に何かあったらどうしよう。死んでしまったら嫌だ。そう思うと、インスリンしか選べなかった。注射もしたこともない、それに仕事の関係でインスリンを始めると自分の生活も不規則になるかもしれない。それを承知の上で、覚悟を決めていた。

このまま放置したらあと半年もない命でしょう。そういわれたのがショックだったから。


「まずはインスリンを打つために、一旦別の日に病院へ来て、一緒に打ち方などを学びましょう!」そう言われて一週間後に行ったが、突然「やっぱり、うちではできません」「ぼくではあの子に注射を打つことができません」と、やる前になぜか断られる始末。一度猫をここの病院へ連れてった時に猛烈に暴れたのを思い出したのだろうか。

ただでさえ高血糖ですこしずつフラフラしてきて、前より元気のなくなった猫を一週間も待たせてこれか。私は思わず「だったら先に言えよ」と言ってしまった。そして、怒りと悲しみに溢れながら家に戻った。

猫が大好きな同居人がずっと涙を流していて、もう諦めるしかない…そう呟いてばかりだった。
猫の病院嫌いも高まると、診察台すら乗せられず、治療を受けられない状態になる。病院嫌いなど馬鹿馬鹿しい話かもしれないが、かなり真面目に書いている。


とりあえずほかの病院を探そう。そう言って5件くらい探したが、だめだった。どこも断られてしまう。

朝から活動してたのに、夕方になってしまった。同居人はもう猫以外何も考えられない顔をしていて、ここ数日間ひどく落ち込んでいた。猫が好きな人の、猫好きさは、いつも半端ないなと思う。同居人に猫の話をするとすぐに泣いてしまう。わたしも泣きたい気持ちだったが、それ以上にずっと泣いてる同居人を見てたら涙が枯れていた。自分がしっかりしないとこの家庭は崩れる。

しかしもう絶望的だった。インスリンすら打てないなんて。なんとか全身麻酔すれば、注射は打てる。だがインスリンは、毎回毎回全身麻酔してから打つものじゃない。糖尿病と判断されて3週間以上は経ってしまっている。同居人は、しまいには「もう治療を諦めよう、半年でも生きてくれたらいい…」と言い始めたので思わず「まだ諦めるんじゃない!」と一喝してしまった。

まだまだできることあるはずだ。それらを全てやった上で、そこでやっと諦めがつく。

筆者は最初にインスリンを断ったかかりつけ医に、「総合病院へ紹介状を出してくれませんか?」そう言って、病院を指定したところ、それは快く受け入れてくれた。紹介状は2000円くらいした。
総合病院も紹介状がないと受け入れてくれないところが多く、とりあえず出してもらえただけ良かった。
総合病院なら、暴れる猫でもなんとかしてくれる人がいるのではないか。そう思っての行動だった。

そして後日、総合病院から電話があり、『かかりつけの病院からとある薬をもらってきてほしい』と言われた。その薬の名前は書けないが、いわば精神安定剤のようなもの。猫を落ち着かせる効果のある飲み薬だった。幸いにもかかりつけ医が持っていたので処方してもらい、来院の2時間前に飲ませたところ、たしかにチーンと大人しくなっていた。かかりつけ医もなるほど、この手があったね、と言ってた。

そして朝から総合病院に連れて行けた。この頃の猫は、高血糖状態が続いているからか、なんとなくぼーっとしてたり、疲れやすさがあった。

総合病院の先生は、ものすごく若い先生だった。
青年…?とも思われる見た目で、すこし心配になったが、「紹介された方の病院から、この子はとても怒りやすい子だと聞きました」と穏やかに喋りかけてきた。
「そうなんです。でもインスリンを打ちたくて…」と答えると「インスリンよりも、この子の場合は、センベルゴが良いかもしれません」センベルゴを勧めてきた。
出た。早速センベルゴの名前が出てきた。

さえぎるように「でもうちは、センベルゴは怖くて絶対にインスリンにしたいんです」と強く主張した。
仮にセンベルゴを選択して何かあっても、この人は助けてくれない。結局は責任とってくれない。だから、絶対にインスリンを決めていた。

すると先生は、「なるほど、分かりました。では、そのためにもまずはしっかりと全身を検査をしてみましょう。とても細かく検査するので、時間とお金がかなりかかりますが…」と無理強いはしてこなかった。「せっかく大きな病院に来ていただいたんです。色んな検査ができる設備も整ってますから、どうでしょうか?」とさらに勧めてくる。
話の導入の仕方が上手い人だな。この時はそういう印象だった。とりあえずは確かに、猫をしっかり検査してもらって、他に病気がないか知りたい。診察台に初めて猫を置く。


精神安定剤を飲ませた猫は、小さくしゃーしゃー言うが、まるで自分は石です。ここから動きません、と言わんばかりに丸くなっていた。だが若干暴れん坊になるのでエリザベスカラーを恐る恐るつけた。先生はとても冷静に観察していて、ついには触診を始める。大丈夫か、そんなにお腹触ると噛み付かれるぞ…とハラハラしたが、慣れた手つきでお腹あたりをもみもみして、「うん、触った限り異常ないですね。心臓の音も正常です」と、呟く。

うちの猫をこんな触れる医者は初めて見た。
といっても精神安定剤のおかげもあると思うが、それも的確な処方だったからこそである。

先生は「では、この子がまず本当に糖尿病か、検査をします」と、検査項目を全て教えてくれた。
とても膨大な量だった。人間ドックの猫版。血液検査も全項目やるみたいで、ここだけで2万円する。猫の血液検査の金額は、調べる項目の量で決まるとのこと。それに腹部エコーにフルクトサミンに、甲状腺に、尿の検査も細かく、ほかにも多種、聞いたことない検査も入っていた。

「あの…なぜこんなにやるんですか?」思わず聞くと、「この子が本当に糖尿病か、まず全身の検査で調べる必要があります。猫の糖尿病の判別は分かりづらいので、いろんな数値を比較して、そこで初めて糖尿病と判断することができます。あと他に別の病気がないかを調べる必要もあります。別の病気が見つかった場合、その治療が優先になることもありますから、そこから、治療方法を決めていきましょう」

そういうと、先生はすべての治療費にかかる費用を全て教えてくれて、はい、この値段です。と紙をくれた。
正直驚いた。今まで値段を全て教えてくれる医者はいなかったからだ。いつだって、だいたいこのくらい、とか、最悪な時は教えてくれなかった。

とりあえず検査してみるか。いやむしろ検査できるのか…?と思いながら、先生に猫を渡す。「もしかしたら全身麻酔するかもしれないから、時間は5時間くらいかかるかもしれないのでお家で待っててください」そしてさらに「検査の後、ちょっと僕は大きな手術を2件やってくるので、かなり待たせてしまったらすみません」と先生は検査室に入って行った。

1日に大きな手術を2件も…?見た目まだまだ若いのにさらっとすごいことを言ってくる。
とりあえず時間はかかっても良いのでお任せしてみることにする。

そして2時間後に「検査、全部終わったので猫を迎えにきてください」と、電話が来た。
なんと全身麻酔しなくても全ての検査ができたとのこと。今まで麻酔しないと検査できなかったのに、どうやったんだろうか。驚きながら猫を迎えに行くと、キャリーケースの中で少し怯えながらも、私たちの顔を見て安心した様子だった。2時間も検査、よく頑張ったね。車に乗せると安心したのかよく動き回っていた。このあとはすぐさま家に帰って猫を安心させることを優先した。

結果が出るまで夕方はかかるとのことで、また家に戻る。この時でもう2人とも疲れていたが、また夕方に呼ばれて病院へ出向く。今日は3往復コースだ。それでも猫のために、がんばる。


夕方17時。そこから1時間ほどは待ったが、やっと検査結果がわかる時が来た。

「遅れてしまいすみません」先生はかなり疲れているだろうに謝ってきた。
「検査の結果、糖尿病であることは間違いないです」そう言って、3枚くらい、いろんな検査の結果が書かれた紙を、ひとつひとつ丁寧に説明してくれた。さらに、エコー検査の写真は20枚ほど、ほぼ全ての臓器を一枚一枚説明してくれた。使ってるモニター、某リンゴ社の27インチはさすがにでけーな。とか思って聞いてたのは内緒。おおきい画面だからこそわかりやすかった。

「そして同時に、糖尿病以外の病気は何もないことも判明しました。つまり、この子は血糖値以外は、本当に健康です」

もうシニア猫には突入してるので、さすがにひとつやふたつ、何かしらあると思っていたがここまでなにもないことにとても驚く。先生は続ける。

「この子、食欲ってありますか?」
「はい、今でも食欲だけはもう有り余るほどいつもあるくらいで…だから絶対食べさせすぎないようには注意してきたのですが糖尿病になってしまいました」
「糖尿病以外は健康値で、なお食欲もありますし、それに今日の検診で脱水症状もなく元気だと見受けました。つまりこの子は、センベルゴの治療を受けてみるのに適していると言えます」

また出たセンベルゴ。と、ここで反発心が生まれたが、だが今まで検査できなかった猫を麻酔なしでここまでスムーズに検査してくれた先生は初めてだ。かなり腕は良いと見た。説明の仕方もわかりやすく、聞いてて納得するものばかりだったし、すこし話を聞いてみることにした。

先生は、なんと手書きしてきた紙をだしてきた。
そこには、インスリンを選択した場合のメリットデメリット、そしてセンベルゴを選択した時のメリットデメリットがわかりやすく書いてあった。一通り、話を聞く。

インスリンは昔から行われてきた治療で、1日2回注射を打たなくてはならないが、得体の知れない新薬よりもまだ安心感はある。だが、やはり低血糖リスクもある。最悪の場合治療や入院になるケースもある。

センベルゴは、1日1回の経口投与で済むが、今年の9月に出た薬でまだまだわからないことも多いし、副作用が下痢、嘔吐、軟便、1番怖いのはケトン体が出てケトアシードシスになり治療や入院するケースもある。

ざっと総合的に考えて、結局のところ、どちらも最悪のケースは入院。これに変わりはないことを知った。

あとは、万が一何かあった時に、すぐさま駆けつけられる病院はあるか?数十万する入院費を払えるか?

ここは、動物を飼う前から考えておくべきところだと筆者は思っている。

お金は全てではないが、生きていく上では全てにお金がかかる。


例え愛があってもお金がなくてはなにもできない。

これは、人間にも同じことが言えるはずだ。
猫のために、毎月貯金しておくことも大切だと思う。

筆者はインスリンと決めてた時も、低血糖で最悪死ぬリスクを聞いてたので、なるだけ夜間や土日もやってる病院にしたかった。だから、紹介状を書いてもらう時、それをすべて満たしている病院を選んだ。幸いなことに、家からも近い。

「インスリンを選択されても良いと思いますが、この子の場合、性格上、飼い主さんとの信頼関係が壊れてしまう可能性がとても高いです。それでもインスリンを選択されるならば、打ち方を教えます。他に、なにかわからないことはありますか?」

ついにインスリンかセンベルゴが決める時が来た。


ここまで詳しく調べてくれた上に手書きで薬について教えてくれた先生は初めてだった。
そして何より、大きい手術を二件やっていて、顔もお疲れ気味ではあるが、私が先生に質問攻めしても嫌な顔をせずすべて答えてくれる。そして最後にかならず、「他に、なにかわからないことはありますか?」と聞いてくれる。

最後に「わからないことはありますか?」と聞いてくる人は、仕事ができる人だと思っている。

動物病院もいろんな医者がいて、それぞれの考え方があり、上手く良い医者を見つけるのが難しい。
もし筆者が良い先生を見つけるとしたら、

・質問しても嫌な顔せず答えてくれるか
・治療費などの金額をなるだけ教えてくれるか
・わからないことはないか、聞いてくれるか
・説明はわかりにくいか、わかりやすいか

ここを重視することにしている。
あとは、動物が好きというアピールができても、実際はなんもしてくれない獣医もいる。今までたくさん病院を断られたから言える。
しっかりと検査できるか、も大事である。


紹介状まで書いてもらえて、なおかつ何かあった時にも対応してくれる。そして、しっかりと検査を受けて糖尿病以外は健康であることがわかった。先生も、腕がいい。
ここまでとんとん拍子にうまくいくと、今までセンベルゴなんて眼中になかったのに、ついそっちを考えてしまう。

最悪なケースがおこっても、24時間駆けつけられる病院がここにある。
お金も貯金がまだある。

条件は、整っている。やってみてもいいかもかもしれない。センベルゴ。
10月の時点で情報がなさすぎて、怖いけど、日記もつけてみて、もしそれが誰かの役に立てるならば。そう思ってできたのが、このセンベルゴ投薬日記である。

「センベルゴ、やってみます」


そう答えると、先生は検査室から何かをとってきた。
それは緑色をした箱だった。

「もしかしたらセンベルゴを選択されるかと思って、紹介状をもらった時にセンベルゴを一つだけ取り寄せておきました」と笑顔で答える。「今日から早速、投薬してみてください」

用意周到な先生だ。ここまで考えてくれてたことにびっくりして、すぐさま治療ができることが嬉しかった。もう、だいぶ血糖値も上がってしまっていて、毎日が怖かったから。


センベルゴは1日1回投薬で楽、なんてことはない。
センベルゴにはセンベルゴの、大変さがある。

「ケトン体が少しでも出たら、すぐに中止して病院へきてください」

先生は念を押してくる。
もちろん、ケトアシドーシスの怖さは、ネットで調べて熟知している。
副作用の怖さも、なにもかも未知のものであるが、
やるしかない。

その気持ちで選択したセンベルゴだった。
ケトン体がでないか、とくに最初の三日間くらいはしっかり様子見と、試験紙を用いてケトンが陽性にならないか調べる必要があった。なので、投薬から4日後に、日記をつけることにした。


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今回筆者が伝えたかったのは、

センベルゴは、簡単に選択できるものではないということ。

病院でかならず他の病気がないか、詳しく全身検査を行ってから、センベルゴ投薬を検討してほしい。

また、インスリンを受けたことのある猫だと、センベルゴでの治療方法は変わってくるので、インスリンを打ったことない猫よりも、より慎重に切り替えて、モニタリングする必要がある。


この2点をどうしても伝えたかったからである。

血糖値以外が健康だからハッピー糖尿病と耳にしたことあるが、そんなことはない。

糖尿病であることはハッピーではない。
いつケトンがでても、おかしくはない。

センベルゴでケトン体が出るか出ないか、
せめて最初の3日間、仕事休んででも、しっかり様子見した方が良い。

ほんとうに個体差があるからこそ、
センベルゴを選択する際には、

・全身をしっかりと調べる検査を受けること

・24時間駆けつけられる病院を見つけること

・猫のための貯金をしておくこと

とくに上記の二つはセンベルゴを使用する上で満たしてほしい項目だと思っている。


話はここで終わるが、
センベルゴはいろんな条件を満たしてから、やっと使えるものであることを学んだので、ここに書き記しておく。

最後に、センベルゴについて、今一度どういうものか知りたい人向けに、
専門的な用語を加えながら、しっかりとメリットとデメリットが書いてある記事があるので、共有しておく↓

とくにインスリンから切り替える方には一読してほしい。

それでは、また投薬一週間後の記事で。



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