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わからない算数の教え方

 2021年01月26日から
小中学生への学習支援で得た知見を基に
色々書き始めて138回目になりました。
 また、2021年03月15日から
毎週連続投稿を始めて135回目です。

 最近の学習会で

「10.6÷10って、計算できないんだけど?」
「えっ?どうやって計算しているの?」
「10.6÷10でしょ。10÷10は1。」

「それから?」
「10.6÷10の10は計算できたから、0.6÷10だけど?」
「はっ?」
「0.6って10じゃ割れない!」

「学校で、そういう風に計算するって習ってるの?」
「うん」
「じゃあ、筆算の方法は?」
「ほら!おんなじでしょ?」
「あらら!!」


 学校では、小数点のついた計算を、
そのまま計算すると教わっているみたいです。
 数値を計算して最後に小数点の位取りをする事を知らないと
こうなってしまいます。
 同じ生徒に、
「計算問題を解く時は、途中の式を書いたほうが
後で検算しやすいし間違いを気づきやすいので、書きましょう」
と促したら
「学校で書かないでいいって、言われてる!」
とのこと。

 これじゃ、算数=計算することって覚えてしまうし、
しかも、答えに一方通行で進む!検算はしないって、
覚えてしまう。

 算数で大切なのは、これから続く「数学」に対する
論理的思考方法を育てることで、
もし計算の功利性を教えるなら別の手段がある。
 しっかりと四則原理や()=の意味を伝えていないので
計算式での優先順位や、右辺と左辺の関連性に気づかない。

 こんな初歩的な知識を置いておいて、
表面的な計算方法を、刷り込まれるほうはたまらない。

 現実の教育現場で教科書に書いているからと言って、
肝心の「学習とは何か?」に対応しないと、
つらいのは、矛盾を抱えてしまう生徒です。

 授業以前に「算数とは何か」「国語とは何か」「社会とは何か」
「理科とは何か」を最低抑えておかないままでは、
学習の行く末は???だらけになってしまう。

 だからと言って、学校教育に直接関与はできないので、
学習支援の場で、意味を伝えるようにしていますが、
「学校の先生は神様!」だと思っている生徒にとって、
学校の学習とは一見異なる方法を分かりやすく伝えるのは、
かなりややこしいという現状です。
 でも、生徒の頭の中の学習成果をわかりやすく整理できるのは
この場しかありません。

 つまり、生徒が学習嫌いに至る経路を作ってしまわないよう、
初等教育の段階で、「わからない」を「わかる」ように
してゆくのが大切だと思っています。
 少し遠回りにはなるし、手間はかかるけど、
将来の展開を考慮したうえで、
きちんと理由付けができる方法を伝えないと
「わからない学習」が始まってしまいます。
 それは、
学習支援の場にいる私達自身にも言えることで、
本来、学際的な「知識」を科目別に分断する事への、
危険信号のような気がしています。

生徒の無限の可能性と発展性を、
学校教育だけに依存する前に、
慎重に、再検討する時期なのかもしれません。

保護者の皆さんや 子どもたちの学習に関与している方々へ 
 一番生徒に近い存在で、関係性が成立しているはずの皆さんは、
生徒の嗜好や、どんなことに興味を持ちやすいかとか、
具体的な手段を見つけやすい立場にいます。

また、学校教育の不足部分を発見でき、
修正できる立場にいます。

 良い相談相手として、また善き話し相手として
身近にいてくださることを願っております。


26.OCT.2023.ARAI