南半球、夏のクリスマス。これが意外とサイコーだった。
私たち日本人にとってのクリスマスは当然のように冬ですが、南半球では当然のように夏。クリスマスや年末年始を冬に迎えることに慣れきっているが故に、夏に迎えるこれらの行事がどのようなものなのか、気になる方も多いのでは。
そこで今回は、私が約8年暮らした南半球の島国、ニュージーランドでのクリスマスについてご紹介します。
真夏のクリスマス。町には半袖シャツとサンタ帽子の人々。
南半球のクリスマスは真夏。心踊るイベント満載のシーズンに加え、暖かく開放的になれる季節の到来で、日々上がり続けるテンション。
街ゆく人々は半袖シャツやタンクトップにショートパンツ、ビーチサンダルといったスタイル。そしてそんな格好にもしっかりとサンタ帽子をかぶってクリスマスムードを楽しむ人々。
寒い地域出身で、ホワイトクリスマスが当たり前の環境で育った私にとっては、いまいちクリスマスという実感がわかず、何年過ごしても不思議な光景であったことは否めません。熱い太陽の下、真夏の格好をして過ごしているのに、あちらこちらから聞こえてくるクリスマスソング。歌詞に「Snow」というワードが入っていても逆にピンとこなかったことも確かです。
しかし、夏という季節が人々を開放的な気分にさせ、クリスマスを一層盛り上げてくれるあの感覚は、日本とはまるで違えど、日本のクリスマスに引けを取らない楽しい思い出として刻まれています。
日本のお正月並みにたくさんの親族や友人に会う一日を、人々が常にWelcomeでHappyな心持ちで過ごせるのは、薄着の開放感も関係なくはないのかもしれません。
クリスマスは家族でバーベキューやキャンプ。夏ならではの素敵な楽しみ方。
クリスマスは祝日のニュージーランド。スーパーやコンビニでさえも閉まるので、ごく一部の人たちを除きほとんどの人にとっては休日です。
そしてクリスマスというこの休日は現地人にとって家族と過ごす一日。日本のように恋人と過ごす人は少ないイメージで、たくさんの親戚や近しい友人たちが家に集まってパーティをする人が多いです。感覚としては日本のお正月に近いですね。
クリスマスの過ごし方は家庭によって違うと思うので、ここからは私の経験や、周りの人たちに多かった過ごし方をご紹介します。
①バーベキュー
バーベキューをする家庭は、朝から大音量でクリスマスソングを流し、早くもワインやビールをたしなみながら食事の準備をします。朝からどこからともなく漂ってくるチキンやソーセージの匂い、バーベキューの煙の匂い、人々の笑い声には、毎年ワクワクさせられたものです。
そうこうしているうちに、続々と親戚や友人が訪ねてきます。ハグをして、クリスマスプレゼントをツリーの下に置き、話に花を咲かさせます。共にお酒を飲み、持ち寄った食事を時折つまみながら陽気に笑い合い、庭で夏の日差しを存分に浴びる、なんとも朗らかで贅沢な時間。
私が高校一年生で初めてニュージーランドを訪れた時がちょうどクリスマスで、初めてのホームステイで初めての夏のクリスマスを体験したのですが、それがまさにこのスタイルでした。
朝早くからクリスマスソングに合わせて歌いながら楽しそうに料理をするホストマザー。大きなオーブンで、これぞ外国!!というような大量のグリル野菜やローストチキンを焼き、ホストファザーはビールを飲みながらバルコニーに用意されたバーベキューセットで調理。
その時の香りは今でも覚えていますし、「こんな素敵なクリスマスの過ごし方があるなんて!」と早速感動し、こんな国で暮らしたい!と思った1番初めの経験となりました。
②キャンプ
ニュージーランドはアウトドアが盛んな国。自然豊かなこの国の人たちは、やはり自然が大好きです。キャンプ道具一式や釣り具を車に積んで、山道も楽々走れる4WD車やキャンピングカーで、山や海辺へキャンプに行く人がとても多いです。人気の場所では、集合住宅さながらにキャンピングカーが並ぶ光景をよく目にしましたし、あえて人里離れた湖畔などで静かにゆっくり過ごす人々の光景もお馴染みでした。
クリスマス前から長期休暇に入る人も多い為、1-2週間毎日キャンプという人も珍しくなく、自然の空気の中で心身共に浄化するクリスマスもまた、とても贅沢。自然と共存しながら、ゆっくりと1年を振り返り、体内の空気を入れ替えて新年に備える、私も憧れた過ごし方の一つです。
③ビーチでのんびり&マリンスポーツ
バーベキューでクリスマスパーティをする人たちがいる一方、ビーチでクリスマスパーティをする人たちも多いニュージーランド。日本と同じく島国であるニュージーランドは、数々の美しいビーチがありますし、美しい湖も多いので、それらのビーチサイドにパラソルを立て、キャンプ用のテーブルとイスをセッティングし、お酒とおつまみで日光浴をしながら過ごすのも大人気です。
ボディボードやサーフィン、カヌーを楽しむ人たちや、ジェットボートやパラセイリングなどのアクティビティに挑戦する人たちも。
ビーチサイドでのんびり過ごす、水着にサンタ帽の人々を見ると、なんとも平和な気持ちになって、夏のクリスマスってサイコー!!と思わずにはいられませんでした。
日本のクリスマスは冬なので、その時期にできるスポーツといえば、スキーやスノーボード、スケートくらいなものですが、夏であれば選択肢が広い為、夏が近づくと各々が、今年のクリスマスはどこで何をして楽しもうか、と様々な計画に心躍らせるんですよね。日本の夏休みと同じですね。
北の大地で育った私にとって、暖かい季節に訪れるクリスマスというのは、何年暮らしても、正直帰国するまでしっくりこなかったのですが、人々が日本の夏休みにようにクリスマスや年末年始を開放的な気持ちで満喫している姿を見ると、自ずと楽しく幸せな気持ちになりますし、そんな自分もまた、時には働いていたり、1人で過ごすこともありながらも、お祭り気分で明るく一年の締めを迎えられたものです。
何なら、帰国してから過ごした久しぶりの冬のクリスマスは、イルミネーションで彩られて、ニュージーランドの何倍もムードたっぷりで素敵だなと思う反面、寒いし、仕事もあるし、逆に普段と変わらない一日として過ぎ去っていくというあっけなささえ感じた程です。
日本でいう夏祭りのようなワクワクを感じながら、この日が続けばいいのに、と誰もが思う一日。夏のクリスマスは日本人にとっては不思議な光景ながらも、夏ならではの開放感の中で迎えるクリスマスのお祭りムードは楽しいもので、すれ違う人同士が「Merry Christmas!」と声を掛け合う陽気な雰囲気に流されて、今年もよい一年だったなと思える、最高の体験だったのでした。
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