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狭間で考える

 キャリアの下降と向き合った時、もう自分は必要とされていないのだと実感する時、心は沈む。今週末はまさにそんな感じで何をする気力も出なかった。天気も良くなかったし。
 積ん読消化にあてた休日。これが思いの外良かった。
 「人生後半の戦略書」。xで津田大介さんが薦めてた本だ。

 人の知能には「流動性知能」と「結晶性知能」があるという。
 「流動性知能」の発達は40代以降下降線をたどる。どう頑張っても若い世代の俊敏性、柔軟性をもつ知能に追いつけなくなっていく。50代にもなれば会社においても次世代にどんどん追い抜かれていく。それは誰もが抗えない自然の掟なのだ。
 一方で、「結晶性知能」は「流動性知能」が衰え始めても伸ばすことができるという。長年の経験で培った知恵を研究や教育分野で生かせる。自分の経験を棚卸しして何がしたいか何ができるかを見定め、生き方のシフトチェンジをしていけば、豊かな後半生が広がると著者は主張する。
 まさに、そうだなと思う。ちょうど「流動性知能」で他者と張り合う生き方から「結晶性知能」を伸ばして他者に貢献する生き方へと変わっていく時期なのだ。心理学用語「リミナリティー」とは、仕事上の役割、組織、キャリアパス、人間関係などにおける各ステージの「狭間」を意味する。その狭間に後半生の再構築をしなければならないのだろう。
 ほしいものは何か。他者への貢献が報酬と思えるか。もっとも興味のあることができるか。前職のスキルを何らかの形で生かせるか。地位や名誉にしがみつかない自分になれるか。
 読み進むうちに、自分はまだ手放していない執着があったのだなあと思い至る。善く生きるために執着を捨てる、必要な人間関係を探す、心の有り様を整理するなどこの狭間の時期にできることはいろいろありそうだ。

 そう思い直すことで、心は少し浮上した。

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