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厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女【創作長編小説】

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長編小説『厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女』シリーズ一覧。 和風ファンタジー。シリアス傾向の異類婚姻譚です。R15未満。 私生活事情により亀更新中……表紙画はゴリラの素材屋さんのフ…
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#一次創作小説

厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女(1)壱.両極の能

厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女(1)壱.両極の能


序幕.尊巫女

 ――これは常世の何処かに存在すると伝えられてきた、古の理が息づく別世のお噺。

 そこに生きる人族の民は、八百万の神々を崇め、妖を畏れる暮らしと共に在った。
 その中でも、彼らを祀り、鎮める社を司る一族に生まれ、特異な能を持つ人族の女は『尊巫女』と呼ばれる。
 彼女達は、十八になると神々の住む神界に向かうという契約が、遥か昔からあった。雨喚ぶ巫女は龍神界、陽をもたらす巫女は稲荷

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厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女(5)参.天上天花

厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女(5)参.天上天花


参.天上天花其々の選択

 身体のどこにたまっていたのか、幾年分の涙を流し続け、ひとしきり泣いた暫し後――アマリは宙を飛んでいた。粉雪に変わった真夜中の宵空を、規則的にゆらり、ふわり、と瑞風――もしくは鳥の背に乗ったように。

「……長様、あ、の」
「喋るな。舌噛むぞ」

 心身共にがちがちに固まっているアマリは、すぐ傍……眼前の荊祟を顔を見やる。冷え切った身体は彼が着ていた漆黒の羽織に包まれ、

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厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女(2)壱.両極の能

厄咲く箱庭 〜忌神と贄の花巫女(2)壱.両極の能


壱.両極の能八百万の河

 どのくらいの時が過ぎたろうか。暗がりの狭い駕籠の中、アマリの意識は寝不足と空腹で朦朧としていた。昨夜から今日一日、社の地下水しか口にしていない。人族の世界――俗世の気を少しでも身体から失せさせる為と聞いた。
 窓どころか隙間も無い駕籠の中からは、外の様子は全くわからない。何処を通っていて、どの方角に向かっているのかも、弱った頭や身体では感じ取れずにいる。万が一、尊巫女

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