2023年6月の記事一覧
七夕前夜(3)(完)【短編】
終夜 彼らの反旗
『誕生日おめでとう。今年は直接会って祝えなくてすみません。残念です。
これからどうなっていくか分からない、相変わらずの毎日ですね。それでも、こんな俺と繋がっていたいと思ってくれてて、本当に嬉しいです。
お陰でしんどい時も頑張れてます。ありがとう。詩織が、好きです。』
何度も書き直したような、下書きの跡だらけの便箋に綴られた、数行のメッセージ。
彼の想い全てが、目から頭
七夕前夜(2) 【短編】
第三夜 移り変わる努々(ゆめゆめ)
『久しぶりです。っていうのもおかしいか。毎日、暑すぎますね。
実は、この前の通話で言いそびれたけど、少し前に用事で降りた駅で、初めて二人で会ったカフェの前を通りました。
今の状況が落ち着いたら、また一緒に行きたいですね。』
――覚えてて、くれてた……
この前言ってくれたら良かったのに……と少し思ったが、照れ臭くて顔を見ては言い出せなかったのだろうか…