部屋
こんなとき僕はいつも
ひとつの部屋を思い浮かべる
隅には小さな薪ストーブ
窓には水滴がついている
外から大きな音が聞こえて
ソファの下に猫が潜り込む
除雪車を運転するのは
君の友だちだろう
僕はハムサンドをつくる
コーヒーも入れるとしよう
僕たちはいったい
どこから来たのだったか
こんな寒い場所で
暮らしたことなんかないのに
外で犬が僕を呼ぶ
飛び跳ねてるんだ
でも僕は出られない
きっと生きては帰れない
まるで夢をみているみたいだ
でもこれはほんとうのこと
ギシギシと雪を踏む音
近づいてくる
奴がここにくれば
すべては終わりだ
ドアを開けた途端
薪は燃え尽き
雪も溶けて流れる
犬も猫も消える
僕と君は
薄い皮膚を寄せ合う
君の悲しみが流れ込む
僕は張り裂けてしまう
繰り返し繰り返し
現れる部屋
ほんとうにそこに行く
もうすぐだ