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いつの間にか

きっとまだあるはず
ふたつの残像が


照りつける陽の光
騒ぎ立てる蝉の声
水に降りる羽ばたき
立ち上る土の匂い

大木を越えていけば
川沿いに出るはずだ

気の遠くなる時を
押し流してきた
抗った人々の碑
でも僕らは先へ行く


車に乗ろう
コーヒーを飲んで
大きな橋を渡る
ほら塔が見えた

がらがらのレストラン
親切なウエイトレス
おいしくもないランチ
外を見る君の横顔


まるで僕たちしか
いないみたいだ


すべてがある
汗で服がびしょ濡れの
靴ひもがきつ過ぎる
完璧な世界

それでよかった
それでよかったのに

空を映す青さの下には
速く黒い流れがあった
秋桜を見る約束は
もう果たせそうにない


もう暗いな
いつの間にか渋滞だ

助手席の寝息とともに
僕はただ前を向く


もう寒いな
いつの間にか秋になった





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