徒然 猫が増えた愛も増した
美しい猫は遊ぶのが大好きだった。
数週間前から何度も色んな保護猫譲渡会に行き、家族になってくれる子を探していた。
既にうちには猫がいる。
突然現れた子猫、ナギ。
今4ヶ月を過ぎ去勢をした男の子。
暴れん坊で、甘えん坊で、カミカミマシーン。
噛むことを愛情表現だと思っているのか、それともとにかく噛みたい悪魔なのか、私たちにはわからないがとりあえず噛むことこの上なし。
だが、めちゃくちゃ可愛いんだ。
顔が美しい。
そんなナギのことはこちらを読めばわかるだろう。
本当に可愛いし好きで好きて仕方ない。
だけど、こんなにも噛まれては少しずつ傷つく。心も体も。
本当に傷が増えまくって困るんよ……、ナギ……。
そして、噛みグセを治す方法を調べる。
すると、猫は複数飼いがよいらしい。
噛み加減とか遊び方とかそういうのを適度に学んで、構ってくれる仲間がいた方がいいそうだ。
知らないことが沢山あった。
猫の肉球は冷たいものだと思っていた。
フレーメン反応はフェロモンを嗅ぐときの反応。
寝る時はドダっと倒れる時がある。
よく鳴く子と鳴かない子がいるらしい。
猫について調べていて、私は何も知らなかったんだと感じた。知れることが嬉しかった。
ナギには友達が必要だ。
ナギは仲間というものを知らないんだ。
私と同じように、他の猫を知らない。
遊び方も舐め方も何も知らないの。
ひとり遊びは上手だけど1人で遊ぶのが好きという訳じゃない。寂しがり屋だしいっぱい遊びたい子だ。家族がもう1人増えるのもいいじゃないか。
そういう事で、家族揃って色んな保護猫を探した。
『ペットのおうち』というサイトを覗いては、この子可愛いなんていっぱい検討した。
遠くはない地域で譲渡会があることもこのサイトの募集で知ることが出来た。
そして、そこに向かう。
色んな場所でナギに合いそうな子を探した。
男の子同士だと合わない時が大変だ、ってきいた。
私たち人間の希望は、
女の子
2ヶ月ぐらいの子猫
ハチワレ(白黒、茶白、キジシロ)がいいかな
お腹が白い子がいい
可愛い子が沢山いた。
どの子も本当にいい子で、可愛くて、仕方がなかった。
保護主さんたちに愛情いっぱいに育てられてるから人が好きな子が多いようにおもう。
多頭飼い崩壊や親猫に捨てられた子も多い。人間が怖い子だって沢山いる。だけど、それ以上に人間に慣れてくれる子がいる。
それが愛おしくて仕方がない。
この子達を幸せにしたいって強く思う。
そんな日々を送っていた日曜日、私たちは前日に行った譲渡会にもう一度行った。
その日は兄は一人暮らしの家に帰っていて、私と母だけでだった。
私たちは基本的にこの3人の意見が合うことで物事を決める。3人が全員同意することで快適に過ごす。
だけど、私たちは2人だけでそこに行き、出会った。
ハチワレちゃんの2ヶ月の女の子!
思っていたような子だ!
私は心がときめいた。可愛すぎる。
だけど、母が
「このシャムがいい。かわいい、めっちゃ可愛い。この子だって思った」
と言うのだ。
この3匹は兄弟であった。
2匹兄弟だと「譲渡は2匹の方優先です」と言われる。
本当に可愛くて仕方がなかった子は何匹かいたけれど、どの子も兄弟で貰われる方が幸せだろうからと私たちは我慢していた。
離してしまうのは可哀想だ。
残念ながら先住猫であるナギがいるから、2匹貰うのは大変だった。
だから、1匹で家族になってくれる子を探していた。
この子達の場合は、『兄弟で!』と言われなかった。
私はハチワレちゃん派。
母はシャム派。
正直、私はどんな子でも愛する自信があった。
母の方がこだわりが強かったんだ。
愛したいから、愛せる子がいいと。それもすごくわかる。深く愛するために見た目は大事である。
先にあげた希望は母が強く願ったことだった。
ハチワレ、茶白、キジシロ
どれでもない、シャムっぽい子。
私は驚いた。
あんなに茶白がいいと言っていたのに?!
ハチワレちゃんが良かったんじゃないの?!
お腹が白い子がいいんじゃなかったの?!
だけど、それでも母はシャムっぽい子に惹かれていた。
それは実に珍しい事だった。
ましてや、私と意見が分かれてると言うのに、シャムの子……って言うのだ。
シャムっぽい子を検討したことは無かった。
急に現れた。
シャムかあああ……。
怖くない?可愛いけど、怖くない?
キュルルンって感じの子がいいんじゃない?
目つき悪いよ?ナギと一緒でガン飛ばしがちよ?
可愛いけどさぁ……、ハチワレちゃんの方が……。
その日、会場にはもう1匹シャム系の子がいた。1歳ぐらいの子で、機嫌が悪くてカゴに帰っていた。だけど、その保護主が見せてくれた写真がとても可愛かった。
そこで何故か私もシャム系いいなって思ったんだ。あの子もこんな綺麗な猫になるのかな、って考える。ああ、なんかすごくワクワクする。急いでもう一度シャムたちのケージの前に行く。
前に座ってじっと見てみた。
目が合う。シャムちゃんと。
それは恐れではなく、とろーんとした優しい目だった。
ちょうどご飯の時間で、エサがケージの中に投入される。がっつく白黒たち。
それをそっと後ろで見ているシャム。
高貴だった。
2匹が食べ終わると前に来て、ご飯を食べる。しかも、2つあったご飯入れ両方ともから食べている。
なんとも図太いというのか、堂々としたというのか、
それが強くていいな。
食べ終わったシャムが私の前で座る。
お触りOKだったから、一度指を入れてみた。
すると、ぺろぺろ舐めてくれるんだ。
心臓が止まりそうなほどキュンとした。
私は猫に舐めて欲しかった。ずっと願っていた。
ナギはナメナメせずにカミカミする。
噛まれたくない、ナメナメがいい……。
毎日そう思っていたのに、今、こんな場所で初めましての小さい子が指をぺろぺろしてくれた。
あ、この子だわ。
うちの子になるんだ。
ナギに似ているし。
目付き悪くて、黒くて、キツそうな顔してるけど、かわいい。
可愛いと言うより美猫。
気が強そうなのも良かった。
ナギに噛まれて、追いかけられて、へこたれない子じゃないとうちではやっていけない。
ナギが極悪猫だから。
ナギに礼儀を教えるぐらいの強い子じゃないと。
強かさと社会性と自由さが欲しい。
保護主さんもとてもいい方で、譲渡は1匹でもとのこと。
兄にビデオ電話をかけて、シャムちゃんを見せる。
「うっ、かわいい……え、可愛い……かっわ……」
悶える声が聞こえてくる。
私もこの子がいいと思う。
そう伝えると逆に母は迷い始める。なぜかは分からない。きっと、今までずっと茶白が、ハチワレがいいと言ってきたのに、全く違う子を選んでいいのか、と思ったのだ。そして、ただ判断に疲れてきたのだろう。
そこで兄が言う。
「この子にしたらいいと思う。ハチワレだと他の子と比べちゃって飼ったあとに「あの子の方が可愛かった」とか思っちゃいそうだから、全く違う子でいいと思う。だってかわいいもん」
それで決心が着いた。
もう決めてしまいたかった。
契約をして、トライアルの日程を決める。
この子達の避妊が11月末。
ナギの去勢が12月2日だった。
手術後の女の子は1週間ぐらい安静にしないとで、男の子は2日ぐらいは安静にとのことだった。
だから、4日か5日に迎えれる予定、と話が進む。
そこからの2週間はドキドキで仕方なかった。
まだまだに思えた。
ながーい2週間だった。
Instagramで主催さんと連絡を取りあって、シャムちゃんとの写真を貰ったり、様子を聞いた。
手術後も元気だったようだ。
兄弟と遊びまくっていたって。
それを聞いて可愛いね、良かったねぇと優しい気持ちになった。
もうその時点で恋い焦がれ、愛し、家族の一員のような気がしていたんだろう。
そして、凪の去勢も終わり、とうとうやってくる日。4日。
その日は新月であり、大安で一粒万倍日だった。
何事も始めるに良い日。
とてもいい日にシャムちゃんは我が家にやってくる。
13時頃に来ることになっていた。
それまでは家を片付けて、ケージを整備して、ナギと沢山遊んで、片付けを改めてした。
その間私は心臓がおかしくなったのかと言うほど、緊張していた。
何故か分からない。
色んなことを思った。
ナギと相性が悪かったらどうしよう。
シャムちゃんが可愛くなかったらどうしよう。
ナギと喧嘩したらどうしよう。
シャーって言ったらどうしよう。
シャーって言うはずだけどそれでシャムちゃんが怯えたらどうしよう。
むしろ、ナギとシャムちゃんが仲良くなりすぎて私たち人間を無視し始めたらどうしよう。
ナギがシャムちゃんに対して過保護になって人間に触るなって言ってきたらどうしよう。
どうしよう。
どうしよう!!
わなわなと苦しくなった。
好きすぎるゆえに緊張が酷かった。
凪のことが大好きだった。
シャムちゃんのことも愛おしかった。
そのふたりが仲が悪かったら?
なんてことを思う。
心配性なんだ、私は。
そんなことを知らされた。
とうとう。
かわいい子がやってきちゃった!!
名前は、サラちゃんです。
トライアル開始。
ナギとの交流が始まる。
可愛すぎる……。
長文になったので、また明日。
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