積みゲー役者のコラム③ノベルゲームの魅力とジレンマ〜魅力編〜
積みゲーを加速させるゲーマーの言い訳コラム、第三弾はノベルゲームについて話していこうと思う。
一般的な作品であれば古くは「ときめきメモリアル」を始めとするギャルゲーと呼ばれるものから、女性向けの乙女ゲー、文字通り小説のテイストが強い「かまいたちの夜」のようなサウンドノベル、18歳未満プレイ禁止の成人向けゲームなど細かい住み分けは多岐にわたる。
作品によってノベル、アドベンチャー、恋愛シミュレーションとジャンル表記が多く曖昧なのだが、ここではマップ移動や戦闘の要素が無く、テキストを読み進めていくことがメインのゲームの総称として「ノベルゲーム」としている。
前回は主にRPGについてのゲー癖について話したが、こじらせると更に深みにハマるのがこのノベルゲームと呼ばれるジャンルだ。自分は大学時代の3分の1程の時間を確実にこれらの作品に費やしている。とにかくいろんな意味で時間がかかるのだ。
そんなノベルゲームの魅力と積みゲー化するメカニズムを分析していこう。
名作がとにかく多い
もちろん全部が全部ではないが、発売から10年以上経っても語り継がれて根強いファンがいる作品が非常に多い。実際評価が高い作品は総じてめちゃくちゃ面白い。
ゲーム製作には莫大な制作費がかかるのは言わずもがな。RPGやアクションの名作と呼ばれるタイトルが大手メーカーから出ているものが多いのは、システム面も含め人もお金も大量に必要だから。その点、面白い脚本と魅力的なキャラクター、そして上手い声優が揃えば勝負ができるノベルゲームは全然知らなかったような小さなメーカーからも当然名作が生まれうるのだ。
更に言ってしまうと、BGMや主題歌も実力を持った無名の人が作っていたり、有名な人が名前を変えて作曲していたりするため総じてクオリティが高いのも特徴。
有名な例を挙げれば「ひぐらしのなく頃に」や「Fate」シリーズは元々は小さなメーカーのノベルゲームであり、なんなら後者は成人向けゲームだ。
秋葉原のソフマップや池袋のとらのあなで売り場をぐるぐる回りながら運命の出会いを探した人も多いのではないだろうか。大々的な宣伝があまりされない分、名作に出会った時の興奮はそれはすごいものだった。
没入感が半端ない
ノベルゲームの多くは主人公の一人称視点でストーリーが展開していく。キャラクターが全員喋るフルボイスゲームにおいても主人公だけは声優が付いて無い、もしくは設定で主人公の音声だけ鳴らないようにカットできる機能が付いていたりする。
ゲーム内のグラフィックでも主人公の顔が隠れていたり、他のキャラクターに比べて極端に個性が薄いデザインになっているものが多く、視覚的にも聴覚的にも自分を重ねやすく作られており、その没入感ったら自分がゲームの中に入り込んだような感覚に陥ること間違いなしだ。
そんな自分を俯瞰して見ると確かに気持ち悪い。しかもクライマックスでは号泣しちゃったりするのだ。とても親や友人に見せられる姿ではない。ただ、それだけ没入できるゲーム体験は非常に貴重なものだ。
そしてジャンルは違えど、この手法を用いて大ヒットしたタイトルがあるのはご存知だろうか。そう、ドラクエとポケモンである。やっぱり主人公に自分を投影したい人は多い。そんな人は是非騙されたと思ってノベルゲームの扉をあけてみて欲しい。
エロゲーなのにエロがいらない
成人向けゲームには大きく分けて2種類ある。本来の目的に忠実に作られたエロてんこ盛りの「抜きゲー」、そして脚本の一部として性的描写が用いられている「読みゲー」もしくは「泣きゲー」だ。
自分は「この青空に約束を」という泣きゲー作品でこの感覚を味わったのだが、信じられなかった。本当に衝撃だった。
なぜならエロゲーってエロいものを見たいから買うのであって、明確な目的のもとにこっちも買っている訳で。なのに!あまりにも話が面白くて目の前に全裸の美少女キャラクターがいるのに、とにかく先が気になってエロそっちのけでテキストを読み進めてしまう。俺は一体何を買ったんだ。
こういった作品は後に別の制作会社を経由して成人向け描写をカットした「全年齢版」もしくは「コンシューマー移植版」としてプレステやXBOXといった一般向けのゲームハード向けにリメイクされ、更にファンを増やしていくことになる。
逆を言えばPCゲームからコンシューマーへ移植されたゲームはそれだけ良い作品だということ。脚本のクオリティが約束されているようなものだ。この安心感はすごい。
書きすぎた。
後半のジレンマ編へ続く…。