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「大人の文化祭」でプライスレスな時間を過ごす

若者に人気のこの街は、ご多分に漏れず、行事・祭事が多い。

夏の例大祭に続き、数年前から秋に盆踊りをやっており、僕の住むエリアの町内会でも、出店を出して、盆踊りに来場する地域の皆さんに飲食物を振舞っている。

例年、校庭にやぐらを立てて盆踊りを開催するほか、地域の大人たちが協力して出店を出す。

「秋に盆踊り」というのは少々違和感もあるが、近年の気候変動でこれは致し方なし。

令和の世ともなると、政府による労働政策のあおりを受けて、男女を問わず大人の大半は働いており、地域と接点を持つ機会はない。地域社会のつながりもほぼない、というのがほとんどだろう。

そんな中、自分たちはピザを焼いて出した。しかも特大(直径60cm)のだ。人員は、生地、調理、販売各班4名+αで総勢12~13名、男女比は半々といったところか。

町内会を構成する住民の高齢化と負担増の負のスパイラルにより町内会の担い手がいなくなってきているのは先に書いた通りだ。しかし、都会だから、少子化だからと理由は様々としても、そこに暮らす地域社会のつながりが時間の経過とともに、いずれなくなっていくというのは少し不幸なことだ。

コミュニティによる"広域連携"が縦と横のつながりを緩やかに実現する (矢印は関与を示す)

だから、そう。地縁を超えて縦・横に緩やかにつながることで、リソースの共有を実現し、それとともに、町内会や地域社会における次の担い手づくりに向けた機会提供を兼ねている。

断わっておくと、自分たちは普段は全く別の仕事をしていて、飲食や出店の経験はほとんどない。年に一度、いわば「大人の文化祭」として地域有志が集い、一生懸命になれる時間を地域のお祭りにタイアップして、プライスレスに過ごしているのだ。

コロナ禍によりここ数年間休止していたお祭り行事を今年は再開しようと思い立ったが、準備不足で人知れず涙した町内会も、今年は多かったと思う。しかしながら、一方にはこうして思慮を巡らし、気を吐いている町内会もあるのだ。

こんなプライスレスな僕たちの取り組みが、何かの参考になればちょっと嬉しい。

(続く)

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