8週間で幸福度を高めるプログラム ーマインドフルネス×強みの実証研究ー
こんにちは。紀藤です。さて、本日は「ポジティブ心理学」×「強み」の論文の紹介です。
「マインドフルネス」という言葉は、よく知られるようになりましたが、ここに「性格の強み」をかけ合わせたプログラムを「Mindfulness-Based Strengths Practice (MBSP)」と呼びます。
このMBSP、つまり「性格の強みを強化する8週間のプログラム」が幸福度を高める事ができるのかを検証した初めての研究となります。
そして介入の結果、「MBSPにより、幸福度は高まった」となりました。
ということで、詳しい内容を見ていきたいと思います。それでは、まいりましょう!
今回の論文
30秒でわかる本論文の概要
この研究は、ポジティブ心理学の分野で新たに提唱された「Mindfulness-Based Strengths Practice (MBSP)」が、参加者の幸福感に及ぼす影響を検証することを目的としています。
MBSPは、マインドフルネスとキャラクター強化(Character Strengths)という2つのポジティブ心理学のアプローチを統合した8週間のオンラインプログラムです。
本研究では、一般成人の参加者がMBSPプログラムを通じて「幸福感」にどのような変化が見られるかを調査しました。参加者は実験群とコントロール群に分けられ、実施されました。
結果として、実験群では「幸福度」に関連する全ての尺度で有意な向上が見られました。
という内容です。
一般向けに実施された初めての「Mindfulness-Based Strengths Practice (MBSP)」の実証研究であるというのが強調されており、興味深いところです。
研究の方法
では、どのような方法で、どんな研究を実施したのか。
以下詳細を見ていきたいと思います。
対象者
・18歳以上の成人(平均年齢 約50歳)、イギリス国内
・実験群:19名(MBSP(Mindfulness-Based Strengths Practice)を実施)
・コントロール群:20名(何も行わない)
調査尺度
以下の4項目を介入前後で実施を行い、実験群・コントロール群で統計比較をしました。
8週間のMBSPプログラム(介入方法)
そして、実験群に「Mindfulness-Based Strengths Practice (MBSP)」を行いました。その内容について、論文より以下まとめてみます。
結果わかったこと
さて、介入の結果、MBSP群の「幸福度」のすべての尺度に向上が見られました。より具体的には、
・人生満足度尺度(SWLS)は(中央値 28→30)と有意に向上
・Flourishing Scale (FS)は(中央値 49→51.5)と有意に向上
・Positive Psychotherapy Inventory (PPI)は(中央値 17→18)と有意に向上
・シグニチャーストレングス(SSI)は(中央値 17→18)と有意に向上
となりました。(コントロール群は、SWLS以外は変化が見られませんでした)。
まとめと個人的感想
サンプルが小規模であること、長期的なデータが不足していることが本論文の限界ではありますが、MBSPの効果が実証された初めての研究ということで、興味深いものでした。
特に、これまでの論文でも紹介されていた「ベストな自己」「性格の強み」などのワークは想像がつきますが、「マインドフルウォーキング」や「彫像の瞑想」など興味深いものもあり、より具体的に調べてみたくなりました。
8週間×2時間でワークを行うことで、幸福度が高まるなら、悪くなさそうな気も個人的にはします。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!