強みのゴールドスタンダード「VIA」は5因子構造でした
こんにちは。紀藤です。本記事にお越しくださり、ありがとうございます。
さて、本日は「強みアセスメントVIA-ISのドイツ語版の検証」の論文のご紹介です。
ドイツ語でのVIAを作成した上で「VIAの24の強みを因子分析をしたら5因子になった」という検証を行っている論文であり、他論文で引用されているのを何度か見つけた論文でもありました。
読んでみたところ、「これまでの強みの先行研究のレビュー」がわかりやすく、これもまた一つの整理になりました。2010年の論文なので、強みの研究もまだ組織に波及していく前段階のものですが、”元相を遡る”ということでぜひ見てみたいと思います。
ということで、早速まいりましょう!
「強み」のこれまでの発見(2010年時点)
強みの研究は、本論文の著者であるセリグマン氏も中心人物の一人として2000年代初頭から拡大していきました。2010年代の中頃になると、組織内における強みの活用、リーダーシップへの応用、ワークエンゲージメントとのつながりや職務満足度など、組織の成果に繋がる研究も進んできました。
その中で、2010年までにわかってきた「強みの研究結果」が本論文にまとめられていました。以下、ざっとご紹介いたします。
なるほど。病気からの回復にも影響がある、国ごとの違いはあまりない、遺伝的な影響などが、このときはわかっていたのですね。うん、興味深い。
VIAの24の強みは「5因子構造」だった
さて、VIAですが「強みアセスメントのゴールド・スタンダード」とも呼ばれるようで、多くの研究に活用されまくっています。
その開発の背景は、古今東西の著作から「人間の徳」に関わるものを抽出し、55名の研究者によって、24の徳目と6つの分野にわけたのでした。(詳しくは以下記事より)
しかし、「24の強み」をアナログでわけると「6つの美徳(カテゴリ)」になりましたが、統計的な因子分析でわけると、違った結果が出たのでした。
それが、性格的な強み(VIA)を、「5つの強みの大分類」として分類できた、とのことで「1,自制の強み」「2,知的な強み」「3,対人的な強み」「4,感情的な強み」「5,神学的な強み」にわけられたのでした。そして、続く調査ではどの強みがストレス対処や、職務満足度に影響するかなどの分析ニ活用されていきました。
では、24の強みを5つにわけたの因子とはなにか?
因子分析の結果が以下の通りです。
この結果が、この後もいくつかの論文に出てきており、たしかに強みの種類を「知性」「感情」「自制」「対人」「スピリチュアリティ」でわけることは、性格的強みの大分類としてフィットする感覚もあります。
まとめと個人的感想
新しい論文を呼んでいると、以前になされた研究(今回でいえば強みの5因子構造)の話が登場する場面によく出会います。
無視して読んでもいいのですが、結局「そもそもこの論文って何を背景にしているのか」を掘ると、昔の論文に行かざるを得なくなります。
その都度、最近の論文と、以前の論文を行ったり来たりするのですが、そのことによって、少しずつ「強みの研究」における年表と、各国の研究のパズルが埋まっていくような気がして面白いです(まだ穴だらけのパズルですが)。応用を知るには、まず基礎から。そんな事も思った論文でもありました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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