スティールギタリストDon HelmsのGibson Console Grand
Don Helmsというスティールギタリストをご存知の方は、古いカントリーミュージックがお好きな方でしょう。ここでいう古いカントリーとはハンク・ウィリアムスとかそのころのカントリーミュージック。
実のところ、私はハンク・ウィリアムスのレコードは持っているけれど、もっと新しめのカントリーミュージックばかり聴いているもので、あまり詳しくはありません。申し訳ない。ハンク・ウィリアムスの曲の多くが今でも多くのミュージシャンに歌い継がれてきていて、彼は絶対的な巨匠なのだけれど、ちゃんとじっくりと聴いてこなかったのです。
しかしながら、一人のスティールギターファンとして、ハンクウィリアムスのバンドでスティールを弾いていたDon Helmsはよく知っています。カントリーミュージックにスティールギターの必要性を定着させたのが先日紹介したLeon McAuliffeと今日紹介するDon Helmsと言っても過言ではないでしょう。まさに、スティールギターのゴッドファーザー。
Don Helmsは2008年までご存命でしたし、1990年代ぐらいまではコンヴェンションなんかに出演していたようで、YouTubeには2008年(最晩年)の演奏の動画も上がっているので、結構元気に活躍されていたようです。
彼のスタイルは複音でメロディーを弾きながら、要所要所で3声、4声のハーモニーを鳴らすというシンプルなスタイルなのだけれど、ノンペダルのスティールギターであれだけ美しくハーモニーをつけながら演奏するのは至難の技だということは推し量ることができます。そのビブラートの美しさ、オブリガートを入れるタイミングの妙といい、全てのスティールギタープレーヤーがお手本にしたのは頷けます。
彼の愛用のスティールギターは1948年製のGibson Console Grandというモデルで、彼は1949年に購入したそうなのだけれど、最晩年までピッカピカの状態で使っていたようで、相当大切にされていたようです。(インタビューによりますと、何十年かの間博物館に所蔵されていたとか)
チューニングは1stネック(外側のネック)が高い方からG#で始まるE6チューニング、2ndネックがA6チューニング(ジェリーバードチューニング)とのことです。私は、E6チューニングもA6チューニングも使ったことがないので、どのように弾くのかはわかりませんが、Don Helmsはそのチューニングでどんな曲でも美しいハーモニーをならせるのはすごいです。ハンク・ウィリアムスの曲(Hey Good Lookin'とかYour Cheating Heartとか)のお馴染みのイントロはE6チューニングで弾いているようです。
実のところ、Don Helmsはノンペダルのスティールギターではなく、ペダルスティールもバリバリ弾けるようですが、自分のスタイルを貫くために、できることをあえてしないというのは芸術家のあるべき姿だと思います。
私は、芸術家ではありませんが、今まで仕事でも「自分のできることはなんでもします」というスタンスでやってまいりましたが、どうも40歳を超えてできないこと、というよりは苦手なことをさも「できる」と騙り、随分回り道をしてきたような気がします。
じゃあ、それらを抜かしたらお前に何が残るんだ?と言われてしまいそうですし、Don Helmsを引き合いに出して恐縮ですが、仕事でも自分のやるべきことでないことはやらないということも大事なことのような気がします。
なんだか、Don Helmsの話から遠ざかってきてしまいそうですが、今日は頭がぼーっとするので、このぐらいにしておきたいと思います。
Don Helmsについては、また改めて。