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C6チューニングの奥深い世界

私は今でもペダルスチールギターの練習を時々している。
時々と言っても、本当に時々思い出したかのように楽器に触れているだけなのだが、少しでもこの楽器を弾けるようになりたいという気持ちは10年前から心の片隅に持ち続けている。

ペダルスチールギターという楽器は本当に複雑な楽器である。以前にも書いたが、チューニングから始まって、ペダルの操作、ニーレバーの操作、スライドバー、ピッキング、ミュート、ボリュームペダルと本当に色々な要素を同時に行わなければならないのでそれはそれは習得に時間のかかる楽器であることは間違いない。チューニングも大きく分類すると2種類存在していて、E9とC6チューニングというのがある。それで大抵のペダルスチール奏者(上級者)はダブルネックの楽器を演奏する。

E9チューニングはシンプルな3コードの曲を弾くには適していて、教則本の類も出ているため、チューニングそのものとペダル・ニーレバーの操作を習得するのは比較的容易な方である。容易と言っても、複雑なことには変わらないが、私はやっとE9チューニングのペダルおよびニーレバーの役割を半分ぐらい把握したところだ。

厄介なのはC6チューニング。こちらはスチールギターの元祖とも言えるラップスチールギターで多用されているチューニングで(とは言ってもラップスチールのチューニングは星の数ほど存在するが)元々はハワイアンやらジャズの奏者がメインで使っている。ペダルやニーレバーを用いなくても、メジャーコードもマイナーコードも同ポジションで鳴らせるという便利なチューニングだ。ペダルやニーレバーを用いれば、ディミニッシュやらセブンス、メジャーセブンスだけでなく、数々のテンションコードを鳴らすこともできる。

色々なコードを鳴らすことができるということは、それだけ複雑だということでもある。私はペダルなしの状態でもまだこのC6チューニングを習得できていない。全く習得できていない。

そこで、ここ数年押し入れの奥にしまってあったC6チューニングの楽器を出してきて練習を始めた。ダブルネックの楽器も持ってはいるのだが、重すぎることと、少しメンテナンスが必要なので出していない。C6チューニングにして使っている楽器はFenderが60年台に生産していたFender400という楽器だ。

元々この楽器はA7チューニングやらF#13チューニングやらで使うことを想定しているらしく、付属のマニュアルにはそれらのチューニングで使うことを想定したペダルのセッティングの説明が書かれている。しかし、新しいチューニングを一から習得するのは大変なので私はC6にチューニングして使っている。ニーレバーなしのバウペダルを省略したセッティングにしてある。

このFender400という楽器を手に入れたのは今から5年ほど前。御茶ノ水の楽器店でジャンク品で売られていてのを救い出して、治して使っているのだ。妻が私の40歳の誕生日祝いに買ってくれた。そういうこともあり、思い入れのある楽器で超重量物であるにもかかわらず手放さずに引っ越しの際に持ってきた。

C6の練習を、まずペダルを無視してやっているのだが、なかなか難しい。このままではいつになったら一曲演奏できるようになるのかは未知である。スチールギターの基本はC6だという意見もあるだろうが、初めからペダルスチールギターで入った私にはE9チューニングしか馴染みがないのだ。

それでも、少しずつこの楽器を解読し、いつか一曲演奏できるようになるのを目標にしている。それでないとFender400という名器が浮かばれない。

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