「Go Forward」を実現するカウンターワークス開発チームの組織改革の裏側
2022年1月にサービス提供を開始した商業施設のオンラインリーシング支援SaaS「SHOPCOUNTER Enterprise」。今回はこのプロダクトを推進すべく、昨秋から新たな組織編成へ大胆に舵をきることを判断した取締役CDO(Chief Design Officer)の山本さんと、それに伴い去年の10月、「Enterprise」事業部のエンジニアチームリーダーに抜擢された志村さんと川俣さんの3人にご登場いただき、カウンターワークスが取り組んでいるドラスティックな組織改革の裏側とその実態についてお話を伺いました。
【プロフィール】
ピザ二枚を分け合える程度のチーム規模がもっとも効率的
──このたび行われた組織改変の概略を、お聞かせください。
山本CDO:去年(2023年)の10月からカウンターワークスは10期目を迎えました。徐々に顧客も増え、従業員数も50名を超えてきたので、状況の異なる複数プロダクトの意思決定スピードを早めるために、創業時から提供しているポップアップストアの出店支援プラットフォーム「SHOPCOUNTER」と、商業施設のオンラインリーシング支援SaaS「SHOPCOUNTER Enterprise」というプロダクトごとの事業部制に移行しました。
2年前に「SHOPCOUNTER Enterprise」が立ち上がるまでは、単一のプロダクトで運営していたため社内の組織図も職種機能別で、マーケティングの部署があって、営業がいて、開発やデザインを担当するエンジニアがいて……と、シンプルでした。それを今回プロダクトごとに分割したわけです。
──「事業部制への移行」によって、どういう効率が生まれてきているのでしょう?
山本CDO:最大の目的は「チームのサイズをなるべく小さくしたかった」ということです。たとえば、10人で一つの仕事に取り組んだとしたら、一人が他の9人のことを知るのが困難になってくるため、4〜5人の小さなグループにまとめたかった。そうすることによって、各自が「今なにをしているか」をきちんと把握したうえでクリアなチームワークを発揮しながら、一つの目標に向かっていけるようになりました。俗にいう「ピザ二枚のルール」というものですね。
──「ピザ二枚のルール」とは?
志村:Amazon CEOのジェフ・ベゾスが提唱した「ピザ二枚を分け合える程度のチーム規模が余分な時間を省略でき、もっとも効率的である」というルールです。能力と決定権を持つ小さなチームであれば、コミュニケーションにかける時間が最小限になり、迅速に動くことができる──ポイントは「ミッション」と「自律性」で、この2つが揃っているチームが複数あると、それぞれのチームが課題に対して端から端まで目が届くようになり、それが「スピード」をも生み出すのです。
──今回の組織改編で志村さんと川俣さんを新たなリーダーに抜擢した理由を…?
山本CDO:志村に関しては、「エンジニアとしての経験」が長く、カウンターワークス以外でも、さまざまな現場に携わってきた百戦錬磨な人材だったからです。なので、よりいっそう広い視野で仕事に接してもらいたかった。
川俣に関しては、本人から「リーダー」的な仕事もしてみたい、という希望を聞いていたので、「じゃあ、いい機会なのでやってもらおう」という流れでした。
川俣はどちらかと言えば、技術面で特化しているタイプ──自分が現場で動くことによって物事を成し遂げていくスタイルの持ち主だったため、リーダー的役割がどれくらい向いているかは、じつのところ未知数でした。しかし、実際のところは二人とも、予想以上に上手くやってくれていると思います。
──組織構想に年功序列のようなものはないんですか?
山本CDO:経験年数からくる「知識差」などは多少考慮しますが、実年齢はまったく関係ありません(編集者注:志村は40歳、川俣は30歳)。それよりは、自ら能動的に「やってみたい!」と志願してくれる情熱ある人材に任せたいという想いのほうが強かったのです。
「自分のスキルアップだけを考える立場」から「チームの成長を促す立場」へと…
──会社には毎日出勤している?
志村:いや、僕も川俣も基本的にはリモートワークで、週1回だけ出勤するルールになっています。僕が所属する開発チームは木曜日が出勤日なので、昨日までは長崎へ旅行に行って、ワーケーションをしていました(笑)。
川俣:私のチームは、原則として「2週間」を区切りに仕事を進めています。2週間でなにをどこまでつくるかというスプリントをプロダクト全体で “計画” し、1週間後に中間報告をし合うスタイルです。それを完遂できるための調整を、自らも開発に加わりながらチームをリードするのが、おもな仕事内容なのですが、志村さんよりは私のほうが「開発者」的な要素はやや強いのかもしれません。
山本CDO:川俣には、(現居住地である)広島から都度出社してもらっているんですけど、「週一回の出社(注:川俣については隔週での出社)」──「対面のコミュニケーション」はとても大切だと思っています。それは、我々のような職種でも決して例外ではありません。社員数が多くなればなるほど、オンラインのコミュニケーションでは限界が生じてきますから。
──リーダーを任された当初の「苦労話」などがあれば…?
川俣:私がリーダーを任される以前は、正直「自分が生産する量を最大化させること」にしか責任を持っていませんでした。「自分の生産量を最大化すれば、おのずとチーム全体の生産量も最大化できるだろう」という考えだった……。
でも、いざリーダーになると、責任のすべてが「チームの生産量を最大化させること」にかかってきます。極論、これまでは「自分のスキルアップ」だけに集中していたのに、今は「チームメンバーの努力や成長を促す立場」に立ったわけで、そのギャップにはじめは多少苦労しました。
とりあえずは「リーダーが努力していなければ他のメンバーも努力するはずがない」──「背中を見てもらいながらメンバーについてきてもらう」という姿勢で、自己研鑽しているさまを見てもらえるよう、また「メンバーにリーダーとして認めてもらえる」よう、いろいろと工夫していている最中です。
志村:川俣は最近、めちゃくちゃ勉強してますから(笑)! 足りない部分を読書などできちんとキャッチアップしながら、最近は「この本、オススメだから」と、エンジニア同士の勉強会で発表してくれています。
川俣:(苦笑)たしかに本を読む量は増えてきたかもです。
──志村さんの「苦労話」もお願いします。
志村:僕も川俣と同様、やはり「自分のことだけを考えている立場じゃなくなった」という責任がプレッシャーに感じたことはありました。「自分が決断したことが、そのままチームの決断になる」というプレッシャーは今でもあります。
ただ、同時に「メンバーからの合意を得た上で、チームの方向性を決断」し、それが事業の成長にもつながったときはとてもうれしいですし、やり甲斐にもなります。一人でできることにはどうしても限界がありますし、チームを組めば、より大きな成果を得られるということを肌で実感できるようになってきました。
──エンジニア…いわゆる「スペシャリスト」としての性(さが)が、そういうジェネラリスト的要素の強い仕事をしているときに、疼(うず)いたりはしないのでしょうか?
志村:僕は元々が文系の大学を卒業したエンジニアで、どちらかと言えばビジネス側にいた人間なんです。もちろん、技術系の作業は好きなので、勉強はまったく苦にならないのですが、それよりも企業を成長させるためにはなんでもやりたい。本質としては、サービスを企業単位で成長させるための「問題解決」が好きなのかもしれません。だから、現状のような「広く浅く〜」もさほど苦にはなりません。
川俣:自分も近頃はその感覚に近くなってきました。私には「人生で2回くらい、所属している企業が上場する瞬間に立ち会ってみたい」という夢があるので(笑)。だから、そのためにできることなら、自分の能力が追いつくかぎり、ベストを尽くしたい──たまたま事業に貢献できる一つの手段として、エンジニアもやっている……という発想が自然にできるようになりました。
──山本CDOから見たお二人の成長は?
山本CDO:「これまで自分に向かっていっていたものがチームに向かっていく」──よりプロダクトの成長に向かっていかなければならないという気概が伝わってくるのが一番の変化なのではないでしょうか。
肩書き的に「偉い・偉くない」ではなく、そういう役割に対して面白味を感じてくれて、なおかつ自分からいろいろと提案もしてくれて……より大きなスケールで物事を捉え、プロジェクトを前に進めてくれている点は、とても頼もしく感じています。まさに「肩書きが人をつくる」というか(笑)。
「新しい常識」を積極的に吸収できるような人材と働きたい!
──今後「一緒に働きたい」のは、どんな人材でしょう?
山本CDO:カウンターワークスのバリュー(=行動指針)※に共感してくれて、なおかつそれを実践できる人と一緒に働きたい。
すごくユニークなタレントや、突出したスキルを持つ人材も魅力的ではありますけど、僕たちは長期的に成長したいので、「みんなでつくっている」という連帯感だけは忘れずに共有し続けてほしい。
専門職的な観点からいうと、現在は「新卒」「中途」の両方を採用しているのですが、とくに「新卒」だと「学習意欲」──「新しい体験をしてみたい」「知らなかったことを知りたい」という一種の好奇心のようなものが旺盛な人と働きたい。
僕たちは「完成されたビジネス」をやっているわけではなく、これから「新しい市場をどんどん開拓」していかなければならない会社なので、見知らぬ物事と次々対面しなければなりません。従来は「こうだ」と思い込んでいたことが、根底から覆されることだって十分にあり得ます。そこから生じる「新しい常識」を積極的に吸収していきたい……と、ナチュラルかつ柔軟に向き合える資質・感性が大切だと思います。
志村:僕が一緒に働きたい人材は、「責任感=オーナーシップを持っている人」です。「スキル」は「センスのあるなし」だとか「好き嫌い」だとかで多少の差はつくものの、勉強さえすれば育てることが可能なんです。自分も法学部出身だけど、エンジニアとして10年以上やれているわけですし……。
むしろ、フォーカスしたいのは、責任感があり、カルチャーマッチしているかどうか。責任感のある人は最後まで諦めずに自分の仕事をやり切って、さらにはそれをお客様に届けるまでのイメージができる──ここが重要なのではないでしょうか。
そういう人なら、仮に意見が食い違ったとしても建設的な議論もできますし、「よりいいものをみんなでつくっていく」ときの、欠かせない推進力にもなるはず……。
そもそも「良い会社」という概念自体が非常に曖昧なのですから、「これでいい!」と100%納得できる「最強の方法論」なんてものは永遠に見つかりません。
「良くしていく」ということは、結局のところ「悪くしていく」というリスクも含めて「変化していくこと」だと思うんです。「頑張る!」といったガッツも大切なのですが、そこで「頑張るためにちょっとだけやり方を変えてみよう」「新しいなにかを取り入れてみよう」と、機転が働くような人材なら最高です。
川俣:私は、なんらかの知識やスキルが突出した、もしくは突出するために勉強している人と働いてみたい。
たとえば、友達3人で受験勉強をしているとします。そこに国語が5で数学が2のメンバーが一人いたとします。もう一人のメンバーは数学が5で国語が2です。そういう状況のチームに数学も国語も3のメンバーが入ってもあまり還元できることはありません。国語と数学は1でも英語が5のメンバーが入ってくれたほうがいい。チームに自分の突出したスキルを還元してくれて、その結果、チーム全体の守備範囲も広くなっていくのが理想なんじゃないかな、と考えています。
先ほど、山本が指摘していたとおり、かつては私も個人プレイに走りがちな側面がちょっぴりありました(笑)。ただ、責任を背負うことで「人間は変われる」ということもわかりました。そして、新しい人材が「変われる」ためのきっかけを提供するのが、我々の務めなんだろうし、ここではじめてバリューの「One Team」の精神が活きてくるのではないでしょうか。
──逆に「一緒に働きたくない人材」とは?
山本CDO:あまり偉そうなことは言いたくないのですが……(苦笑)、「言葉の端々にリスペクトに欠ける発言がある」──過去の経緯や判断を理解しようとしないようなタイプは論外ですね。
あと、人の本性って……なんらかの負荷が自身にかかってきたとき、もっとも顕著に現れてくると思うんです。「転職」を例に挙げると、「嫌なことがあった」「やれないことが出てきた」場合、それを少しでも「自分の力で変えていこう!」と、アクションを取れていたかどうか……は、判断の基準にします。「この会社嫌だな」「嫌じゃない会社に転職しよう」というパターンを繰り返している人は、おそらく「なにかを乗り越えたことがない」──同じ仕事しかしてこなかったわけです。僕らの会社でも嫌なことが出てきたら、またすぐどこかに行っちゃうんだろうな……と(笑)。
もう一つは「あまり完璧主義すぎない人」……かな? 一般的に、よく「仕事ができる」と呼ばれる人は、必ず「自分のスタイル」を持っています。だけど、僕は「状況に応じて、自分が提供できるものを柔軟に出し入れできるというスタイル」こそが重要だと考えています。「このやり方じゃないとできない」というよりは、「状況ごとに自分のなかでは完璧じゃなくても、さらに新しいやり方をつくっていこう」という種類のポジティブさを持っている人のほうがカウンターワークスには向いているのかもしれません。
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