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【生きづらさは大人の発達障害グレーのせい?特徴と対処法】

【大人の発達障害グレーの人たちの特徴】

ここ数年、精神科や心療内科などで、「発達障害かもしれない」と受診してくる人がたいへん多くなっています。

受診する人の悩みは主に、対人関係がうまくつくれないというもの。

ところがそうした人たちに対して、内科などのように、採血して血糖値が高ければ糖尿病であるというような明快な診断ができません。

これは発達障害に限らず、精神疾患全体にいえることです。

精神疾患全体が混沌としていて診断が難しく、すべてがグレーなのです。

つまり、医療機関による「発達障害とはいえないが健常でもない、その中間である」という診断が「グレーゾーン」です。

そうした発達障害の「グレーゾーン」と診断された人たちは、特有の生きづらさを抱えています。そんな「グレーゾーン」の人にはどういう特徴があるのか、またどのように対処していけばよいのかを紹介します。



まずは知っておきたい発達障害のこと

あれ、この人指長い気が

よく知られている発達障害は大きく分けてこの3つ


「グレーゾーン」の人たちを理解するためには、まず発達障害について知ることが大事です。

「発達障害」というと、一般的には自閉スペクトラム症、ADHD、LDの3つがよく知られており、診断される人数も多いようです。


●自閉スペクトラム症
以下のような自閉的特性をもっているために、生活に支障をきたしています。
・興味の対象が限られる。くり返しを好み、順番にこだわる。
・暗黙の了解の幅が狭い(言わなくても通じることが少ない)。
・イマジネーションやコミュニケーションなど社会性に困難がある、など。



●ADHD
注意欠如・多動症です。遂行機能障害が中核にあり、日常に支障をきたしますが、とくに仕事を進めるうえで困難が多くなります。二次障害として、ほかの精神疾患を発症することが少なくありません。遂行機能障害とは、不注意、注意散漫、多動性、衝動性の特性のためにものごとを遂行することに障害がある状態を指します。

●LD
「学習症」のこと。読み・書き・計算などのうち、特定のことだけが極端にできません。ほとんどの人は子どものころに見つかるので、大人になってから診断されるのは極めて少数です。

この3つは分類されてはいても、きっぱり分けることができず、発達障害の診断を難しくしています。

特性が重なることも多く、発達障害の併存とみなされることもあります。そして、発達障害の場合、症状とは問診で本人が訴えることで、客観的な数値などはありません。

症状だけで診断基準から診断するのは、限界があります。



この発達障害の「傾向」がある人たちが「グレーゾーン」と診断されています。

発達障害をブラック、健常者をホワイトとしたときに、両者の間にどちらともいえないグレーのゾーンがあり、このグレーの濃度が無数に存在するのです。

また、「グレーゾーン」とは「発達障害の診断が定まらない人」という意味だけではありません。

「環境への適応がいいときと悪いときの両方がある人」であり、ときには発達障害であるが、ときには健常者である人でもあります。だから、「グレーゾーン」は診断が難しいのです。



発達障害グレーゾーンの人はこんな悩みを抱えている

診断が簡単ではないとはいえ、発達障害や「グレーゾーン」にはひとつ明らかなことがあります。

それは、適応障害が必ずあるということ。適応障害とは明らかなストレスがあり、そのストレスのためにさまざまな症状を呈するもの。

ストレスが発生してから3ヵ月以内に症状が現れ、日常生活に支障をきたしている場合に、適応障害と診断されます。

「グレーゾーン」の場合、進学や就職など環境の変化がありなにか適応できない困難なことが生じた時に適応障害が起こります。

実際に、どのような悩みを抱えているのでしょうか。


●コミュニケーションはとれるが、人間関係を継続することができない。

友だちとの距離のとり方がわからない。

自分と話してもつまらないだろうと自信をなくし、輪の中に入れない。雑談をするとき、相手がどう感じるかを考えすぎてしまい、次の言葉を出せないことがある。

「聞きながら考える」ことが苦手で、「どう思う?」と急に言われても、とっさに言葉が出てこないことが多い。

周囲の人と話すスピードが違い、会話のテンポについていけない、などの理由から、人間関係を続けることが難しく孤立しがち。



●ある程度の仕事はこなせているのに、うまくいかない。

自分で「完璧」と納得できないと提出ができない。

自分がやったことがない仕事や、分量や期限が不明な仕事は、イメージすることが苦手。

なぜかいつもギリギリで、やっつけ仕事になってしまう。

焦って最後の確認を怠ってしまい、失敗したと思ったとたんパニックになる。



●できないことばかり注目して自己評価が低すぎる。

発達の凸凹があると、できることとできないことの差が大きく、できないことばかりに注目してしまう。

すると、きっと失敗するだろう、叱責されるだろうと不安感が強くなり、萎縮は失敗を招き、さらに自己評価を下げるといった悪循環になってしまう。



●失敗や叱責を恐れ、不安感が強く萎縮しがち。

職場などでミスを連発。自分でもなぜこんなにできないのかと悩み、叱責されるのではないかと不安で萎縮してしまう。



●苦手な部分をカバーしようと常に緊張しつづけ、疲れ果ててしまう。

怒られるのではないか、人とズレたことをしていないか、間違ったことをしていないかと、一日中緊張している。

そして、精神的にギリギリの状態で仕事をしているので、疲れ果ててしまう。帰宅したらぐったりして動けず、頭痛や肩こりに苦しむケースも。



生活に工夫を取り入れることでぐっと生きやすくなる

発達障害や精神疾患には治療法があるけれど、グレーゾーンには治療法がない……。そうあきらめる必要はありません。

グレーゾーンの人であっても生きづらさがあるなら、カウンセラーに相談してもよいでしょう。

また、自宅や職場などで以下のような工夫を重ねることで、困難を減らし、日々を暮らしやすくすることができます。

実際にグレーゾーンの人たちが行っている例をご紹介しましょう。

【生活の工夫】

●雑談が苦手。人との距離感をつかめない

→会話の輪に入れないので、1対1の会話から始めるようにしました。
→話題がみつけられないので、誰にでもできる質問(最近旅行しましたかなど)や初対面で聞いてはいけないこと(異性に最寄り駅を聞かないなど)を頭においておきます。
→不自然にならないように席をはずします。


●忘れ物

→カバンを替えないようにしています。1シーズンは同じカバンです。


●疲れやすい

→過集中していないか、ときどき自分でチェックするようにしています。
→睡眠不足が大敵です。起きる時間を守ります。きちんと起きれば、夜は同じころに眠くなります。


●ものを買いすぎる

→少量ずつ買うようにしています。例えば白菜は1玉ではなく4分の1だけにして、買う回数を増やします。
→適正な食品量がわからないので、冷蔵庫に1日ぶんだけ入れるようにしています。
→買ったことを忘れて同じものを飼ってしまうので、買ったものがわかるように「見える化」します。


●片付けが苦手

→徹底的にものを減らしました。かなり捨てました。
→スペースがあるとものを置いてしまうので、あきスペースをなくしました。
→ものへの執着ではなく、ものにまつわる思い出が捨てられないのだと気づき、思い出はほかのかたち(写真データ)でとっておくことにしました。


【仕事の工夫】

●電話が苦手

→電話を受けたときあわてないように、「詳しい人」「教えてくれる人」表をつくって、パソコンに貼ってあります。

●指示を忘れる

→自分が必ずみるアドレスにメールしておきます。


●期限に間に合わない

→どれくらい時間がかかるのか、仕事量を計測する日を設け、スケジュールを組みます。
→進捗管理が必要な人に、代わりに管理をお願いし、徐々にそのやり方を覚えます。

●ホウレンソウが苦手

→メールでの報告・連絡では、知ってほしい人、助けてくれる人にもCcに入れて情報共有しています。
→指示されたその場で自分の認識にズレがないか確認します。例えば「あれやっておいて」と言われたら「〇〇〇ですよね」と確認するようにします。

●優先順位がわからない

→TODOリストを作り優先順位をつけるようにしています。→思い込みで行動してしまうことが多いと自覚し、まわりの人に事前または要所要所で確認する習慣を作りました。


【セルフケア】

誰でもストレスはたまります。そこに、グレーゾーンならではのつらさが加わります。心も体も疲れ切っていないでしょうか。

そんなときにはゆっくり休み、自分を励ましましょう。セルフケアの一例を挙げてみます。

●ひとりで旅行する

誰にも気をつかわず、自分だけが楽しめるプランを立てます。

●睡眠を十分にとる

疲れやすいので、ゆっくり休んで回復に努めます。

●共感できる人と話す

つらい気持ちを共感できる友だちと話します。本音を語る人がいなければ、コミュニティなどへの参加も。


●好きなBGMを聴く

静かに耳を傾けるうちに、気持ちが楽になってきます。音楽には心を癒す力があるようです。

●泣く

ごまかされずに、とことん落ち込んでみます。「涙活」というようです。
カタルシス効果があります。

グレーゾーンの人たちは、仕事や人間関係などでうまくいかないとき、過度に自己否定しているのかもしれません。

発達の凸凹があると、できることとできないことの差が大きいのですが、できないことばかり注目して、自己評価を下げています。

すると、きっと失敗するだろう、叱責されるだろうと不安感が強くなり、萎縮は失敗を招き、さらに自己評価を下げるといった悪循環になってしまいます。

できることに注目しましょう。100点でなくていいのです。

そもそも社会は100点を求めていません。そう思っているのは本人だけで、おそらく社会は人並みを求めているのです。点数で言えば60点ぐらいでしょう。

失敗をおそれず、後悔を反省に変えて、自分を励ましながらまた取り組んでいきましょう。


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