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【大人の発達障害の人は何故忘れっぽいのか?原因や対処法】

早速ですが、忘れっぽいとどうなるでしょうか?
・必要なものが用意できない
・物事が予定通り進まない
・結果的に約束を破ってしまう
などでしょうか。

仕事でも、私生活でも、「忘れもの」や「忘れごと」はない方が望ましいですし、誰もが、準備物や約束を忘れたくて忘れているわけではないと思います。

自分が忘れっぽいということで悩んで方もいらっしゃると思います。

仕事で忘れもの・忘れごとをするとどうなるでしょうか?
・物事によっては重大な問題を引き起こす
・信用を失う
ということが起こり得るのではないでしょうか。

これは、障害者雇用枠でも同じで、社員でもパート・アルバイトでも、フリーランスでも同じです。

発達障害のある方の場合、仕事での「忘れ」をきっかけに、うまくいかない自分に対しての自己嫌悪や、責められたりすることでのストレスが、二次障害の要因になることもあります。

(※二次障害とは、障害特性による一次的な問題+後天的な要因(ストレスやトラウマなど)によって起こる二次的な障害のことで、うつや不安障害などもその一つです。)

「忘れっぽい」という自覚があれば対策ができますが、無自覚で過ごしてしまうと、周りを振り回してしまい、段々と人が離れていくということになりかねません。

このようなことは、仕事を長く続けていくためにも、避けたいところですよね?



大人の発達障害とは?

まず、発達障害とは何でしょうか?
発達障害者支援法では以下のように定義されています。

「「発達障害」とは、自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」

e-Gov 法令検索 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=416AC1000000167 (2023年4月20日参照)

発達障害の明確な原因は解明されていませんが、先天的な脳と神経系の障害で、育て方や努力不足が原因ではない、といわれています。

学生時代の忘れものや忘れごとは、「おっちょこちょい」であるとか「抜けている」で済むことあるかもしれません。しかし、仕事では「おっちょこちょい」や「抜けている」は、「不注意」「確認不足」と捉えられることが多くなります。

そこから「ミス」「事故」「インシデント」が発生し、場合によっては取引や会社に大きな影響を与えることもあるため、特に仕事においては、「忘れっぽい」では済まされない状況も多数存在します。

発達障害は通常、低年齢で発現しますが、上記の例のように、成人になって初めて気づく場合があります。そのため、「大人の発達障害」という表現が使用されることも多くなってきています。

大人の発達障害では特に、ASD(自閉症スペクトラム障害/アスペルガー障害なども含む)、ADHD(注意欠如・多動性障害)に触れていることが多く、それぞれ、以下のような障害特性があります。


ASD(自閉症スペクトラム障害/アスペルガー障害なども含む)の障害特性の一例

・社会的コミュニケーションや対人コミュニケーションの苦手
・限定的な興味やこだわりの強さ
・感覚的な刺激に対しての過敏や鈍感


ADHD(注意欠如・多動性障害)の障害特性の一例

・不注意(忘れっぽい、集中力の持続が難しい、など)
・衝動性(じっとしていられない、感情的になりやすい、など)
・多動性(しゃべりすぎる、考えよりも先に行動しがち、など)



大人の発達障害のある方はなぜ、忘れっぽいのか?

以下に、ASD・ADHDの方が忘れっぽくなってしまう例を紹介します。


ASD(自閉症スペクトラム障害/アスペルガー障害なども含む)の場合


・限定的な興味や強いこだわりによって、会話の内容に興味が持てない
・予想外の変化やできごとが苦手で、混乱したり、パニックを起こしたりして、思考停止になる
・聴覚が敏感で、複数の情報が(音や言葉など)耳から入ってくると処理しきれない(聴覚過敏・感覚過敏などいいます)


ADHD(注意欠如・多動症)の場合


・他のことや周囲の刺激に気を取られてしまい、話を聞き逃してしまう
・その時は分かっても、集中力の欠如や他の刺激に気を取られてしまうことで、後回しになり、忘れてしまい、結果としてやらない


発達障害の特徴として、複数の発達障害が併存する場合があるといわれています。


発達障害の併存の有無に関わらず、障害特性は人それぞれ症状の強弱・濃淡は異なりますので、単純に特徴に当てはめることはできません。

物事の状況や周囲からの影響など、複数の視点から観察することが必要です。


ワーキングメモリの弱さも?

また、ワーキングメモリの弱さを感じている方も多くいらっしゃいます。極端な例ではありますが、1つか2つのことは覚えていても、3つになると容量オーバーになり、1つ忘れてしまうといったイメージです。

ワーキングメモリとは
 ワーキングメモリ(working memory:作業記憶、作動記憶)とは、短い時間に心の中で情報を保持し、同時に処理する能力のことを指します。

広島大学「児童・生徒のワーキングメモリと学習支援」より https://hama8.hiroshima-u.ac.jp/workingmemory
(2023年4月25日参照)

発達障害のある方に、「マルチタスク」(複数のことを同時進行でおこなうこと)が苦手な方が多いことや、忘れっぽい、記憶力がよくない、といわれる方が多いことの要因の一つに、ワーキングメモリの弱さがあります。

発達障害のある方が、忘れもの・忘れごとを防ぐためには、このような障害による特性を理解しつつ、具体的な対策を実行していく必要があります。



忘れもの、忘れごとを防ぐために必要な対策

1.メモを取る

基本的な対策です。書くことによって、見る・聞くだけよりも記憶に残りやすくなります。学校や資格の勉強と同じ要領ですね。

「メモはとっているのだけど・・・」という話もよく聞きますが、「メモは書いたけど、どこに書いたのか分からない」という方が多いです。

つまり、内容を整理できていないということですね。

闇雲に書くのではなく、「何のために書いているのか?」、「どうすれば自分が確認しやすいか?」ということなどを考えながら書く必要があります。

しかし、「話を聞きながら」、「内容を整理しながら」、「どうすれば後から確認しやすいか?を考えながら」メモを書く、ということは難しいのではないでしょうか?マルチタスクですね。

そのマルチタスクを避けるためには、自分に合うツール・道具(手帳など)をあらかじめ用意して、使い方を知っておく必要があります。

手で文字を書くことも大切ですが、スマートフォンやパソコンを利用してみる方がやりやすい、という方もいらっしゃると思います。しかし、シチュエーションによっては使えない場合もあります。

会話中の操作は、話を聞いていないと思われてしまう、別のことをしていると思われてしまう、サボっているように見えてしまう、といった可能性があります。

(どうしてもデバイスを使う必要がある方は、相手に事前に相談、お願いしておく方がよいでしょう)

中には「私は記憶力が良いので書かなくても分かる」という方もいらっしゃると思いますが、メモを書く姿が話し手に安心感を与えることもあります。

メモを書いている様子が見えることで「熱心に聴いてくれている」、「安心して話せる」という印象につながりますので、記憶力が良い方も副次的な効果を狙って、メモを取ることをお勧めします。


2.ToDoリストを使う

ToDoリストを使用することも、忘れないためにおこなう対策の一つです。
ToDoリストはタスクリスト、やることリストなどと呼ぶこともあります。

ノートやメモ帳を使って、必要なもの、やること(ToDoやタスク)を書き出しておくことで、やるべきことが管理しやすくなります。

済んだことをチェックをしたり、二重線で消したりすることで、もう済んだことなのか、まだやっていないことなのか、簡単に分かります。

【1.メモを取る】で書いたメモを整理しながら、やるべきことをまとめておくと、なお良いと思います。メモをした内容の振り返りになりますし、思考の整理にもなります。

もし、そこで疑問があれば確認をすることで、自分がすべきことがはっきりしますし、確認したことで不安なく行動できるのではないでしょうか。


ToDoとし書き出しておくことで、忘れもの、忘れごとを減らすだけでなく、確認作業にも役に立ちます。

また、グループやチームで共有することで、お互いの進捗を把握することもできます。

実際に、プロジェクトの進行やイベントの準備などでは、ToDoリストを共有することはよくあることです。

ToDoリストをうまく使いこなすことは、マネジメントや進行管理にも役立ちますので、立派な仕事のスキルの一つといえるのではないでしょうか。


3.リマインド

リマインドには「思い出させる」というような意味があります。英語の「remind」です。

リマインドには大きく2種類あります。

1つは自分自身で行うリマインド、もう1つは他者にお願いするリマインドです。

自分自身で行うリマインドは、忘れないようにメモを貼っておく、メモを読み返す、ToDoリストを確認する、スマートフォンやパソコンに通知を表示させるなどが、自分自身でおこなうリマインドです。

さらに具体的な方法としては、

・出かける前に確認できるように自宅の玄関にメモや小さいホワイトボードを貼っておく
・「確認する」という行動をあらかじめ手順の一つにしておく
・カレンダーアプリなどの予定に通知の設定をしておく
などがあげられます。

基本的には自分自身で管理ができる状態を目指す必要がありますが、場合によっては他者にリマインドをお願いすることもあります。

例えば、声をかけてもらう、リマインドメールをお願いするなどです。
リマインドをお願いする場合のポイントは、お願いが先行してしまわないように気を付けることです。自己対処より先にお願いが先行してしまうことで、「やるべきことをやっていない」、「できる努力をしていない」、「ただのわがまま」というような悪い印象を与えてしまう可能性がありますので、ご注意ください。


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