包みについて話そうと思う

虹園の作品をお買い物してくださったことがおありの方は
ご存知と思いますが、
虹園のアクセサリーの作品の殆どは
ディスプレイ用の台についていて
お買い上げの際にその台から外して
紙にお包みしてお渡ししています。

こんなやつ。

数年前までは、台紙にすべてつけていました。
これも、虹園がデザインしたものでしたが
ひっくり返すと熨斗的なデザインになって
且つ作品を守れるように、という仕掛けをつくったもので
今でもこれについているものもあります。

虹園の水引のアクセサリーのデザインが進化して更なる多様化を見せたとき
その台紙からははみ出してしまうものや、
台紙が作品のデザインと合わなくなってきたのをきっかけに、
どのように作品を展示するかを悩んだ時期がありました。

和紙の紙縒りでできている水引、という素材をつかって作品を作っているのに、お渡しするときにはビニール袋に入れる、というのが、
なんかトンチンカンに感じる、というか
違和感がありました。
(あ、もちろんこれは私の主観でしかないので悪しからず。)

お買い上げしていただいて、おうちにお持ち帰りしていただくまでに作品を守ることができて、なおかつ、なにか水引の作品と関わりがあるようにしたいなあ、と考えた先にあったのが今の形です。

なんか不思議な包み方の入れ物に入っていますよね。
あれ実は
『略式祝儀包み』という名の包み方で、
折形(おりがた)という礼法として伝わっている包み方です。

こんな感じで。

そもそも”かみ”のものだから“かみ”に包みたい、という気持ちで『紙』をつかって『包む』という方法を、という視点から調査を始めました。

お洋服なんかを買ったときに、お店のロゴマークなんかが印刷された薄ーい紙に包んでもらったり、

いまはどうなのか存じ上げませんが、むかーしむかし
お肉屋さんがお肉を経木に包んでそれを紙に包んでくれるのがなんだかとても、わくわくしたのを覚えていて
「かみ」に触れ、包む動作、開く楽しみみたいなものをつくれないかな、と考えました。

調査の結果、『折形』というものを知りました。
ご存知の方はご存知だと思いますが、
日本人の心として進物を包み、結ぶ歴史は平安時代、そののち、折る、包む、結ぶ、礼法として武家に伝えられました。
今主流のようにみえるご祝儀袋の水引も、実はここ100年ほどの歴史で、ある節目を迎えたことで現在のご祝儀文化に繋がっていきます。

このことについて詳しいことはまた、別の機会にお話しますが、
その『折形』を調査したところ、水引のむすびとももちろん関わりのあるものだったため早速資料をとりよせて、歴史、考え方、包み方の種類、などを識るとことができ、折形を使わせていただくことにしました。

歴史や文化を調べていると、
日本人の柔軟でお洒落な機転を利かせるような賢さがホントにかっこいいなーと以前から感じていて、日本の文化にはそういったことがたくさんあります。

水引もそのひとつでそうやって
温故知新で、古くから伝わる大事な部分にリスペクトを残したままに新たな進化を遂げていくことを恐れずに、
またそのときそのときの今に合った形にして『伝えていく』ということの大切さを心得ているんだろうな、と思うわけで、
だからこそ、私の作品も、もともと伝わってきたものをきちんと知識として得たうえで本質的に大切な部分は残し、進化として超えていく部分は超えてしまおう、という考えで作品作りをしているため、歴史や文化や自然科学や宗教など調査を大切にしています。

水引についても、折形についても、今の形に多少の進化をしていたとしても、かつての文化を知るためのきっかけになればリスペクトにも通じるし進化にも繋がります。

それと、包むことに関して
過剰包装、というのも
なんだかなんにも考えてないというか
頭悪そうな感じがするので、
虹園では当初から
あえて、ギフトラッピング、というのをやっていません。

そもそもお祝いにかける紐を使って作品をつくっているのだから
それそのものがそういうものであるのに
さらにギフトラッピングを承る、ということ自体が
二重敬語のような
腹痛が痛いと言っているような
頭の悪さを感じてしまうため(個人的な主観なので悪しからず)
お渡しの形が作品を守れてかつ丁寧であるもの、という意味でも
違和感なく自分が納得できる方法として
この方法になりました。
なので、虹園ではデフォルトがこの包み、というわけです。

つーことで、実はこだわりだらけなのに
あんまりお話ししてこなかった虹園の包みについてのお話でした。
どうぞよしなに。


1枚ずつ、折ってるんでやんす。


白い袋にいれると、中の包みの色が透けるところも
日本的かなと思っています。わざとです。あざとさです。
白い袋は"清浄"を意味したくて白い袋に入れてます。

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