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【一日一撮】 vol.824 2020/12/19
画面を通して本を読める時代。
便利な現世をいきているはずなのに、
なぜ単行本を手に取りたくなるのだろう。
断捨離を進める一方で、
なぜ家にものを増やしてしまうのだろう。
幼少期のわたしは小説が大好きで
家中の本を読み漁っても足りず、
国語の教科書や参考書が手に入ると問題を解かずに
まずは全ての小説の抜粋を読むことに勤しんでいた。
気に入った文章があれば図書館に足を運び
前後を読むのが楽しくて仕方なかった。
(外でも遊ぶ活発な子供だったことも伝えておく)
きっと紙をめくるときのときめきが
身体に染みついているのだろう。
きっと紙をこすったときのかおりを
身体が求めているのだろう。
いつか家を持ったら壁一面の本棚を作ることが夢で、
でも、物を所有せず共有できる世の中を生きるうちに半ば諦めていた。
でもでも、やっぱり、
小さくてもいいからどこかに本棚はつくりたい。
言葉が変かもしれないけれど、
夢を叶えることで記憶の中の幼少期の自分が
幸せに成仏されるような気がするのである。
そうやって、ひとつひとつ夢と決別して生きていくのである。