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論理的なクロワッサンの作り方
一般的なレシピ
ミキシング
小麦粉の重量をx [g]とします。まず、強力粉を84x/100 [g]、薄力粉を16x/100 [g]混ぜ合わせます。そして、グラニュー糖を12x/100 [g]、塩を2.4x/100 [g]加えます。さらに、インスタントドライイーストを1.6x/100 [g]、水を32x/100 [g]、牛乳を20x/100 [g]加えます。最後に、練り込み用バターを4x/100 [g]加えて、10分こねます。
このとき、強力粉の割合が高いほどタンパク値も高くなり、サクサクとした食感になります。しかし、生地の伸展性は低まり、シーティングの作業が難しくなります。
また、グラニュー糖が多いほど発酵が早まり、しっとりとした食感になります。もちろん甘くもなります。塩が多いとグルテンの結合が強まり、ボリュームが出やすくなります。もちろん塩味が強くなりますので、健康上の兼ね合いがあります。
インスタントドライイーストは、生地に含まれるグラニュー糖の割合によって耐糖性を考慮します。クロワッサンの場合、低糖生地用が良いでしょう。しかし、セミドライイーストの場合は高糖生地用が良いとされているので、注意が必要です。
水と牛乳は主に加水率に関係します。加水率が低いほど、サクサクとした食感になります。また、牛乳の割合が高いほど、コクが出たり焼き色が濃くなったりします。
練り込み用バターを加えることで、グルテンの結合が抑えられます。つまり、生地の伸展性が高まり、シーティングの作業が易しくなります。
こねる時間は、シーティングの折り数が多いほど短くするのが良いでしょう。
ちなみに、このベーカーズパーセントは、小麦粉の重量x [g]が125の倍数のとき、すべてが整数になるよう工夫しています。0.1g単位でしか量れないスケールでも、有効数字の心配なしに作れるのです。
一次発酵
30℃で30分発酵させます。
この時間が長いほど、生地の風味が強まります。また、しっとりとした食感になったり、ボリュームが出たりします。
冷却
およそx [cm^2]にのばして、冷凍庫で30分休ませます。
例えば、小麦粉の重量x [g]が625 [g]のとき、およそ25 [cm]×25 [cm]=625 [cm^2]にのばすということです。低温で生地を休ませることで、シーティングの作業が易しくなります。
折り込み用バターの準備
クッキングシートなどをおよそx [cm^2]にして、折り込み用バター60x/100 [g]を薄くのばしておきます。
折り込み用バターは、硬すぎると生地の中で割れてしまい、層が出なくなってしまいます。しかし、柔らかすぎても生地に馴染んでしまい、層は出ません。そこで、冷却した生地の硬さと同じくらいの折り込み用バターを準備します。
シーティング
生地をおよそ2x [cm^2]にのばします。折り込み用バターを包んで四つ折りにします。幅出しをしてから、冷凍庫で30分休ませます。90度回転させて再び四つ折りにします。少しのばして、冷凍庫で30分休ませます。
もっとも一般的な折り数は27層です。しかし、今回は16層と比較的少ない折り数なので、よりサクサクとした食感になります。
成型
バターを折り込んだ生地を3x [cm^2]にのばします。底辺10 [cm]かつ高さ25 [cm]の二等辺三角形(一個あたりの面積125 [cm^2/個])に切って、3x/125 [個]-1 [個]にします。そして、それぞれ高さ35 [cm]にのばして成型します。
ちなみに、バターを折り込んだ生地の重量は232x/100 [g]です。また、一個あたりの面積は125 [cm^2/個]でした。それらの積を3x [cm^2]で割ることによって、一個あたりの重量は290/3 [g/個]と求められます。
ここで、バターを折り込んだ生地の密度を1.23 [g/cm^3]とします(※)。厚さをt [cm]とおくと、125 [cm^2/個]×t [cm]×1.23 [g/cm^3]=290/3 [g/個] ⇔ t=232/369 [cm]です。
つまり、バターを折り込んだ生地を3x [cm^2]にのばしたとき、その厚さは232/369 [cm]≒0.63 [cm]になっているのです。
※バターを折り込んでいない生地の密度を1.4 [g/cm^3]、バターの密度を0.91 [g/cm^3]と仮定して算出しました。
ホイロ
表面が乾かないようにして、30℃で90分発酵させます。
この発酵の時間が長いほど、生地にボリュームと風味が出ます。しかし、バターが生地に馴染んで、サクサクとした食感が失われやすくもなります。
焼成
全卵とその半量の牛乳を混ぜて濾したドリュールを、断面につかないように塗ります。180℃で充分に予熱をしたオーブンで、20分程度焼きます。10分したら一度向きを入れ替えるなどして、焼きムラが出ないようにします。15分したら焼き色を確認して、焼き加減を調整します。
10分して向きを入れ替えるのは、焼きムラが出ないようにするためだけではありません。蒸気を逃がすことで、内層や表面が乱れるのを防ぐ効果があります。
具体的なレシピ(5個分)
強力粉210g、薄力粉40g、グラニュー糖30g、塩6g、インスタントドライイースト4g、水80g、牛乳50g、練り込み用バター10gを、10分こねます。
30℃で30分発酵させます。
生地を約16cm×16cmにのばして、冷凍庫で30分休ませます。
二枚のクッキングシートを約16cm×16cmに折って、折り込み用バター150gを薄くのばしておきます。
生地を約23cm×23cmにのばします。折り込み用バターを包んで四つ折りにします。幅出しをしてから、冷凍庫で30分休ませます。90度回転させて再び四つ折りにします。少しのばして、冷凍庫で30分休ませます。
バターを折り込んだ生地を、30cm×25cmにのばします。底辺10cmかつ高さ25cmの二等辺三角形に切って、5個にします。そして、それぞれ高さ35cmにのばして成型します。
表面が乾かないようにして、30℃で90分発酵させます。
全卵とその半量の牛乳を混ぜて濾したドリュールを、断面につかないように塗ります。180℃で焼きます。10分したら一度向きを入れ替えて、焼き加減を調整します。