就活で死なないための4つのメソッド
「就活で死なないで」というマンガを書きました。
私は就活をそれなりに長いことやっていて(学部と院と就職浪人もした)、内定は1つもなかった。私の1度目の就活の時にはリーマンショックが、2度目の就活の時には東日本大震災があった。今(2020年3月)も大変な状況だと思う。私が就活で生き延びるために意識していたことはいくつかあって、それが今、就活で辛い人に役に立てばいいなと思って書いている。できれば「就活 死にたい」とかで検索した時に、この記事が引っかかればいいなと思っている。
1.判断力を明け渡さない
就活のマンガを描くにあたり、最近の就活について調べたら、就活塾で「大人に逆らってはダメです」と指導されたという記事が出てきた。(判断力を奪って永遠に課金させるシステムではないか…。)
落ち着いて考えたら「おかしい」とわかることでも、就活のようにキャリアを人質に取られている状況では不安になって従ってしまうことがある。しかし、企業の採用担当者で今の就活が完璧だと思っている人に会ったことがない。今の就活に違和感を持つのはある意味あたりまえのことなので、その違和感を大切にしてほしい。色々なことが抑圧されている中で、声に出して主張できないことも沢山あると思うけれど、全ての判断力を誰か(就活塾とか)に明け渡さない方がいい。
「自分で考えてはダメです」という命令が一番恐ろしい。その命令を使えばどんな人でもダメにできると思う。
2.本音を語れる場所を確保しよう
就活が上手くいかなくなると、たくさんの否定の言葉がやってくる。感謝が足りないから落ちたのではないか、人を疑っているからではないか、やる気がないのではないか?…はっきりと他人に言われることもあれば、うっかり見てしまったネット記事から自己否定のループにはまることもある。しかし、感謝や素直ややる気を本当に就職試験で見抜くことが出来るのか?そもそも全社会人はその気質を備えているのか?たくさんの、自分を否定したがる他人の(あるいは何らかの慣習の)言葉に対して疑問がやまなかったので、私はそれをいちいち言語化し、その疑問を話すことができる場所を確保していた。批判的な思考を共有できる友人や教授との会話、カウンセリング、哲学カフェ。
現実の場所が難しかったら、インターネットの中でも良いかもしれない。「自分が今何を考えているか」を自分で確認するための場所が必要だ。自分の頭の中が「自分を否定してくる他人の言葉」で満たされてしまうとあぶない。
3.日常にルーティンを作る
「就職しない日常」を続けていると生活リズムが崩れてしまう。できるだけ、午前中に起きよう。そして、特に口実がなくても行くことのできる場所を作ろう。小さな依存先を複数持っておくといい。私は当時通っていた芸術のゼミ、バイト先、哲学カフェ、カウンセリングにだいぶ助けられていた。(今は外出が難しい時期なので、家で出来る日課を作ると良いのではと思う。起きる時間を決める、食事の時間を決める、楽しみなドラマを決める…。)就活が長くなると「もっと就活に生活の全てを賭けなければいけないのでは」と考えてしまいがちだが、それは全くおすすめしない。自分を追い込んで、より辛くするのはやめよう。あの時、本当に追い込まなくて良かったと思っている。
4.健康と経済を立て直そう
しんどくなったら病院へ行こう。福祉を使おう。誰かに知らせる必要はない(私が精神科に行っていようが泌尿器科に行っていようが、そんなプライベートを詮索する方がどうかしているのです…)。そしてもし私のように全く内定が出なかったら、体力と知力と精神力をそれほど使わなくても良い非正規の職を探して、生活を立て直そう。(上司がやばい場合もあるので早めに見極めて転職しよう。)職業訓練学校で給付金が貰えるものもあるので調べてみよう。奨学金の返還期限猶予申請をしよう。健康と経済が多少何とかなると色々なことが上向いてくるので、まずはそこから。
そして、余裕が出てきたら自分のやりたいことをやろう。
私は就職浪人のあと、公的機関の非正規の事務をやりながら、イラスト、マンガの制作を始めた。6年経った今年、イラストレーター・漫画家として開業した。自分のやりたいことを仕事にするのは時間がかかる。新卒で選ばれたら良かったけど、選ばれなかったのでそれはそれとしてやっていくしかない。知人には、最初は希望の職に就けなかったものの転職して希望の道へ行った人、専門学校へ行って技術を身につけた人など、様々なキャリアの人がある。
環境が自分をいじめてくることがあるね。学校でいじめられたことがある人もいれば、就活で初めて上手くいかなくなった人もいるだろう。今まで辛いことが起こるのは自分のせいだと教えられてきたかもしれない。でもそれだけではないのだ。社会のシステムは完璧ではない。面接で落ちたって本当は人格が測られたわけではない。あなたの人格が良いか悪いか測る試験は存在しない。社会ではときどき、システムの隙間に挟まるようにして何もかも上手くいかなくなることが起きる。そこには明確な敵もいない。仮想敵を憎んでも何も解決しない。そしてあなたは悪くない。
応援しています。
(関連インタビュー:もしあなたが「就活が辛くて死にたい」と思っているならこのマンガを読んでほしい 「地獄でおかしくなる方がまともだよ」就活の違和感、描いた漫画)