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魂のおいしいところ

魂のおいしいところ

というと、どんなことを想像されるでしょうか。

今日は谷川俊太郎さんの作品で、
私がいちばん好きな詩をご紹介します。

魂のいちばんおいしいところ

神様が大地と水と太陽をくれた
大地と水と太陽がりんごの木をくれた
りんごの木が真っ赤なりんごの実をくれた
そのりんごをあなたが私にくれた
やわらかいふたつのてのひらに包んで
まるで世界の初まりのような
朝の光といっしょに

何ひとつ言葉はなくとも
あなたは私に今日をくれた
失われることのない時をくれた
りんごを実らせた人々のほほえみと歌をくれた
もしかすると悲しみも
私たちの上にひろがる青空にひそむ
あのあてどないものに逆らって

そうしてあなたは自分でも気づかずに
あなたの魂のいちばんおいしいところを
私にくれた

『魂のいちばんおいしいところ』より


この詩に出会ったのは、
高校生の頃と思います。

「魂のおいしいところって、なんだろう?」
と、素朴に思いました。

それでも、
この詩に感じられた
幸福感、世界の多重性、
そして今日を生きる勇気こそ、
『魂のおいしいところ』なんだ
と感覚で理解したのです。

この詩の、下の部分がいちばん好きです。

そのりんごをあなたが私にくれた
やわらかいふたつのてのひらに包んで
まるで世界の初まりのような
朝の光といっしょに

なんだか、とても幸せな気持ちになれます。

生まれたての朝のような
そんな爽やかな朝の光の中、
赤いりんごが輝くよう。

そしてそれを手渡してくれる
「あなた」の存在があることが、
なんて幸福感に包まれて感じられるだろう。

その瞬間、その手渡されたものの中に
つくられた過去と未来への課題とがつまって
今ここに現れているのだということ。

今、この瞬間に
この魂のよろこびと幸福の
すべてがあるのだということ。

それを「あなた」は何も飾らずに
つつましやかな営みの中で
くれるのだということ。

生きることがささやかなことで

でも大いなることで

未知にあふれたことで

そして

手渡されたもので。

つながってゆくもので。

私とあなたが存在して
ここに“ある”ことで。

『魂のおいしいところ』がつまった
ささやかな瞬間が、日々、
さりげない営みの中にあるのだということ。

そして人は気づかないうちに
魂のいちばんおいしいところを
手渡してくれる
愛に満ちた存在なのだということ。

この詩が私に手渡してくれたのは
そんな世界観でした。

そして私はこのnoteで
たくさんの『魂のいちばんおいしいところ』を
皆様から受け取っている、
そんなふうに思います。

皆様からの日々の贈りものに
心から感謝しています。

いつも、ほんとうにありがとうございます。

課題だらけで未熟者の私だけど、

終わることのない

輝く今日を

今日も生きている。


生きている 今この日こそ

かけがえのない

このいのちからの贈りものの

すべてとして。


2022年もお付き合いいただき、
本当にありがとうございました。

皆様の記事から、幾度も癒やされ、学び、
たくさんのよろこびをいただきました。

また、ささやかな記事を読んでくださって、
いつも本当にありがとうございます。

2023年が皆様にとって
よろこびにあふれた一年になることを
心から願っています。


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