リサイクルキモノを家で洗う 02
今回は [自分で洗うのはやめた方がいいもの] と、キモノクリーニングの話をちょっと。
★袷
表裏の伸縮が違って袋になることが多いです。
★しぼのはっきりしたちりめん お召し
ものすごく縮みます。反物で洗っても幅が半分になったりします。でもそういった着物でも洗い張りや、仕立て前に湯のししますよね。プロは縮んだのを伸子で根気強く伸ばしてゆくようです。大変な作業です。仕立て上がったままで縮んだら、伸ばすことは不可能です。リメイクする方はあえて水につけて縮ませてから使う場合もあるそうですが、当然柄は歪みます。
お召しの中には、紬や銘仙に似ているものもあります。できれば購入時に確認しましょう。
★刺繍があるもの
糸のところがキューっと縮んだり刺繍糸の色が滲んだりします。
★箔が貼ってあるもの 金銀の糸や粉のようなもので染めた部分があるもの
剥がれることがあります。金粉に糊を混ぜて柄をつけています。水に入れると柄がぜーんぶなくなってしまいます。なんとそんなのが化繊のキモノにもありました。
★留袖・打掛・振袖・帯
これらはプロに洗いに出しても、水につけての洗い張りはしない場合が多いようです。
リサイクル着物は安価なので、悩ましいのがお手入れです。ベンジンでは汗は落とせません。リサイクルには元々のシミや汚れもあります。昭和の古い着物の品質は全くわかりません。特に染料の堅牢度は低いものが結構あって、ちょっとこすったり汗をかいた程度で色が他のものにつくこともあります。濃い色も、明るい色も流れます。明治期以降化学染料ができて扱いやすさに飛びついたものの品質が悪く、製品を市場から締め出された産地があったそうですが、洗ったら落ちたとか色移りがひどかったってことですよね。
金彩を使った友禅などは「そもそも洗うことを想定して作られてない」とまで言う呉服屋さんもあります。着るものじゃないの??? しかしハイファッションのお洋服なら洗濯できないものって珍しくないので、そういうジャンルがあるんだなと考えるしかないんでしょう。
布や縫い糸は古くなると弱くなってくるので、水に入れた途端に脆くなって、干そうとしたら自重で裂けることもあります。絹の耐年数は100年とも言われます。戦前のものともなればすでに100年近く経っているのです。着られなくなったら嫌だと思う古いものは洗うのは諦めた方がいいでしょう。
プロに頼めるか?
プロはアンティーク着物は洗いたがりません。何が起こるかわからないからです。そんなに古くなさそうなキモノでもダメなことがあります。近代のものだろうと思って小紋を仕立て直しに出したら、布が弱くて無理と断られたことがあります。もともとあまり品質が良くなかったのでしょう。そのまま着倒すしかありません。
洗えなくても、シミ・変色などはお金をかけるなら全く手がないわけでもありません。専門の補修職人さんもおられます。
アンティーク着物再生 京都森本 https://www.instagram.com/kimono_repair_morimoto/
プロのお洗濯
プロと一般人で言葉の意味が違うことはよくありますが、プロの悉皆屋が「洗う」と言った場合、それは水につけて洗うことではありません。まずベンジンなどでの部分洗いのことです。油性の汚れは落ちますが、汗は取れません。ドライクリーニングには、汗抜きをオプションでつけた方がいいです。
●シミ抜き ピンポイントでシミを落とします。シミの原因で使う洗剤などが変わります。落ちない場合もあります。
●汗抜き 汗染みができやすい場所を中心にスプレーなどで水分を与え、手作業で汗の成分を取り除きます。
●カビ落とし カビの部分洗い。
●下洗い 洗濯機でドライクリーニングする前の、えり、袖口などの部分洗い。
●丸洗い 仕立てたまま洗うドライクリーニング。洗濯機で洗う場合この名称を使うことが多いようです。
●京洗い 仕立てたまま洗うドライクリーニング。主に手作業でのことのようです??
●生き洗い これが微妙に違いがありすぎてよくわかりません。仕立てたままの汗抜き込みのドライクリーニングコースのことをいう店が多いようですが???
●洗い張り キモノを解いて反物の状態に縫い戻して洗います。きれいになりますが仕立て直す必要があります。胴裏を取り替える場合などにも行います。自分がもう着ないものを一旦洗い張りにすることもあります。
クリーニング作業の名称が店によって違うのですごくわかりにくいです。どんな作業をするのかしっかり確かめてから出しましょう。