どうして「多い雨」って言えないの?
「多い」「少ない」は使い方が特殊!?
今朝のオンライン・レッスンで、アメリカのベイエリアに住んでる学生が、大雨で停電だから友達の家からレッスンをしていると言っていました。今年に入ってカリフォルニアは雨や雪など変なお天気の日が多いようですね。
さて、今日は「多い」「少ない」について。ときどき「多い雨」「多い人」という間違いをする学習者に出会ってビックリすることがありませんか。
普通、イ形容詞は「冷たい水が飲みたい」「難しい本を読む」「かわいい猫がいます」のように名詞に修飾します。でも、「多い雨が降っています」「少ない人がいます」はNG。どうやら「多い」「少ない」は使い方がちょっと特殊な形容詞のようですね。
日本人であれば、例文のような間違いをすることはありませんが、日本語学習者はこのような文を作ることがあります。
言いたいことはわかる・・・でも、この場合、私たちネイティブは下の例文のように副詞を使って「たくさん+動詞」「少し+動詞」などと言います。
なぜ「多い」「少ない」は名詞に修飾しにくいのか。
次の例文を見てみましょう。
「3匹」「3人」・・・これらを数詞と言います。日本語の数詞は副詞的な使い方をし、動詞に修飾します。「多い」「少ない」はイ形容詞ですが、量を表すことばで、性質も使い方も数詞と似ています。したがって、「多い」「少ない」も数詞と同じように、直接名詞に接続することがないのです。
通常、イ形容詞は「かわいいネコ」「黒いネコ」のように、そのものの形状や性質や状態を形容する言葉です。でも、「ネコが多い」の「多い」はネコの特徴でも形状でもありませんね。
「多い」「少ない」はそのままだと使用に制限がありますが、「多く」「少し」で名詞の形にすると文が成立する場合もあります。でも、「多くのネコがいます」は間違いではないですが、ちょっとかたい感じもするし、文脈によっては不自然ですね。「少しの猫がいます」は完全にNGかなと。
以下、かたい感じの例文(「多くの」「少しの」がしっくりくる文)です。
初級の学生にどのように導入したら良いか
文中で「多い+名詞」「少ない+名詞」の形で使用するときは「雨が多い町」「休みが多い学生」「女性が少ない会社」のように、いつもその前に「なにが」という情報が必要です。
初級の学生にイ形容詞として導入する時は「多い」「少ない」だけでなく、「人が多い」「宿題が少ない」などと導入をしてみると良いでしょう。