この本いいよ!vol.7〜児童書の伝記を大人に読んでほしい
『伝記を読もう いわさきちひろ~子どもの幸せと平和を絵にこめて』
松本由理子・文 あかね書房
最近、児童書にはまっている。中でも伝記は良い。
子供用と言ってあなどってはいけない。
著者はこの伝記の人物に関する専門家だ。
『そういえばこの間話題にされてたあの人って、どんな人だろう?でも歴史ものや伝記は長いし読むのが億劫だ』とか
『〇〇という人物について子供に聞かれたけど、実はよく知らない。でも本を読む時間があるなら、本当は眠りたい』という忙しい親御さんなど。
児童書なら一晩で1冊読み切れます!読み終えたら子供に『こんな本があるよ』と勧められます。
忙しいクセに『Audibleで聴くより、紙の本を読みたいの!』などという、紙フェチな人。
こんな人たちに児童書はもってこいだと思う。子供むけだからって重要な事柄をはしょったりはしていない。
いわさきちひろが、好きでもない男性と最初の結婚をし満州で暮らしたことも、その夫が自死した事も、包み隠さず書いてある。デッサンや習字を学んだ事で、あの墨絵の様な独特のスタイルが確立されていったことも、私はこの歳になって初めて知った。
あかね書房『伝記を読もう』シリーズは巻末に、ゆかりの地(地図あり)や、かかわった人々の紹介、年表などもあり、時代背景も知ることができて楽しい。シリーズの別の偉人も早く読みたくてうずうずしてる。
ちひろは、子どもたちを、ただ可愛らしく楽しく描いていただけではなく、第2次大戦を経験し、戦争のむごさも知っていた。戦争孤児も描いた。
ベトナム戦争の犠牲になった子供たちを心から憂いた。
そうして子供の幸せと平和を心底から願っていた人なんだと、知った。
高校生の頃、夏休みの宿題に美術館に行き感想を書く、というものがあった。いわさきちひろ絵本美術館(練馬区)を選んだ。
それなのにこの伝記で初めて知ることばかりだった。高校生の私は何を観てきたんだろう…。あの時は母と行った。今度行くときは息子と行こうと思う。
〜まとめ〜