「人恋しいゾンビたちのお話」~英語多読のための読書ガイド [ファンタジー]~
ファンタジー編 ~2024年06月号~
執筆:石黒 恵介 (会社員)
人恋しいゾンビたちのお話
今回はゾンビが主人公の物語を紹介します。
基本的には「動く屍」なのですが、ホラー要素はなく、むしろやたらと人恋しいゾンビが登場します。
どちらも「他人とは明らかに違う自分」を肯定してくれる温かみのある作品となります。
Ghouliaでは、ゾンビの少女Ghouliaが友達作りに挑戦します。
彼女自身は、自分がゾンビであることには何ら疑問を感じておらず、単に個性と捉えています。
人々からの迫害を恐れる叔母の忠告をよそに無邪気に進んでいく姿は子どもそのもので微笑ましいのですが、正体がバレたときにどんな反応が待ち受けているのか想像すると、読んでいてハラハラすると思います。
Zombie in Love は、恋人が欲しい青年ゾンビMortimerの物語です。
彼は周囲の女性たちに積極的にアプローチを試みるのですが、ゾンビが故の感性からか失敗ばかりで誰一人として振り向いてくれません。
それでも諦め切れずに努力を続けるその姿勢が屍だとは思えないほど生き生きしていてギャップが面白いです。
続刊 Zombie in Love 2 + 1 も併せてどうぞ。
(1)『Ghoulia』 (Ghoulia Series #1)
Ghouliaは村はずれの屋敷に住んでいるゾンビの少女。
同じくゾンビの叔母からの言いつけもあり、普段は村の人々には姿を見られないように過ごしている。
だけど、本当は友達が欲しい。
ある日、村の子どもたちの会話を盗み聞きしていると、どうやら近々ハロウィンの催しが開かれるとのこと。
みんな仮装してるなら自分がゾンビだってきっとバレない!
この機会を利用して村の子たちと友達になろうと試みる。
(2)『Zombie in Love』
Mortimerは恋人が欲しいゾンビの青年。
Cupid’s Ball(バレンタインの時期に開かれるダンスパーティ)に向けて恋人探しに乗り出すのだが、本人の努力もむなしく何をやっても裏目に出てしまう。
結局パーティの1週間前になっても恋人は作れずじまい。
最後の望みをかけて恋人募集の新聞広告を打つことに。
約束場所は当日のパーティ会場。果たして誰か現れてくれるのか……?
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