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地面に下りちゃったカラスの雛を現状復帰させる_Vol.3_2022/8/25追記

保護仲間が偶然に見つけたブト一家。
最初は1羽がペタペタと雛歩きをしていて、親が興奮していたようである。
すぐに樹上へ戻すことが困難だったので一旦保護しようとしたら、なんともう1羽発見してしまった。
場所が住宅街で公園はあるが、他の縄張りガラスがいるのでそこにも放鳥できない。
まずは現地で2羽とも仲間たちが保護して、その後私も車で拾ってもらい合流した。
巣に兄弟が残っているのかはその時点では不明だが、まずはこの2羽を樹上へ戻してあげようということになった。

雛にリングを装着

まずは雛にリングを装着した。

2羽の雛

雛は決して大きいと言える状態ではなくて、本来ならまだ巣にいて欲しいなぁと思える感じだった。
1羽は翼が下がっていてちょっと気になった。
営巣木へ戻すのが理想だったが電線があり危険なので断念。
しかし他には街路樹しかないのと、営巣木周辺に親の姿を確認できなかった。
もしも巣に兄弟が残っていなくて、親が諦めてしまっていたら、この2羽の雛はどうなるかって想像しなくても分かっていた。
決断をするのに非常に悩んだのだが、この日は樹上へ戻さずに仲間が一晩預かることになった。

親が騒ぐ

翌朝の早朝に雛を連れて行ったら、親が既に見張っていた。
なんと巣には兄弟が残っていてパタパタしているのが見えていた。
これは何とうれしいことである。

樹上へ戻した雛

親に分かるように余り高くはないが、葉が茂って見えにくい木へ戻した。

親が騒ぐ

鳴きながら旋回する親。

親が騒ぐ

親は威嚇鳴きをしながら、確実に雛の姿を確認して行ったので一安心。
あとは再び雛が下りないことを願いつつ、親と同様に見張るのみである。
だが私たちは雛を捕まえた危険人物なので、車や姿を見るとどこからともなく現れて騒ぎ出す。
しかしこのブト君は私に言わせると、おとなしい部類で、低空飛行もほとんどなく、他の人へは一切行かなかった。

雛を戻した街路樹
顔を出す雛

樹上へ戻した2羽の雛は親に給餌をされながら移動はせずにとどまっていた。

左の翼が下がる

しかし翼が下がっていた雛が下りてしまい全く飛べる状態ではなかった。

さつまいもペーストをもりもりと食べる雛

こなるともう放っておくと通報されて捨て雛されてしまうだろう。
保護して知人に面倒を見てもらうことになった。
この雛を「かど丸」と命名した。

妙に人馴れしているかど丸

後日の診察の結果、なんと翼は骨折が治ってくっついているというのである。
実は巣立ち前の骨折は時々あって、今までは内心半信半疑だった。
だが、巣内で雛が押しくらまんじゅうをしている訳で、その時に翼や足を踏んずけるから折れてしまうのだろう。
五体満足で巣立ちができることがどれだけ運がいいことなのだろうと思うよね。

おねだりをするかど丸

かど丸は現在知人宅でリハビリ中で、8月以降に引っ越しをして更にリハビリすることになった。

最後の雛が巣立つ

残りの雛が巣立って電柱のフレームに止まった。

電柱のフレームに止まる

このまま翌日まで移動しせずに実に平和だった。

親が鳴きながら警戒をする

しかし翌朝に思いっきり飛んで地面に不時着してしまった。
やはり、放ってはおけなくなり、捕まえて夜に樹上へ戻すことにした。
この雛が落ちた場所にちなんで「グランプリ」と命名した。

一旦保護されたグランプリ
一瞬固まったグランプリ
車内でパタパタと動くグランプリ
グランプリにリングを付けて記念撮影
一旦保護されたグランプリ

夜まで仲間が簡易ケージを作ってくれて、そこで養生をすることになったグランプリ。
どうやらこの親の雛はみんな小柄なようである。
グランプリもどちらかというと痩せていて、翼や尾羽も短めである。
しかし五体満足なので数日で飛ぶことはできそうである。

グランプリを樹上へ戻す

夜になり、最初に樹上へ戻した雛がいる街路樹へ戻した。

地面を歩くグランプリ

翌朝、見張りをしていた仲間から「グランプリが下りて歩道をペタペタと歩いて、人が入れない場所へ行ってしまった」と連絡がきた。

地面を歩くグランプリ

何とか飛んでくれないかと思い見ていたがどんどんと移動してしまった。
要するにもう捕獲できるほど弱々しくはないということで、それは良い事ではある。

民家へ移動したグランプリ

グランプリは民家の畑へ移動してそこが落ち着くのか動かなくなった。

民家の庭木でに止まっておねだりをするグランプリ

時々民家の人が出てきたが、親の威嚇もないので静観することにした。
民家に知らせる方法もあるのだが、もしもその人ガカラスを良く思わない場合は、最悪な結果にになるので考えものである。

グランプリを見張る親

親はグランプリのいる場所から余り移動しなくなり、残されている雛は放置状態になった。

残されてしまった雛

親が来るとおねだりをするが給餌してもらえない。
親は移動を促すために給餌をしないのだが、日に日に弱り鳴き声も弱々しくなってきた。
そうなって2日目になり、3日目になると恐らく息絶えるだろう。
この雛がいた場所にちなんで「アジトケ」と命名した。

保護したが衰弱しているアジトケ

雨が酷くどんどんと衰弱して、下へ降りてきたので保護することにした。
そのまま仲間が保護して栄養を付けてもらうことにした。

樹上へ止まるグランプリ

民家へ移動していたグランプリだが、その後は地面に下りることなく、移動していて親も見張りをしていた。

再度樹上へ戻すアジトケ

さて、仲間に面倒を見てもらっていたアジトケだが動きも活発になったので、保護して2日目の夜に樹上へ戻した。
グランプリがいる場所なので一番安心である。

おねだりをするアジトケとグランプリ

翌日様子を見に行くと、アジトケとグランプリがちゃんと一緒にいて、親におねだり怪獣をしていた。
私たちが行くと親が猛烈に怒る。(笑) ( >_[・]) ロックオン
でもそれって雛が無事な証拠なので非常に嬉しいことである。

家族4羽勢ぞろい

最近は縄張り内を色々と移動を開始して、もう地面に下りても飛べるし問題なしである。
かど丸を放鳥してあげられないのが心残りだが、樹上に戻せば親の威嚇はほとんどなくなる訳である。
かど丸・アジトケ・グランプリ、この3兄弟から色々と教えてもらったね。

翼が壊死していた雛(治療したら息絶えた)

傷病の雛じゃない限り、1時間もあれば飛び上がれる場合が多い。
ちょっとの間、人間が離れているだけで無駄に殺傷をしなくても済むのだけど、それすらできないという人が一定数いて、相当しつこく苦情をいうパターン。
そうだ、まるで苦情のマニュアルでもあるかのように、同じようなことを主張する。
自然が好きとか言いながら、目の前の身近な自然は危険だと主張するのはどういう思考回路なんだろうか。。。。

2022/8/25_追記

保護されていたかど丸_貯食王

翼の骨折の影響で放鳥を断念していたかど丸。
知人が面倒を見てくれていたが、最近になり飛べるようになり、外を意識するようになっていた。
放鳥もできる程動きも機敏になっていた。
通常は、もう親元ではなく同い年のカラスが集まる大きな公園などへ放鳥している。

保護されていたかど丸

しかし、この一家はほぼ終日と言ってよいほど縄張りに滞在していた。私は「親兄弟がいるので、ここで放鳥したらいいかも」と思った。今まで親と1日程度放して戻したことはあるが、約2ヶ月は事例がなく、大きな賭けのような話である。ただ、巣立ち直後の雛とは違い、かど丸の場合はもう飛べるので、親に追い払われても自由に移動ができるのである。

放鳥前のかど丸
キャリーから出たかど丸
キャリーから出たかど丸

放鳥当日、親と兄弟がいることを確認して、かど丸をキャリーから出して様子を見た。
最初はキョロキョロして時折独特の甲高い声で鳴いていた。
当然、親兄弟もかど丸が見えていて、親は私を見て威嚇鳴き合戦。(笑)
電柱に止まっていた兄弟のグランプリがかど丸の前と通り過ぎる。
その時、一瞬ではあるがお互いに目で追っていた。
親よりも孵化後からずっと巣内で一緒にいた兄弟同士の方が覚えているのではないか?と思っていた。

兄弟のアジトケ

かど丸に飛ぶように促すと、力強く飛んでいき民家の屋根に止まった。
その後親がいるビルへ移動して、親の隣に止まって、おねだり怪獣を始めた。
親は当然ながら戸惑っていたが、追い払う様子もなく受け入れたようである。
その後も家族5羽で周辺を移動しながらいつもと変わらない行動だった。

屋根に止まったかど丸
親の所へ移動したかど丸
無事に家族に戻れたかど丸

かど丸は約2ヶ月親と離れていたのだが、兄弟がいれば戻すことができるということを教えてくれた。
もちろん個体差はあると思うが、今までも相談の中で数ヵ月後に戻して親と再会したという話は聞いていた。
カラスの親子愛の強さということも今回の放鳥に反映されているのだろう。
かど丸一家は独り立ちが始まるまで家族団らんの姿を見せてくれると思う。
たった1羽のカラスの話だが何人も関わってくれて、それぞれが色々な思いでかど丸に接し、今はどんな思いが残っているのだろうか?




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