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#美しい髪 というタグを見てギョッとした心情と経緯と敬意の話。

「#美しい髪 投稿コンテスト」の告知を初めて見た時、何とも言えない気分になった。コンプレックス直撃。自分には縁のないハッシュタグだなと思ったりして。

そういう人、多いと思うんだ。

子どもの頃からずっと、くせっ毛に悩んできた。

ストレートの髪に憧れた。
サラサラ髪のクラスメイトに嫉妬した。

ボサボサゴワゴワの自分の髪が大嫌い、恥ずかしくて悲しくて顔が上げられなかった。ショートにすれば毛先があっちゃこっちゃ好き放題に暴れるし、ミディアムなら豪快な外ハネ、束ねれば束ねた先が使い込んだ歯ブラシの様相、ロングならうねる・広がる・ハネるのトリプルコンボ。ブローしてもダメ、アイロンしても不自然、縮毛矯正は高価で続けられなかった。

自分の髪質との付き合い方なんて知らなかった。

困った髪質は歳を重ねるごとに厄介になり、極めて細く、乾燥しやすく、広がりやすく、大きくうねる。細いから自重に負けてトップが潰れる。雨の日は100%の確率で前髪がアシベ。

そんななので昔からずうっと、ヘアサロンが大の苦手。元々が人見知りで美容室が苦手という理由もあったけれど、「どうせ翌日にはまたボサボサになるのに、美容師に気をつかい、話を合わせにゃならんのだ、安くない金額を払ってまで。」と思っていた。髪を切ること自体は気持ちがよいことと思えど、綺麗でいられるのはサロンを出てその日の終わり、入浴の時間までだと思うと到底満足することがなかった。

だけど。

そんな私も今は自分の髪を「まぁ、悪くないんじゃない?」と思えるようになった。相変わらず満足のゆくようなスタイリングができる日なんてないけれど、それでも嫌いではなくなった。なぜ、そう変わったか。

血迷って高級店に予約を入れた日

仕事も人間関係もお金も恋も、何もかもがうまくゆかず自棄になっていた時期のこと。その日はとてもムシャクシャしていて、とても何かを捨てたくなった。変えたくなった。

仕事の帰りにぼんやり「何をしよう」と考えながら歩いていて、ふと、当時夢中になっていた小説家が通っていた店のことを思い出す。思い出したついでに勢いで予約。んまぁ、庶民も庶民の私には超絶敷居が高い店ですよ。カット代だけで、それまで行っていたサロンのン倍の金額ですよ。

予約の日になって、「やっぱり場違いだ、嫌だ、行きたくない。」と気後れしながらも到着。もうどうにでもなれって気分でえいやっ!と入店「わー、たしかにサービスいいけど、気取ってるなー!ま、これも後々話のタネか。」と、居心地の悪さを感じながらお任せでオーダー……から……ブローまで。「んまぁ、明日にはまたバクハツするし。」と思いながら帰宅。

翌朝のリセット力がすごかった。

初めての経験。今まで見たことがないレベル、サロンでのシルエットがほぼ復活。セルフだからブロー自体は下手ではあるけれど。美容師の技術を目の当たりにしたのも初めて。ああ、これが技術なのだ!と。

人生、たまには贅沢するものだと感じたのもこの時。

それ以来、ヘアサロンだけは奮発してその店へ通い、前髪すらも自分では切らなくなった。場合によっては後ろまで自分で切っていた人間とは思えない変わり様。そのスタイリストさんが独立されてからもその方にお世話になり続け、10年以上が経過。そこで書いたのが先日の記事。ほんと、何がどう繋がるか、わからないものだわ。あの日自棄をおこした自分を褒めたい。

相変わらずスタイリストにも同情されるレベルで厄介な髪質ではあるけれども、この経験を通して自分のくせっ毛も悪くないと思えるようになったし(※くせ毛風パーマ風のくせ毛・無造作ヘア風の無造作ヘア。)、可能な範囲で手を掛けようとも思えるようになったので、感謝しかない。

いや、うん、ねぇ。
私の髪、かなり我侭だけど……悪くない、よ。

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