心配と採用をめぐる話

「心配事の91.4%は起こらない」──2020年、ペンシルバニア州立大学の研究で示されたこの事実は、働く人々にも採用担当者にも響く数字です。

「心配事の91.4%は起こらない」それでも、人は未来を心配し8.6%にフォーカスしてしまいます。
それは、人（ホモ・サピエンス）としての宿命だからなのです。

危険を予測し、回避する能力は、私たちが生き残るために進化させてきた大切なツールの一つ。

採用の場では、日本特有の解雇規制の強固さも相まって、この心配が発揮されます。
企業側は「この候補者が本当にうちに合うだろうか」と不安を抱き、求職者は「この会社で自分がやっていけるのか」と悩みます。

こうした心配は、ときに行動を鈍らせ、企業と求職者の良い出会いを逃す要因にもなります。

採用活動における心配を乗り越える鍵は、「価値観を合わせること」にあります。

履歴書やスキルだけでなく、個人と企業の理念やビジョンがどれだけ一致するかを見極めることが大切です。

心配は「リスクを避ける」ためではなく、「未来を共有できる可能性を探る」ためのツールに変えられるのです。

ペンシルバニア州立大学の研究が示すように、私たちの心配のほとんどは杞憂に終わります。

企業も求職者も、全ての心配を解消することはできなくとも、その中で一歩踏み出す勇気を持つことが成功への第一歩です。

心配を抱えながらも挑戦する──その積み重ねが、理想の職場や人材との出会いを生むのではないでしょうか。

未来に備える心配と、無駄な心配を区別しながら、私たちはもっと自由に働き、選び、歩んでいけるはずだと考えています。