産む責任を考えた
「呼吸の在処」
チューブの中を流れる空気、
それは誰のものでもない。
目を閉じる、閉じさせる、閉じさせない。
選択肢のない選択が
机の上で積み重なる。
産声は風にならず、
ただ機械が繋ぐ音楽の中に留まる。
責任という名前の鳥が
空を飛ぶのを忘れた。
本当は、
静かな夜の中で
星が一つ消えるはずだった。
それを掴む手があった。
掴む手を掴む手があった。
子供、という音が
無限に響く部屋で
人生という言葉が薄くなる。
終わらない呼吸、終わらない責任。
少子化、という言葉が
遠くで揺れているけれど、
耳を澄ませる人は少ない。
生きる理由、生かす理由、
そのどちらも問いがないまま
止まることのない針が進む。
問い続けること、
それすら許される未来が
どこかにあるのだろうか。