社員の本音を聞き出そうと目安箱を置いて失敗した話
従業員満足度 (ES:Employee Satisfaction) をあげようと人事の方が中心となって様々なツールを導入し、数値で組織の健全性を評価しようという動きが活発になってきたように思えます。このように会社の文化や組織の健全性を数値に落としこもうとする取り組みは非常に素晴らしいと思います。
その取組みの一環で普段口に出せないことや、経営者や上司、会社に言いたいこと、相談したいこと、提案を匿名で赤裸々に書けるよう目安箱なるものを設置し社員のホンネを聞き出そうとする企業も増えたと思います。
ただ、この目安箱を誤った使い方をしてせっかくの施策が失敗になっているケースを見かけます。かなり頻繁に。今回は数ある失敗の中でも、よくあるまずい対応を2つご紹介します。
1. 投稿されたホンネに回答するもたらい回し
匿名の社員からの意見・提案に対して、経営者側や責任者側は会社からのアンサーを添えて全社に共有すると思います。その質問への答えの中に
「詳細をお聞きしたいので◯◯までご連絡下さい。」
「大変な思いをされたのですね。いつでも相談にのりますのでよければXXまでDMをお願いします。」
「開発に関することでしたら一度、△△さんにご相談されるといいと思います。」
のような答えが多く見られることありますよね。一見親切に対応しているように思えるのですがこれを見て「ん?」とならないとまずいと思います。何が駄目か分かりますか?
幾つか駄目なポイントがあるのですが、
まず言えるのが社員が普段言いにくいことを書いたのに、この回答だと、また勇気を振り絞って今一度、今度は匿名ではなく本名で、しかも上司に物申す必要がある点。直接言えるならこういうところに書きませんよ。これでは、ツールを使った意味が無に帰しましたね。なんのための目安箱だったのか。
そしてもう1つ会社側が受け身で何も行動していない点。せっかくの提案や意見なのに会社側からのアンサーがDMしてね、相談してね!のメッセージのみだったらどう思います?「あれ、会社は何も対応してくれないんだ?」って投稿者じゃなくても感じでしまうんです。ああ、この会社は何か言っても自分から相談して行動しないと何もしてくれないんだなと。このように発言者に行動をゆだねてしまう回答はアンチパターンだと思います。そう回答せざるを得ないのであれば公開しないほうがいいです。
2. 対応にスピード感がない
これは人数が多いところがよくやりがちなのですが、アンケートを取ってからそのアンサーを公開するまでに1ヶ月強かかり、さらに解決に繋がる具体的な行動を起こすまでにさらに1ヶ月以上と時間がかかることです。今悩んでいること、思っていることを相談するのに、2,3ヶ月後先にそのことについて対応開始されるのではあまりにもおそすぎますよね。例えばハラスメント関連の相談の場合、一刻も早く対応しなければならないはずです。アンケートから1ヶ月も経って会社からのアンサーが公開されるなら社員が期待しているのは、アンサーの欄に既に解決しましたという旨が書かれていたり、対応中ですという旨が書かれていること。見ましたよ、これから検討しますね。だけではやはり物足りないです。
まとめ
目安箱を使うのはいいですが、公開の仕方を考えないと社員にこの会社は何もしてくれない会社だと思われかねないので注意が必要ですよ。せっかくのいい施策がマイナス効果になっていることが起きていたらもったいないです。上に書かれているポイントを抑えてしっかり対応することはなかなか難しいと思いますが、言い方や見せ方で印象は結構変わります。
社内向けだからと読まされる側の気持ちを考えずに共有しちゃってませんか? 最後のツメの甘さで台無しになっちゃうので注意してくださいね。