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「 子育てという罪 」
我が家には思春期の子がいる。
大事にしてきたのは
1人の人間として接することくらいで
彼らにしてやれることがあるほど
自分は何かあるとは思えなかったけれど
最近になって重罪を犯していることに気がついた。
2歳くらいの子どもに訪れる
イヤイヤ期を思い出して欲しい。
そのときの彼らは
自分のなかの白と黒を
思いっきり主張してくる。
嫌と言ったら嫌だし
好きと言ったら好き。
とてもシンプルだ。
ところがどうだろう、
思春期になった彼らは
グレーばかりを選ぶ。
「 ママ、怒りそうだし 」
「 パパ面倒くさいし 」
「 学校行った方がいいっしょ 」
「 こっちの方が当たり前 」
「 普通はこうするでしょ! 」
こんな具合に
イヤイヤ期のあの清々しいくらいの白黒を
すっかりどこかに置いてきてしまっているのだ。
これが大人になるということなのかもしれない。
ただ、なんだかとても
申し訳ない気持ちになる。
こんなに無理ばかり、
我慢ばかりさせてきてしまったのか、と。
彼ららしい白黒を奪ってきてしまったのか、と。
この重罪に気がついてからというもの
娘や息子が親や世間の常識なんて
まるで気にせずに
伸び伸びやりたいことをやっている瞬間
言い換えるなら
イヤイヤ期の子どもみたいな瞬間が
何にも変え難いほど愛おしい。
そして自分の
心のどこかに住み着いている
世の中の当たり前を呪う。
母はよく言った。
「 一度産んだら終わり。
一生終わらないのが子育て 」
本当にその通りだ。
答えもない、
正解もない、
うまく行っているかもわからない
子育てって、沼で罪だ。
ま、元気に生きててくれたら
それだけできっと9割成功ってことにして
今日も愛しているよと抱きしめて
生きるくらいしか、できないんだけど。