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原状回復完全ガイド~あるあるパターンを実例で徹底解説~①壁編
(最終更新日:2024.12.7)
こんにちは、コリドラス不動産です。
現在賃貸に住んでいる方に向けて
「ヤバい、この傷や汚れって退去する時にお金かかるのかな…?」
という疑問について、
実際の写真や例を交えながら「よくある症状」と「その施工内容」「誰が負担するのか」について紹介しています。
今回は賃貸の世界の【壁】について書いていきます。
負担割合の考え方について、
国土交通省が定めたガイドラインというおおよその指針はあります。
しかし具体例の記載は少なく、解釈には幅を持たされています。
(ガイドラインについては、都度該当箇所に合わせて紹介していきます)
例の如く、管理会社やオーナーによってルールや解釈はマチマチですし、借主には内装業者の出した金額に管理会社が手数料として上乗せした金額を提示する場合もあります。
住んだ年数の長さや、
あなたが住む前の工事が何を行われていたかにもよります。
また昨今のモノ代や輸送代や人件費の値上げもジワリとこの業界にも影響を受けておりますので、
あくまでも目安としてお考え下さい。
もう一つ、
解釈に幅があると伝えましたが、法的に争えば勝てる(借主負担とならない)かもしれない事も、実際の現場では入居者の過失として扱われる事が多いものは、借主負担として記載します。
それくらいこの原状回復とはケースバイケースです。
本記事は「壁編」になります。
「床」について知りたい方はこちらをご覧ください。
壁
壁紙(クロス)は基本的に賃貸で使われているものは模様の違いはあれど、どれも価格は同じです。
ただし、
アクセントクロス(色付や柄の入った壁紙。一面だけアクセントクロスにしている物件も多いです)
は白いクロスより少し値が上がります。
※他には賃貸で壁紙以外によくある壁としては、
・コンクリート剥き出し(打ちっぱなし)
・砂壁(和室など)
・ペンキ塗り(古い物件で稀に)
・タイル(キッチン周りなど)
があります。
コンクリートとペンキ塗りは湿気とカビ、タイルは目地のカビや粘着物の付着を気をつけましょう。(簡単に張り替えられ無いので、シール剥がし代が高くつきます)砂壁は自分が手を傷つけないよう注意しましょう。
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内装業者と一括りに言っても、会社の規模によって扱う商品は同じでも提示価格は異なります。
安く大量に問屋から仕入れている会社もあればクロス張替を外注にしている所もあります。
①壁関係で起こり得る事
・壁紙を破いた、剥がした、汚した
・壁に小さな穴を開けた
・壁に大きな穴を開けた
・天井や壁が黒ずんだ
・ペロンとめくれてしまった
②その原因となりうる事
・家具やモノを壁に擦り付けてしまった
・指や爪を引っ掛けてしまった
・テープやシールなど粘着性のものを剥がす際に一緒に剥がれてしまった
・液体をこぼしてしまった
・直射日光を浴びて日焼けした
・家電から発せられる熱で焼けた
・子供が落書きしてしてしまった
・ペットが引っ掻いたりしてしまった
・画鋲を刺した
・釘やネジを刺してしまった
・壁を殴ってしまった
・壁に固いものを投げつけてしまった
・突っ張り棒をしていたら丸い跡がついて少し凹んでしまった
・何もしてないのに隙間ができた、捲れてきた
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これは通常の使用方法と言えるか?微妙な所です。
③負担に関して
ガイドラインでは「故意過失または通常の使用方法に反する使用をした場合」については借主に負担義務があると書いています。
つまり、
「誰がどんなに綺麗に使っててもどうしてもなっちゃうよね」については自然損耗(そんもう)として、借主は負担しなくて良いという事です。
逆を言えば、
「あなたが住んだからついたモノ」「あなたじゃなければつかなかったモノ」は借主負担です。
ズバリ、
上記の「その原因となりうる事」に書いた項目のうち、語尾が「〇〇してしまった」は故意過失。
語尾が「〇〇た。」は自然損耗又は通常の使用方法、となります。
④どんな修復作業をするのか?
損傷の程度によって直し方は変わってきますが、上から重い順に
・石膏ボードの張替え
・石膏ボードの部分補修
・クロスの張替え
・クロスの部分補修
・クロスの拭き掃除
となります。
石膏ボードとは「クロスを張る為の固い板」です。
素材が石膏なので、強い衝撃を加えるとボロッと崩れます。
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写真の様に一箇所であればパテによる補修で済みますが、複数箇所となるとボードの交換となりモノ代だけでなく、作業費用も上がります。
クロスに関する作業は「張替えか補修」のどちらかとなりますが、いくつかポイントがあります。
・絶えず新しい商品が出ては古い商品は廃盤となるので、古いクロスは同じものがない。
・一箇所だけ新しいクロスにするとガラ違いや色違いが生まれ、見た目のバランスが悪くなる。
・サイズの決まったロール状で販売されているため、ジョイント部(繋ぎ目)が生まれる。
・クロス貼りは職人作業なので、職人の腕とセンスによってジョイント箇所(つなぎ目)の不自然さや経年でのめくれ率に差がある。
(めくれは季節や室内の乾燥度合いなど入居者の使い方にもよります)
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具体的な例を写真を交えながら見て行きます。
・切り張り
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一箇所の剥がれの為にその面全部を張り替えるのは大袈裟でもったいない場合もあります。
そういった場合はその剥がれた部分をコーキング材などで簡単に目立たなくしたり、他の目立たない場所から一部切り取ってきて貼り付ける「切り貼り」などで対応する場合もあります。
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次第に目立って来てしまいます。
・めくれ補修跡
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綺麗だけど乾燥でめくれてしまった場合などは、
わざわざ剥がして新しく張り替えるのは勿体無いので、めくれた部分をボンドの様なモノで貼り直したりします。
しかし、
貼った直後は綺麗に戻るのですが、時間が経つとその塗った部分が黒ずんできたりします。
ジョイント部を隠す為に伸ばしていたボンド材に少しづつホコリが付着しくなどが原因です。
・破れたり剥がれたりは無いけど、うっすら家具跡か何かで黒ずんだ、黄ばんだ。
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こういった場合は張り替える事もありますが、拭き掃除のみで済ます事もあります。
マイペットなどの中性洗剤を雑巾に含ませてゴシゴシやってみると案外落ちるんですね。
目立たなくなれば今回はそれで良し。とする事もあります。
・張替えに関する考え方
張替えとなると、それが出来る専門の職人が必要になってきます。
(年々腕の良いが減ってきていると聞いています。綺麗に貼るのって難しいですし、天井の張り替えなんかはかなり体力を使うそうです)
一概には言えませんが職人達は半日作業と一日作業、などのパッケージで動いています。
つまり、
一面だけの張替えで一時間の作業の場合や、クロスに限らず一箇所の塗装や補修だったとしても、職人に払う最低金額は同じ、なんていう事もあります。
なので、
張り替えるなら最低数面まとめて、という工事になります。
管理会社によっては、その数面全てを借主負担とすること事もありますが、細かい話をすれば借主が過失で汚した箇所の一面分だけ、作業費入れても三分の一で良いんじゃない?と考える(主張する)ことも出来ます。
⑤【応用】実際の例から負担額の交渉をしてみる
4年住んだ部屋でリビングの一箇所を破いてしまった箇所がある。
今回の原状回復請求は
リビングのクロス張替え26㎡(天井を除く全ての壁の張り替え)
1㎡単価1,300円=33,800円
うち借主負担は減価償却として6年のうち居住4年分を引くと、48/72ヶ月=66.6%免除、33.4%負担となります。
つまり33,800×0.334=11,289円負担。
という見積もりが来たとします。
これを1㎡のみしか負担しません!と言い張る事も出来るかもしれませんが、現実的には一面分(床6帖の部屋だったら壁もおよそ6帖10平㎡です)の10㎡分、
1300×10×0.334=4,342円だ、
と交渉すること事は比較的通りやすいと思います。
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一面分までは、と書かれています。
※しつこい様ですが、契約書や重要事項説明の内容、管理会社毎の考え方にも拠ります。
1㎡単価には上述の職人のパッケージ作業代が加味されますので、一概に1㎡分1300円のみを対象とすることは難しいです。
また業者によって剥がしたクロスの処分代を別項目で取る所もあったり、㎡単価に混ぜている所もあったりします。
以上が、賃貸の壁に対する考え方でした。
床、建具、退去時の注意、なども書くつもりでしたが、壁だけでボリュームが出てしまったのでまた別の記事にて書いて行きます。
最後に、次のお引越しへ向けて宜しければこちらの記事もご覧下さい。
本記事の壁に対する説明と同じ様に、普通じゃ気づきにくい注意事項や一瞬で部屋探しのベテランになれるコツを大量に書いています。
よろしくお願いします。