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入居者のトラブルを管理会社はどう対応し処理するか?そして本音は… 騒音編
(最終更新日:2024.12.27)
こんにちは、コリドラス不動産です。
今回は騒音トラブルについて書いていきます。
音のトラブル。
入居者から寄せられるトラブル圧倒的No.1にして、最も厄介な難しいトラブルです。
まず音のトラブルと言っても、いくつか種類があります。
①突発的な騒音(一夜のドンチャン騒ぎ)か日常的な騒音(生活音)
②物理的な騒音(生活音。歩き方や扉の開け方閉め方、椅子の引き方や掃除機など)
③空間的な騒音(話し声、笑い声、テレビの音量)
大前提、
こういった入居者同士で起こる全てのトラブルに言えることですが、管理会社は判決権を持っていません。
あなたが悪い、あなたがうるさい、
と決めつけられません。
そして、
音のトラブルが厄介な点は「人によって感覚が違う」という点です。
通報者側が音に敏感すぎるケース
も多々あるんです。
一般的なうるささの感覚が人によって全く違うんですね。
そしてこの「一般的」の基準は管理会社が決める事でもありません。
昼なら許せるけど夜は許せない人もいれば、昼もうるさいのは耐えられない、と考える人もいます。
そしてその夜とは、何時からの話でしょう?
21時から? 22時から?
その辺りも人により異なります。
デシベルを測れば数値化でき、一般的な範疇か判断できるかもしれませんが、もちろんそこまでやりません。
音を発している人に、「あなたの生活音を隣の部屋で測ったら〇〇dBで平均値より〇〇高いので、もう少し静かに生活して下さい。」
なんて言えません。
逆にもしあなたが言われたら、めっちゃ怖いですよね。笑
さてその上で、上記3パターンをもう少し具体的に見ていき、管理会社としての対応例と本音を書いていきます。
・今騒音に悩まされている方
・これからの騒音トラブルを警戒されている方
・他からうるさい、と言われて悩んでいる方
ご興味ありましたら是非ご購読下さい。
一発逆転の解決方法が書いてあるわけではありませんが、あらゆるパターンと管理会社のスタンス、同じケースで悩んでいる人の例と管理会社としてオススメの向き合い方を書いています。
それらを知る事で、ご自分の状況を打開するためのヒントとなるかもしれません。
賃貸における騒音のパターン
①突発的な騒音か日常的な生活音か
普段はうるさくないけど、ある一定の期間だけうるさかった、というパターンです。
代表例は友人を呼んでの部屋飲みドンチャン騒ぎ。
ワールドカップ中やクリスマス、年末年始などに起こりやすいです。
学生や20代前半の入居者が起こしやすいですね。
他にも、
・室内で何か組み立てている時
(ニトリの家具を組み立てる時に電動ドライバーの振動が下の階に響いてしまう等)
・退去した部屋のハウスクリーニング中の音
(配管掃除の時などは下階へ結構響く)
・引越しの梱包作業をしている時など。(ガタン、ドスン音)
日常的な音は日々の生活で起こる②や③の音です。
②物理的な騒音
床や壁への衝撃が上下左右の隣り合った部屋に響くパターンです。
これは、マンションでもアパートでも起こり得ます。
歩き方
上記の何か作業をしていてのガタン、ドスン、以外にも、純粋に歩く音が響く人もいます。
踵(かかと)から着地させる歩き方は、ズシンズシンという足音を下に響かせている場合があります。
歩いている本人はずっとその歩き方で生きてきたと思うので、基本無意識です。
誰かに指摘されないとなかなか気づけないと思いますね。
もし自分の歩き方がしっかりと踵から床に付ける、床を踏み締める様な歩き方だとしたら、少しだけ下に響かない様な歩き方を意識されると良いと思います。
扉の開け閉め
おもに、スライド式のドア(引き戸)の話です。
アクリル製の軽い素材の引き戸は強く閉めなければそんなに響かないと思いますが、木製のしっかりと次第重めの引き戸などは、結構音を発します。
ガラガラという引く時の音と、ドアが角にぶつかる時の衝撃音です。
生活する上で仕方ない音ですが、夜中の開け閉め時は少しゆっくり目に開けることを意識されると良いです。
その他
掃除機もモーター音だけでなく、床との接触によって音が伝わります。
やはり生活系ですが、時間帯は意識しましょう。
子供の走り回る音もあります。
ある程度仕方ないですが、親の民度次第です。
遅くまで子供が起きている家庭、早めにちゃんと寝かしつけている家庭。
ピョンピョン飛び跳ねるのを注意する親、放置の親。
効果はわずかでも、ジョイントマットなどで振動を軽減させる努力をする親、しない親。
全部屋同じファミリータイプの間取りならばお互い様理論がありますが、単身向けタイプの混同してある物件だと横や上階がファミリーというパターンもあり得ます。
駐輪場の自転車(子供乗せるカゴがついてるか)や玄関前の荷物などから、推測はできます。
あとは、しょっちゅうモノを落とす人、もよくいます。
コレはもう突発的な音の部類ですが、スマホを落とす、リモコンを落とす、など…
(こちらも何を落としてるのかは分かりません)
急に大きな音がするので下の階の人は結構ストレスになります。
③空間的な騒音
・話し声(電話含む)
・赤ちゃんの鳴き声
・笑い声
・テレビの音
・目覚ましアラーム音
・咳払い
・重低音の振動音
上の6つは生活の範疇ですが、アラームはたまに爆音にセットしている人がいますね。
建物のグレードにもよります。
咳払いから何まで全部聞こえる木造もありますし、ほぼ聞こえない分譲仕様のマンションも、ボチボチ聞こえるマンションもあります。
一番下の「重低音の振動音」だけ説明します。
これ、稀によくある、発信源不明の音です。
「ヴゥーーン」とか「ヴィーーン」とか「ボォー」とかですね。
一定期間ずっと聞こえるものもあれば、毎日決まった時間だけ聞こえたり…
物件や部屋によって原因は違い、特定が難しいです。
ただ、私の経験だと
・エレベーターの稼働音
・同じマンションや隣のマンションのエアコン室外機の異音、又は給湯器の釜鳴り音
・室内の家電設備から発する音(別の部屋からの音だと思ったら自分の部屋の家電からだっまパターン)
あたりが原因であることが多いです。
室外機は古くなっているか異物(枯葉など)が絡まってしまっていると異音がします。
給湯器はお湯を使っている間は仕様で重低音を発するものもあります。(稼働音)
また釜鳴りとは、古い給湯器や汚れが溜まっている給湯器で起こります。
(男女の営みの音)
音問題を扱う以上、多少触れとかなければいけませんね。
はっきり言ってセクハラ云々のクレームになるのが怖いので、音主が分かっていても基本ビラ対応です。
それも、「深夜に大きな声を出さないで下さい」くらいのオブラートに包んで…
「隣に住む女性が毎晩ちがう男性を連れ込んでいてそれはもう凄い絶叫みたいな声で困ってて…」という引越理由の方もいました。
「隣の人が朝6時頃からアダルトビデオを流している。たぶん窓も開けている」という相談を40代の女性から受けたこともあります。
その時も「テレビの音に注意しましょう」という文字と「いやすとや」の「水着の女の子」と「それを見る男の子」のイラストを使わせてもらい、匂わせたビラを音主の部屋とその周辺数戸に投函した事があります。
もし今悩んでるか、遭遇してしまったら…
私が思う対策は三段階
①シンプルに壁ドン
威嚇ですね。普通の人であれば「やべっ聞こえてた」という感覚のはずです。
男の方が怒鳴り込んでこない程度に、軽めのドンにしましょう。
②警察に通報(どうしてもどうしても我慢出来ない場合)
この警察通報パターンは後でまた書きますが、
ジブリのヒロインになったつもりで清らかな心で隣から叫び声が聞こえた。
という、事件性を匂わせる言い方で通報する事で、少なくとも警官が来て(安否確認として)インターホンは押してもらえると思います。
それで静かになると思いますが、大技です。
よほど悪質な人でない限り、なるべく使わないで欲しいです。
③自分が引っ越す
これも後でまた書きますが、管理会社もそうはっきり注意出来ないので、本当に悩んでいるならばいっそ引越してしまった方が楽な場合もあります。
管理会社の対応と本音
では、そういった音が我慢できず意を決して管理会社に連絡をしたら。
管理会社はどの様な対応をしてくれるのでしょうか?管理会社目線で書いていきます。
ドンチャン騒ぎなどは夜中なので通報の連絡が来るのは翌日になります。
物件の戸数や各部屋の配置などにもよりますが、音主(音を発していた部屋。今作った言葉です)がほぼほぼ特定出来れば直接連絡しちゃいます。
「もし違っていたら大変申し訳ございません。他の入居者より、昨晩どこかの部屋で飲み会をやっていたようでかなり夜遅くまで騒ぎ声が聞こえたと連絡がありまして。今順番にお伺いしているのですが、お心当たりございますでしょうか…?」
と、あくまでもその人を音主と決めつけずに、下から下から探ります。
大抵は
「あ、自分です、すみません。」となって、
「以後ご注意ください」で終わります。
アテが外れて
「うちじゃないですよ、確かに昨夜上から笑い声とか遅くまで聞こえて来ましたね」
のパターンもあります。
これは複数のクレームがあった、となるので音主への言い方も強くすることができます。
「複数の入居者から昨晩うるさかった旨、報告を受けておりまして」と。
ただこの二人目の言い方によって、
すごいうるさかったのか、笑い声が聞こえるなーくらいだったのか、一人目の通報者のニュアンスと比較します。
別々に住む二人の人間が「とてもうるさかった」と言うなら、それは一般的にうるさかったのだと判断しやすいです。
学生のドンチャン騒ぎの場合は、悪質だったり2回目だったりする場合は直接親へ連絡することもあります。親名義で借りている事が多いので、「入居者ではなく借主に注意する」という大義名分があります。
経験上本人へ直接連絡するよりも、親へ連絡した方が釘差しとしては効果的です。
さて音主のアテが外れた場合はヒアリングを元に別の部屋へ電話し、音主特定を進めて行きますが、これが結構大事なあるあるです。
空間的な音は発信元が分かりづらい。
というのは、上階からの音だと思っていたら下の階からの音だった。真上じゃ無くて斜め上だった、隣の建物からの音だった。
そんなパターンがとてもよくあります。
「絶対に真下から」という入居者の言葉を信じて真下の入居者へ電話したら「昨晩は家に帰っていないので誰もいなかったですよ」なんて言われた事もあります。
物件の戸数にもよりますが、みんながみんな電話出てくれる訳でもないので、そうなると音主特定は難しくなります。
そうした場合は騒音注意ビラを作ります。
エレベーター等に掲示パターンと、各戸投函パターンと、通報者の上下左右の部屋にだけ撒くパターンなど。
(本音1
ビラの良いところは、他の入居者にも「管理会社動いてるアピール」できる点です。
昨晩うるさかったとして、管理会社に連絡してくる人自体は少ないです。
どこに連絡すればいいのか分からない。誰かしらが連絡するだろう。って思う方が大半です。
これは、面倒くさい以外にも「自分が通報して逆恨みされるのが怖い」というのもあります。
ワンフロア一部屋二部屋と通報者の特定が容易だったり、音主が角部屋とか最上階だったりすると、もう注意した時に誰が通報したか、ほぼバレバレなんですね。
音主がどんな人かも分かりませんし、普段が静かであったならば、一晩くらいは目を瞑ろう、となる方が多いです。
ビラを掲示または撒くことで、そういった隠れ被害者に対しても「あぁきっと誰かが通報してくれて、それに対して管理会社が注意書き作ってくれたんだな」と思ってもらえれば、「何もしない管理会社だ」というレッテルは貼られずに済みます。
ただ、もちろんビラでは音主への効力としては弱めです。
(本音2
管理会社もある程度入居者やオーナーへの【解決に至らないパフォーマンス】も必要だと思っています。
正直、何でもかんでも、特に音のトラブルは完全な解決はできません。
ただ解決に繋がらずとも、やってます感は出します。
これはもう冷たい管理会社とか、仕事出来ない管理会社とか、そういう話ではなく、何百何千人の老若男女を相手する以上は仕方ない事と思っています。
しかし本社へのクレームだとか、Google口コミもボロクソ書かれたりとか、そういう事が起きない様にパフォーマンスだけはします。
「管理会社さんも動いてくれたけど、それで解決しないなら仕方ないね」と思ってもらう狙いもあまりす。
もちろん、パフォーマンスとはいえ解決に至れば一番ですしそのパターンもよくあります。
もう本当に悲痛な叫びに近い困り方をされている人にはなるべく解決に繋がる対応をしますが、限界があります。
(本音3
うるさいと言ってる人がちょっと敏感すぎたり、精神的な病気になってしまっているパターンもあります。
特殊な例ですが、あるマンションの30代の女性入居者から、「隣人の叫び声がひどい」という連絡がありました。
詳しく話を聞いていくと、「一日中脅迫されている」「私の部屋に来ると言ってる」「今も怒鳴っています、聞こえませんか?」「今ベランダに来たみたいですが姿が見えなくて隠れてます」というのです。
これはもう、統合失調症の脅迫幻聴の症状です。
ただそれを我々から指摘はできません。
「警察へ相談ください」の一点貼りで対応しましたが、その方は既に警察にも行っていて取り合ってもらえなかった様です。
申し訳ないですが、私はその方の家族でも友人でもなく、医者でも行政でもありません。
30分ほど電話で話は聞いてあげましたが、もうそこから先はその人の人生なので、不介入です。
数日間、何度も会社携帯に着信が来ましたが出ませんでした。
(超悪質な音主には)
パフォーマンスパフォーマンス言いましたが、本当に直悪質な方には退去勧告もします。
しますが、正直司法決着などが無ければ無理やり追い出すことはできません。契約書上「貸主との信頼を著し損なう行為があった場合は即時解約できる」と書いてあると思いますが、現実はそう簡単に解約させることはできません。
あくまで「退去せよ。」とか「次回更新はしません」という警告までしかできないです。それでも悪質な方には内容証明郵便やそれに近いレベルの、重い警告である雰囲気を出しながらじわじわと退去を促していきます。
ただどの程度の悪質さだとそこまで動くかは、管理会社や担当者次第です。他にも家賃滞納など何かマイナス要素を持つ人かどうか、全体の属性から判断します。
もう1パターン、
物件外からの騒音
隣の建物の解体工事の音とか、建物同士が近くて隣の建物の住人が窓全開で騒いでる…など。
一方で、「住む前からそれは分かっていただろう」という事に対して何故か管理会社にクレームを言ってくる人も過去いました。
「線路沿いで電車の音で朝起こされるんですけど」と言われても「いや、それをこっちに言われても」と
超特例で、自費で窓を二重にする工事を許可したことがあります。(凄い時間かけて覚書作りました。造作買取請求は出来ない、とか効果に関しても貸主も管理会社も責任は追わない、とか…)
こういう後付けできる二重窓が存在します。
床にネジ穴を開けるので勝手に付けてはいけません。
そして、相手がお店(法人)だろうが行政だろうが個人だろうが、原則管理会社は近隣物件に対してクレームは言いません。
個々で伝えてください、としています。
オーナーのご近所付き合いにも影響が出ますしね。
他所の管理物件のテナントへ直接注意やクレームは出来ませんし、他所の管理会社へクレーム入れる事も極力避けたいというのが本音です。
(明らかに非常識な事をしていたら言いますすけどね)
警察を呼ぶ
夜中のドンチャン騒ぎなどは、警察を呼ぶというパターンがあります。
ひとつ大事なのは、
警察は騒音トラブルを解決してくれません。
ただ通報があれば現地には来てくれます。
警察はとりあえず通報があれば行かなければいけないので、音主宅へピンポンはしてくれます。
そして音主が出れば
「ご近所からうるさいって通報があったのでお静かに」
くらいは言ってくれます。
ただ居留守を使われたりすると(事件性なしと判断すれば)それ以上のアクションは特に起こしてくれません。
ただまぁ、居留守を使ったとしても少なからず音主には「誰かが警察へ通報した」「苦情がきている」ことが伝わるので、効果的ではあります。
(特に学生は警察呼ばれるとビビッてくれるので効果あります)
今、音の問題で悩んでいるあなたへ
長々と書いてきましたが、管理会社としての、私の意見です。
もう音問題はガチャです。
どうしても辛ければ自分が引越しちゃった方が早いです。
そして「そういうもんだ」と張り切る気持ちも大事です。
「今までこんなうるさい事なかったのに…」
と言う人がよくいますが、はっきり言って運が良かっただけです。
しっかり解決まで頑張ってくれる担当者も1割くらいいるかもしれませんが、7割の管理会社はパフォーマンス、2割は何もしてくれない。
そんなものです。
(パフォーマンス対応で半分以上は解決しますけどね)
アドバイスですらない答えです。
ただ健康に関わるレベルならば、たとえ引越し代で損をした気分になったとしても、長期的に苦しむよりもずっとマシだと思いますよ。
管理会社も警察も、「こんなものか」くらいしか動いてくれません。
かと言って直接苦情を言うのもなかなかリスキーです。(逆恨みなど)
解決の目途が立たない場合は無理に我慢せずに引っ越してしまいましょう。