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正解がない世界で新しい正解を求め続ける楽しさと難しさ

人の言動に関する学術的な研究はいろいろあります。そして、人文系の研究の特徴として、統計的な数字が議論の補完する材料として使われるということがあります。

つまり、自然科学系の研究が実験でその正当性が証明されるのに対して、人文系の場合、「実際にある特定のグループを対象に調査したら、その傾向が強いことが証明された」となるケースが多いように感じます。

先日、「ウェルビーイング経営」に関して、専門家の大学教授のお話を聞く機会がありました。

幸福感とパフォーマンスの関係では、幸福感の高い社員の創造性は3倍、生産性は31%、売上は37%高いという調査結果があるそうです。それゆえ、これからの企業は「ウェルビーイング経営を目指した方が良い」という結論が導かれる訳です。

また、人材育成に関する議論で時々言われる「自己認識(セルフ・アウェアネス)」。

自分について明確に認識している人の特徴はすごいです。

・より自信がある
・より創造的である
・より適切な判断を下す
・より強い人間関係を築く
・コミュニケーション能力が高い
・嘘をついたり、だましたり、盗んだりする可能性が低い
・仕事のパフォーマンスが優れ昇進しやすい
・部下の満足度が高い
・会社の収益向上に貢献する

まさにいいこと尽くしです。そして、これらの結果も欧米の研究で実証されています。

だから、「自己認識力を高めた方が良い」という結論が導かれるので、弊社でも時々クライアントさんにこの研究の事例をお話ししています。

さて、自然科学的に実証されたものはそのままモノづくりや技術革新等に活かされますが、人文的な研究の成果は、そのままでは会社経営や人材育成に活かされないことがよくあります。

おそらく多くの経営者は「そりゃ、ウェルビーイング経営をした方が良いよね」「自己認識力は低いより高い方が良いよね」と頭では理解します。けれども、いざ実践するかどうかとなると、すぐにはやらないことも多いです。

その大きな要因として、個体差による違いが大きいことにあるのではと考えています。

自然科学的な実験は分子レベルまで細かく分析し、条件を揃えることで、理論の裏付けになっています。このため、時には数式で表現することも可能です。

一方、人を対象にする人文系の場合、いくら条件を揃えようとしても、どうしても個体差による違いが残ります。したがって、実証研究を行っても、論理的に正しいというよりは、相関的に正しいというレベルに留まることもあります。

実例をたくさん挙げ、成果を上げたお客様の声をたくさん載せることで、「それなら自分もやってみよう」と思う人は多いです。しかしながら、新しいことや画期的なことの場合、事例や実績もないことがあります。そして、実はそこに大きなビジネスチャンスがあるのですが、「それなら自分もやってみよう」と思う人が少ないので、売上を上げるのに時間がかかったりします。

「やったほうが良いよね」というレベルでやる人は少数派。

「これは絶対にやりたい」と情熱を持ってやるか、「これは絶対にやらなければならない」と窮地に追い込まれてやるかの違いはありますが、いずれの場合も本人の感情が動くと、人は実際に行動に移します

人を対象にしている場合、学術的な研究でも個体差を完全になくすのは難しいですし、その研究結果の受け取り方も人による個体差があります。だからこそ、面白くもあり、探求しがいがあります。けれども、会社経営としては、その振れ幅をできるだけ小さくしないと、相手に振り回され、売上も安定しません。

弊社も仕事としては人文系の内容にあたるため、大学の先生の教えも参考にしつつも、模索が続く毎日です。

なお、弊社のセッションの中では周りから期待される「役割としての立ち位置」と自分が本領発揮できる「意識としての立ち位置」を明確にしています。

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周りから期待される役割と自分の意識の相関関係が分かると、いちいち悩んだり、時に腹を立てたりということも必要なくなるので、この「立ち位置」の話はクライアントさんからもとても好評です。

まだ知っている人は少ないけれど、好評をいただいているので、この2つの立ち位置の話をセミナーとしてお伝えする機会を設けました。

「ちょっとおもしろそう!」と思ってくださったらぜひご参加ください。

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岩井徹朗@座組み作りの専門家
サポートは、マインドの感情とマネーの勘定を整えることで、自己成長につながる研究費に活用させていただき、得られた気づきをnoteへの記事に投稿する形で還元します。