「自分がされて嫌なことを人にもする」ことも時には必要
我々は経営者とのセッションを始める際、最初に行うのがプロファイリング。その後のアドバイスの効果を上げるために、ご本人が何を大切にしているかという価値判断の基準を明らかにするのです。
コアコンセプトは
・力を発揮できる価値判断の基準:コアコンセプトのA(表)
・力を発揮できない価値判断の基準:コアコンセプトのB(裏)
に分かれます。
そして、セッションを続けていくうちにハッキリしてくるのは、多くの人は自覚していないうちにコアコンセプトの裏を他の人にも発揮しているということ。つまり、本来であれば自分がされて嫌なことを他人にもやっているのです。
私の場合で言えば、コアコンセプトの裏は「強要」です。私自身、人から「ああやれ」「これやれ」と指示されるのは好きではありません。この「強要」というキーワードが見つかって、私自身「サラリーマンを辞めたのはある意味必然だった」と気づいた訳です。
しかしながら、その後あまり自覚ないまま、実は人にも、いろいろと強要していたことが分かりました。例えば、仕事の際「これはこの通りにやってください」という形で、自分の意向ややり方を強要していたことが多かったのです。
つまり、自分がされて嫌なことを、他の人にやっていた訳です。このことに気づいてから、意識的に「この通りやれ」というような言動を控えるようにしました。
これを第一段階とすれば、今は第ニ段階です。
意識的に強要は控えるようにしたものの、仕事の中ではやはりいろいろな依頼や指示、確認をしなければなりません。
「あの件、どうなっているの?」
自分自身は言われると、嫌な言葉の一つですが、そうはいっても、依頼した方としては気になるので、確認せざるをえません。
そして、あまりしつこくトレースするのは強要にあたるので、止めていたところ、いざ期日になって、社員が「あっ、忘れていました!」ということがたまにあります。
この時、自分の中では「やっぱり、朝もう一度念押しすべきだった」という自責の念が湧いてきます。つまり、自分が嫌なことを人にもやらないことを意識した結果、最終的に自分の望まない状況が生れて、今まで以上に深い自己嫌悪に陥るのです。
コアコンセプト的には裏はできるたけ避けた方が良いのですが、時には、裏だと分かっても、あえてその裏をやり通すべき時があります。
まだ、自分のコアコンセプトを知らない時には、それが裏であるということを自覚していないので、自分の中で余計な葛藤はありません。けれども、一度言葉として自覚してしまうと、「これは本来裏にあたるから、本当はやりたくないのだけどなぁ」という気持ちがどうしても湧いてきます。
しかし、経営者である以上、そこはなんとか乗り越えなくてはなりません。
そのために、私がいま実践していることは二つ。
一つは、より高い視点から考えることです。
例えば、「あの件、どうなっているの?」と聞く本人も嫌ですし、聞かれた相手側も、あまりいい気はしません。時には「あとで、ちゃんと報告しますから」と逆ギレされることもあります(汗)。
けれども、これは「お客様を喜ばせる」ためだという意識して、言い続けることです。つまり、進捗状況を確認するのは、「単に個人的な興味本位で聞いているのではなく、結果的に仕事が期限に間に合わないとお客様に迷惑をかけるので、心を鬼にして聞いている」と、自分の中で自分を納得させています。
「自分がしつこく言うのは嫌だから」というのは、自分に関心の矢印が向いています。けれども、たとえ嫌であっても、また、社員から煙たがられても、「お客様を喜ばせるため」という視点に立てば、関心の矢印が自分ではなく、お客様に向きます。
そして、もう一つは、自分のコアコンセプトと紐付けて考えることです。
私の場合で言えば
強要は嫌だ
↓
人に強要するのも嫌だ
↓
でも、これは「人に強要するのを避ける」ということを自分自身に強要していることを意味する
↓
自分への強要を取っ払って嫌でもあえて言う
というように、やや強引に自分の価値判断の基準と結びつけています。
なんだか禅問答のようで、よく分からないかもしれませんね。そして、自分の中でいろいろと悩んで行動したとしても、そんなことは相手には関係ないし、その真意も先方に理解されるとは限りません。
もしかすると、社員からは「自分は強要が嫌なくせに、人には強要してくるのだから!」と思われているかもしれません。
しかしながら、この段階は最初の自覚なしに強要を強いているのと少し違います。そこを分かった上での行動なので、たとえすぐには理解してもらえなくても、なんとか続けています。
自分のコアコンセプトを知ることは最初のきっかけ。あとはそれをどう活かすかで仕事の質やレベルも変わってきます。
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